自社ECサイトに「配送追跡機能」を実装して売上をアップする

自社ECサイトにおける配送追跡機能とは、商品発送後の配送状況をユーザーがオンライン上で確認できる仕組みのことです。配送状況をリアルタイムで可視化できるため、ブランド側とユーザー側の双方にとって利便性の高い機能ですが、この機能の本質は、単に荷物の現在地を知らせることではありません。

配送追跡機能は、注文完了後から商品到着までの間もブランドとの接点を維持し、ユーザーに安心感を与えながら、購入体験を途切れさせないための重要なコミュニケーション機能となります。

多くのECサイトでは、発送後に配送会社の追跡ページへのリンクを案内するだけで終わっています。しかし自社ECにおける配送追跡機能では、ブランド独自のページ上で配送状況を表示し、その間も自社の世界観やメッセージを届け続けることができます。配送状況の通知は開封率・閲覧率が高いため、ユーザーとの貴重な再接点となります。

つまり配送追跡機能とは、物流情報の確認ツールであると同時に、購入後の体験を設計し直し、リピートや追加購入につなげるためのマーケティング装置でもあるのです。

この記事では、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、自社ECサイトに実装する配送追跡機能について詳しく解説しますので、最後までご覧ください。

ECサイトの注文後から配送完了までにユーザーと「タッチポイント」を持つ

多くのECサイトは、注文が完了した瞬間、ユーザーとの接点を失ってしまいます。「あとは届くのを待つだけ!」このように思っているのは、実は売り手側だけかもしれません。

発送後は対応が一段落したように見えますが、ユーザーの関心が途切れるわけではありません。ユーザーは注文後も「ちゃんと届くだろうか」「今どこにあるんだろう」と、商品のことを気にし続けています。

この「ユーザーが気にしている時間」に、ブランドが何もしないのはあまりにももったいないことです。そして「配送追跡」こそが、その空白を埋める最大のチャンスになるのです。以下をご覧ください。

◆注文完了後から商品到着までのフロー図

商品配送から到着まで

出典:筆者作成

宣伝のためのメルマガの開封率が低下している一方で、「配送状況の確認メール」はユーザーが能動的に確認しやすい通知です。荷物の到着を待つユーザーにとって、それは「知りたい情報」だからです。つまり配送通知は、ユーザーが自ら求めて開く、新しいタッチポイント(接点)と言えるのです。

「メルマガ」と「配送追跡」を徹底比較

ここで、従来のメルマガと配送追跡を比較してみましたので、下記の比較表をご覧ください。

◆メルマガと配送追跡の比較

メルマガ  配送追跡
開封率 低い 非常に高い
ユーザーの行動 受動的 能動的に確認する
配信タイミング ブランド側が決める 購買直後・関心が高いタイミング
コンテンツの自由度 高い 高い
売上への直結度 低〜中 高い
ブランド体験 メールを送ったタイミングのみ 発送後まで延長できる

出典:筆者作成

この比較から分かるのは、メルマガと配送追跡では「ユーザーとの関係性」がそもそも異なるということです。

メルマガはブランド側が一方的に送るものであり、ユーザーが興味を持って開くかどうかはタイミングや内容次第です。一方、配送追跡はユーザー自身が「確認したい」という気持ちで訪れます

この能動的な行動こそが、配送追跡が広告媒体として極めて有効になりうる最大の理由です。

また、配送追跡はユーザーが購買直後という関心の高いタイミングで接触できる点も重要なポイントです。商品への期待感が最も高まっているこの瞬間に、次のアクションを自然な形で提示できるのは、他のコミュニケーション手段にはない強みです。

このように発送後の体験を設計できていないブランドは、最も熱量の高いタイミングを生かせていないとも言えます。配送追跡は発送後の空白時間を埋める、シンプルかつ効果的な手段と言えるのです。

