ECサイトで売上を高めるために、アフィリエイト広告を検討しているのではないでしょうか。
しかし、もし社内にアフィリエイトの十分な知見やノウハウがないのであれば、安易に取り組むべきではありません。手間がかかる割に広告効果が高くないため、費用対効果が合わないことが多いためです。
筆者は、広告主としてもアフィリエイト運営経験があり、また今はコンサルタント業と兼任して、現役のアフィリエイターとしても活動しています。その経験から言える結論は「アフィリエイトに全力で取り組むなら、やってみる価値があるが、片手間ならやめておいた方が良い」ということです。
なぜなら、アフィリエイト広告は、Google広告やMeta広告と違い、予算をかければ成果が得られる広告ではなく、SEOやSNSと同じく中長期的施策であるため、担当者が熱意を持って有力アフィリエイターと関係値を築かなければ、成果を出すのは難しいからです。
この記事では、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、EC運営者向けにアフィリエイト広告について詳しく解説しますので、最後までご覧ください。
ASP選びはライバルが多く参入しているASPを選ぶべき
まず、アフィリエイトを始めるなら、ASP(Affiliate Service Provider)を選ばなければいけません。主要なASPとしては、以下の7社が挙げられます。筆者が実際に利用したうえで、それぞれの特徴をまとめてみました。
◆有力ASP主要7社
| ASP名 | 主な特徴 |
|---|---|
| ① A8.net | 国内最大級のASPであり、最も多くのアフィリエイターを抱えている。案件数が豊富で幅広いジャンルに対応しているが、管理画面は長年使われてきた分、ややクラシックな設計に感じる部分もある。 |
| ② afb(アフィb) | 美容・健康ジャンルに強みがあり、管理画面はASPの中でも特に使いやすい。サポートの対応も丁寧で、アフィリエイターへのアプローチや施策に力を入れている印象。 |
| ③ バリューコマース アフィリエイト | Yahoo!ショッピングをはじめ、大手ECや金融系の案件に強いASP。高単価の案件が充実している。 |
| ④ アクセストレード | 金融・通信・転職・エンタメ系など高単価案件が多い。最低支払報酬額が1,000円で、振込手数料も無料のため、初心者でも安心。 |
| ⑤ JANet(ジャネット) | 大手ASPというわけではないが、高単価案件が多く、本格的に取り組みたい人向け。金融系が強い。 |
| ⑥ もしもアフィリエイト | Amazon・楽天などの大手EC案件に強い。後発のASPらしく、「かんたんリンク」など使い勝手の良いこまやかな機能が充実している。 |
| ⑦ レントラックス | 成果条件は厳しいが、報酬単価が高い案件が多い。以前は完全にクローズドであり、実力のあるアフィリエイターが多く所属していた。また、定期的にアフィリエイターと広告主の交流イベントを開催するなど、コミュニティ形成にも積極的。 |
参考:A8.net、afb、バリューコマース アフィリエイト、アクセストレード、JANet、もしもアフィリエイト、レントラックス
詳細は後述しますが、最初に加入するASPは「競合が多く参入しているASP」を選ぶのが基本です。ただし、いったんその前提を外して考えると、筆者が特におすすめしたいのは「① A8.net」「② afb」「⑦ レントラックス」の3社です。
まず、①の「A8.net」は国内最大級で登録アフィリエイター数が圧倒的に多く、最初に一社絞るのであれば、A8.netを選ぶべきでしょう。一方で、管理画面や基盤システムは少しクラシックな印象があり、例えば、毎月1日の16時までは前月データの集計が行われるため成果が反映されなかったり、報酬の支払いも基本は翌々月払い(※即時入金サービスあり)など、運用の仕様に古い部分も残っています。
次におすすめするのが②の「afb」です。A8.netほどアフィリエイター数は多くありませんが、管理画面の使いやすさに定評があり、システム面も軽快で扱いやすいのが特徴です。作業のしやすさや運用ストレスの少なさを重視するなら、A8.netと並んで優先度の高いASPです。
もう一社挙げるなら⑦の「レントラックス」です。かつては完全クローズド型で、一定の実績があるアフィリエイターしか登録できない仕組みでした。そのため、毎月数百万という高い成果を出すアフィリエイターが多く所属していました。
しかし、2018年のGoogleアップデート以降は状況が変わり、そのような凄腕アフィリエイターも減り、クローズド体制も緩和されたため、当時ほどの勢いはやや落ち着いた印象です。それでも、高単価案件や独自案件を扱うASPとして注目する価値があります。
その他のASPについては、筆者が実務で利用する機会が少ないため細かな印象は控えますが、それぞれに強みのあるジャンルがあります。ASP選びでは「自社の扱う商材やジャンルに強いASPはどこか」を基準に検討することが大切です。
では次に、ASP選びのコツについて解説します。
ASPの支払いは「固定費」+「成果報酬」だが、固定費を重視すべきではない理由
EC事業者がASPを選ぶ際、どうしても「手数料」に目が向きがちです。もちろん費用は重要ですが、ASPの料金体系は複雑ではなく、基本的には次の2種類で構成されています。
◆アフィリエイト会社への支払いイメージ
・成果報酬:CV数などの成果ベース
ASPからすると、この「固定費」が営業時の調整ポイントになります。例えば、あなたが大手のEC事業者の場合、以下のような提案を受けることがあります。
「貴社は大手企業なので、固定費を免除(あるいは値引)します!」
しかし、こうした値引きは本質的にはあまり意味がありません。なぜなら、固定費が安くなっても、アフィリエイターが自社案件を宣伝してくれる保証はどこにもないからです。アフィリエイトは、登録してすぐ成果が上がる仕組みではありません。アフィリエイターが案件を知り、興味を持ち、ブログやサイトに掲載して初めて成果が動き始めます。
固定費がゼロでも、
・過去の成功事例が少ない
・そもそもASP内での競合数が乏しい
といった状況では、成果が出る確率は低くなります。
そのため、ASP選びでもっとも重視すべきなのは「自社ジャンルのアフィリエイターがどれだけ在籍しているか」であり、固定費の安いASPを選ぶメリットはそもそもないのです。
ライバル会社がすでに多く登録しているASPを選ぶ
では、どのようなASPを選ぶべきか。それはあなたのジャンルにおいて、競合となるEC事業者が多く在籍しているASPを選ぶべきです。
アフィリエイターの目線で見ると、もし自分が「B家電」という企業のアフィリエイト記事を書いていたとして、同じジャンルの「A家電」の広告がASP内で見つかれば、
「A家電さんだ!B家電さんのアフィリエイトをやっているから、A家電さんの広告もブログに貼ってみよう!」
という自然な行動につながります。
つまり「競合が多くいるASPほど、自社の広告も使ってもらいやすくなる」という構造になっています。このため、ライバルが多数参加しているASPを選ぶことで、自社案件がアフィリエイターの目に触れる機会が一気に増え、登録直後からCVが生まれる可能性もあります。
ASPの競合登録状況を自分で調べる方法
ASPを選ぶ場合は、ASPの営業担当にライバル会社の登録情報をうまく聞き出したり、あるいは以下のように、Google検索を行って上位表示されているアフィリエイトブログの広告URLを確認します。
◆調査方法
ステップ② 検索結果の上位にある記事を探す
ステップ③ 記事内の広告リンクにマウスオンして、URLパラメータを確認する

このような方法で、ライバル会社が多く存在するASPを調べることができます。
ASPに登録した後、アフィリエイターの登録は「自動承認」にすべき
ASPに登録が済んだところで、アフィリエイターを管理画面で募集すると、一気にアフィリエイターから登録申請が来るようになります。
アフィリエイターの登録を担当者が都度チェックしていて悩むポイントは、「承認制」にするか、あるいは「自動承認」にするかですが、筆者のおすすめは「自動承認」です。
自社の世界観に合わないアフィリエイターもいますが、現在のGoogleの検索アルゴリズムでは、一定の実力がなければそもそもSEO上位に表示されること自体が難しいため、意図的にアフィリエイターを選別する作業そのものが、労力に見合わない場合が多いのが実情です。
上位に露出できないアフィリエイターは成果が出にくく、結果的に大きな影響を与えることもありません。
また、承認制にしている場合の課題として、アフィリエイターが登録申請をしても、承認されるまでに時間が空きすぎると、申請したこと自体を忘れてしまうことがあります。
よくある広告主の運営方法として、月に一度まとめて承認作業を行う方法がありますが、これだと申請から実際に広告が貼られるまでに間があき、機会損失につながる可能性があります。
このような理由から、アフィリエイトの登録方式は「自動承認」にしておくほうが、スピードと成果につながりやすいと言えます。アフィリエイターにとっても待ち時間が減り、広告主にとっても掲載機会が増えるため、双方にとってメリットが大きい方式なのです。
広告を貼ってくれるアフィリエイターは少ない
運用を始めると、毎月膨大な数のアフィリエイト申請が来ることになりますが、アフィリエイターが実際に広告を貼ってくれるとは限りません。むしろ、登録だけして何も行動しないアフィリエイターが大多数になると考えておくべきです。
理由は明確で、申請が承認された後には、アフィリエイター自身が管理画面からタグをコピーして、自身のサイトに貼り付ける作業が必要になりますが、この作業を実行してくれないケースが非常に多いのです。考えられる理由は下記のようなものです。