自社ECサイトに「配送追跡」を置く3つのメリット

配送追跡を自社ECサイトに実装することには、まず以下のようなメリットがあります。

◆配送追跡の基礎的なメリット

・配送に関する問い合わせ対応を減らせる
・ユーザーの不安を軽減し、購入後の満足度を高められる

このように、配送追跡機能は運用効率や顧客体験の向上に役立つ機能です。ただし、その価値は単なる利便性の向上だけではありません。

自社ECサイト上の配送追跡は、購入後の体験を支える機能であると同時に、マーケティング施策としても活用できるのです

ここでは、マーケティングの視点に絞って、自社ECサイトに配送追跡機能を実装することで得られる3つのメリットを解説します。

メリット① 追跡ページが売上を生む接点になる

メルマガやプッシュ通知は開封されないことが多いですが、配送状況の確認はユーザーが能動的に行います。

「いま荷物はどこにあるんだろう」「品物はいつ頃届くんだろう」という関心が行動を生むため、広告としての価値が非常に高いタイミングです。

そのため、追跡ページにレコメンド表示やキャンペーン告知、SNSへの誘導などのコンテンツを組み込むことで、次の購買やファン化につなげることができます。確認のためだけに訪れたページが、再購入の入口になるのです。

メリット② ブランド体験を発送後まで延長できる

配送追跡を自社ECサイト上で提供すれば、ユーザーは運送会社のシンプルな追跡画面ではなく、自社ブランドのデザインや世界観の中で配送状況を確認できます。これにより、注文完了後から商品到着までの期間も、ブランドとの接点として一貫した体験を設計しやすくなります

例えば、追跡ページにブランドメッセージやコンテンツ、関連商品の提案などを組み込むことで、単なる配送確認の場ではなく、ブランド理解や好感度を深める場として活用できます。

そうすることで、商品そのものだけでなく、購入前後を含めた体験全体でブランド価値を伝えやすくなります。

メリット③ リピート率の向上につながる

配送追跡機能は、購入後のユーザーと自然に再接点を持てるため、リピート購入を促す導線としても有効です。

例えば、レビュー依頼や次回使えるクーポン、関連商品の案内などを組み合わせることで、購入体験の余韻を次の行動へとつなげやすくなります。

ユーザーが商品への期待感を持っている段階や商品を受け取った直後は、次のアクションを促すうえでも重要なタイミングです。

特に自社ECでは、新規獲得だけでなく、継続的に購入してもらうことが収益性に大きく影響するため、発送後から到着後までのコミュニケーションを丁寧に設計し、購入体験を途切れさせないことが、結果としてリピート率の改善につながります。

自社ECサイトに「配送追跡機能」を実装するための5つのステップ

配送追跡機能を売上導線として活用するには、配送状況を確認するために訪れたユーザーを、自社ECサイト上で「どのように迎え」「どのような情報を届け」「次の行動へつなげるか」まで含めて設計する必要があります。

そのためには、追跡番号の連携方法や通知の出し方といったシステム面に加え、追跡ページのUIや掲載するコンテンツも重要になります。ここでは、配送追跡をマーケティング施策として機能させるための5つのステップを解説します。

ステップ① 自社開発かベンダー活用かを決める

まずは、配送追跡機能を自社で開発するか、機能を提供しているベンダーに問い合わせるかを最初に判断します。

自社開発は柔軟性が高い反面、工数とコストがかかります。一方、専用のSaaSツールを活用すれば、OMS連携から追跡ページの作成・通知設定までをまとめて対応できるため、まずはベンダーへの問い合わせから始めるのが現実的です。

なお、国内では「Recustomer」がこのサービスを提供しておりますので、この機能に興味がある場合は、すぐに問い合わせしてみましょう。

配送追跡サービスベンダー:Recustomer配送追跡

ステップ② 追跡番号を連携する

次に、配送追跡機能を自社ECサイト上で正しく機能させるために、自社ECシステムやOMS(Order Management System:受注管理システム)が、API連携などを通じて配送会社の追跡番号と連携できるかを確認する必要があります。

そのうえで、自社ECサイトまたはOMSから配送会社の追跡番号を自動で同期し、配送ステータスの変化を反映できる仕組みを構築します。ここが整っていないと、ステータスの自動通知も、追跡ページ上での情報更新も安定して行うことができなくなります。

まずは、現在利用しているECシステムやOMS、配送会社との連携条件を整理し、どのような方法で追跡番号を取得・反映するかを確認することが重要です。

ステップ③ ブランド独自の追跡ページを設計する

配送状況の確認は実務的な行動ですが、その画面で受ける印象も購入体験の一部になりますので、運送会社が提供するような無機質な画面ではなく、自社のブランドデザインで構築された追跡ページを用意します。

特に注文後から商品到着までの期間は、ユーザーの期待感が高まっているタイミングです。その接点を自社ECサイト内で維持できれば、発送後も一貫したブランド体験を届けやすくなります。

また、追跡ページは見た目だけでなく、UIの分かりやすさも重要です。必要な情報を迷わず確認できる設計にすることで、ユーザーのストレスを減らしながら、ブランドへの好印象にもつなげやすくなります。

ステップ④ 追跡ページのコンテンツを設計する

追跡ページには、以下のようなコンテンツを設置します。

◆追跡ページに設置すべきコンテンツの例

・関連商品のレコメンド
・SNSへの誘導
・進行中のキャンペーン告知
・届いた後のレビュー依頼

一度にすべてのコンテンツを詰め込むのではなく、まず1〜2個に絞って、目的に応じてコンテンツに優先順位をつけて設置していきます

ステップ⑤ ステータス変更の自動通知を設定する

配送追跡機能を効果的に活用するには、「発送しました」「配達中です」「お届けしました」といった配送ステータスの変化に合わせて、メールやSMSを自動送信できるように設定します。

また、通知の文面に追跡ページへの導線を組み込むことで、ユーザーが必要なタイミングで自社ECサイトに再訪しやすくなります。つまり、自動通知は配送情報を届ける手段であると同時に、追跡ページへ自然に誘導する入口としても機能します。

このように、適切なタイミングに合わせて適切に通知を送ることで、配送状況の確認だけで終わらせず、ブランドとの接点を継続させやすくなります。追跡ページ上のコンテンツ設計と組み合わせれば、通知から再訪、そして次の行動へとつながる流れを作りやすくなります

「配送追跡機能」と相性の良い3つの業界

配送追跡機能はどんなECブランドにも導入できますが、特に効果を発揮しやすい業種があります。共通しているのは「届くまでの期待感が高い」「到着確認のニーズがある」「リピート購入が見込める」といった特徴です。

ここでは、配送追跡機能と特に相性の良い3つの業界を紹介します。

業界① アパレル・ファッション

アパレル・ファッションは、購入後の期待感が特に高く、「早く着たい」といった気持ちから、追跡ページへのアクセス頻度が高くなる業種です。

追跡ページ上で関連コーディネートや着回し例、新作アイテムをレコメンドすることで、次の購買行動へとつなげやすくなります。例えば、トップスを購入したユーザーに対してボトムスやアウターを提案したり、同系統の新作を見せたりすることで、自然なクロスセルも期待できます。

また、アパレルは季節ごとの買い替え需要やトレンド変化が大きく、継続的な購入が発生しやすい業種でもあります。そのため、配送追跡機能をきっかけに再訪や追加購入を促す導線との相性が良く、購入後体験を売上につなげやすい分野と言えます。

業界② 食品・冷蔵冷凍品

食品の中でも、冷蔵・冷凍品は、「きちんと届くか」「予定どおり受け取れるか」「品質は保たれているか」といった到着確認のニーズが強い業種です。常温品以上に配送状態への関心が高いため、追跡機能があることでユーザーの安心感は大きく変わります。

特に、生鮮食品やスイーツ、冷凍総菜、ミールキットなどは、受け取りのタイミングが品質や利便性に直結します。配送状況をリアルタイムで確認できれば、ユーザーは受け取り準備をしやすくなり、「いつ届くか分からない」という不安も軽減されます。

結果として、配送そのものに対する満足度だけでなく、ブランドへの信頼感も高めやすくなります。

また、食品ECでは定期購入や消耗品のリピート需要が発生しやすいため、到着通知や追跡ページを通じて次回購入の案内や関連商品の提案を行う施策とも相性が良いです。

購入後の不安解消と継続購入の促進を同時に図りやすい点で、配送追跡機能の導入効果が出やすい業種です。

業界③ ギフト・贈り物

ギフト・贈り物は、自分ではなく相手に商品を届けるケースが多いため、「きちんと届いただろうか」「希望日に間に合っただろうか」といった送り主の不安が生まれやすい業種です。配送追跡機能は、こうした気持ちに寄り添いながら、贈る体験そのものの安心感を高められる点で大きな価値があります。

例えば、誕生日、お中元、お歳暮など、到着日が重要になるギフトでは、配送状況を確認できること自体がサービス品質の一部になります。リアルタイムの状況が分かることで、送り主は安心しやすくなり、ブランドに対しても丁寧な印象を持ちやすくなります。

また、到着確認の通知は単なる事務連絡ではなく、ホスピタリティの演出にもなります。追跡ページや通知の文面に、以下のようなブランドらしいメッセージを添えることで、贈る前後の体験まで含めてブランド価値として設計しやすくなります。

◆到着後の通知や追跡ページに添えるメッセージ例

「大切な贈り物を、無事にお届けしました。」
「贈り物が、無事にお相手のもとへ届きました。」
「大切な贈り物を、心を込めてお届けいたしました。」

ギフト商材は商品そのものだけでなく「贈る体験」全体が評価対象になりやすいため、配送追跡機能との相性が特に良い業種だと言えます。

追跡ページで訴求しすぎると逆効果になる

ここまで、配送追跡ページのマーケティング視点での有用性について解説しました。

マーケティング担当者の立場から見ると、「この機会を逃したくない」と考え、クーポンやバナー、レコメンド、キャンペーン告知などを数多く盛り込みたくなるかもしれません。しかし、訴求を詰め込みすぎると、かえって顧客体験を損なうおそれがあります

ユーザーが追跡ページに訪れる第一の目的は、あくまで配送状況を確認することです。そこで必要な情報が見つけにくくなったり、画面が煩雑に感じられたりすると、「知りたいことがすぐ分からないページ」になってしまい、せっかくの接点がマイナスに働く可能性もあります。

追跡ページで大切なのは、まず配送情報を分かりやすく表示することです。そのうえで、次の行動につながる導線を必要最小限に設計することが重要になります。

◆必要最小限に抑えた導線設計の例

・関連商品のレコメンドを1枠だけ表示する
・到着後のレビュー依頼を控えめに配置する
・次回使えるクーポンを1点だけ案内する

このように、追跡ページはたくさん訴求する場所ではなく、配送確認を邪魔しない範囲で次の行動を促す場所として設計することが重要です。

主となるコンテンツはあくまで配送情報であり、マーケティング要素はその体験を損なわない範囲で添えることが、結果的に成果につながりやすくなります。

発送後の体験向上やリピート購入を促すなら「ECのプロ」に相談しよう

配送追跡機能は、単に荷物の現在地を知らせるだけでなく、注文完了後から商品到着までの時間にもユーザーとの接点を持ち、安心感を高めながら、ブランド体験を継続させるための重要な仕組みです。

自社ECサイト上で追跡ページや通知導線を設計することで、発送後の体験を売上やリピート購入につなげることが可能になります。

多くのECサイトでは、購入前の導線や販促施策に力を入れる一方で、購入後の体験設計は後回しにされがちですが、実際には配送通知や追跡ページのようにユーザーの関心が高い接点こそ、体験価値を高める大きなチャンスになります。配送追跡は、その代表的な施策の1つと言えます。

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表。 株式会社インターファクトリーのWebマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」では、ECサイトの初心者向けに特に集客方法について解説。