◆アフィリエイターがすぐに広告を貼ってくれない理由
・すでに(あなたのECサイトの)ライバル会社で成果が出ているため、優先度が低い
・タグ設置の作業が面倒で後回しになりがち
この状況を改善するために、ASPのメルマガやアフィリエイター向けの管理画面バナーで告知する方法もありますが、筆者の経験上あまり効果はありません。もっとも効果が高いのは成果報酬の単価を引き上げることです。
例えば「アフィリエイト開始キャンペーン」といった名目で、一時的に通常の2倍の単価にすると、アフィリエイターの注目度が一気に高まり、広告が貼られ始めます。
そのため、アフィリエイトを始めたら、まず単価を一時的に引き上げる施策を検討してみましょう。登録だけして動いていないアフィリエイターを動かすために、特に即効性のある方法です。
CVを稼ぐのは1%の有力アフィリエイターのみ!残りの99%はあまりCV数を稼いでくれないという現実
アフィリエイト広告を始めて半年も経過すれば、多くのEC事業者が気付くはずですが、実際にCVを生み出すのは毎回ほぼ同じアフィリエイターであることが多いです。筆者自身の経験でも、成果につながるアフィリエイターはごく一部に限られていました。
アフィリエイトASP側は、実力のないアフィリエイターについても「ロングテールでCVが見込めます!」とは説明しますが、実際のところ、ほとんどCVを生みません。
CVを稼ぎ出すのは1%の実力者(個人や企業)のブログやサイトだけであり、残念ながら、多くのアフィリエイターはCVを1件も作れないのが現実です。
そのため、EC事業者でアフィリエイトを担当する立場であれば、この上位アフィリエイターとの関係構築が非常に重要になります。具体的には、下記のような優遇施策が有効です。
◆有力なアフィリエイターに向けての取り組み例
・継続して取り扱ってもらえるよう、個別に連絡を取る
・ASPを交えて商品説明会を開催する
・対面でのコミュニケーション機会をつくる
とにかく、実力のあるアフィリエイターにはコミュニケーションを直にとって、自社の宣伝に力を入れてもらえるようにしてください。アフィリエイターが商品理解を深め、自社への信頼感が高まるほど、記事の内容にも力が入り、紹介量やCVへの貢献度が自然と高まります。
成果の承認率が低いと有力アフィリエイターも離れてしまう
アフィリエイターから特に喜ばれる要素の1つが「承認率の高さ」です。アフィリエイターは成果(CV)が発生しても、それが承認されなければ収入になりません。そのため、承認率が低い広告主は自然と敬遠されます。
多くのASPでは、アフィリエイター自身が管理画面から承認率を参照できるようになっているため、承認率は案件選びの重要指標として見られています。
一般的なEC事業者の場合は「注文=成果」になりやすいため、承認率が大きく下がるケースは少なく、この点は大きな問題になりにくいですが、単品ECやサブスクリプションサービスのように、成果の定義が細かく設定されている商材では、この点がアフィリエイターとの摩擦ポイントになりやすくなります。
例えば、以下のようなケースがよく見られます。
無料申込や初回申込を成果地点にしていながら、後からキャンセルや条件未達を理由に非承認される
このような状態が続くと、アフィリエイターは「紹介しても収益につながらない」と感じ、案件の露出量を落とすようになります。結果として、CV数そのものが減少するという悪循環が生まれます。
EC事業者が安定的に成果を伸ばすためには、成果地点と承認ルールを明確にし、アフィリエイターが納得できる条件設計を行うことが重要です。
筆者の経験では、承認率が50%を下回るとアフィリエイターのモチベーションが下がる傾向があります。そうならないためにも、成果地点の見直しや承認ルールの整理を行い、できる限り承認率50%以上を維持することを意識してください。
アフィリエイトの予算は最初は月間10万円もあれば十分
アフィリエイトの予算を検討する際、初期は月額10万円ほどを目安にすれば十分です。大手ECでない限り、アフィリエイト開始直後から大量のCVが発生することはほとんどなく、固定費が数万円かかるASPであっても、成果報酬を含めて10万円あれば運用できます。
現実的には、初期は成果が少なく予算消化が進まないため、多くのEC事業者が 「予算を使い切れない」 状況になります。もし毎月のアフィリエイト予算が大きく余るようであれば、リスティング広告やMeta(Facebook/Instagram)広告など、短期で成果につながりやすい広告に一時的に振り分けるのも有効です。
アフィリエイトは中長期型の施策なので、焦って予算を消化しようとするより、徐々に育てていく意識が大切です。
複数のASPと契約すべきか?
ASPを増やすと、労力が単純に2倍になり、固定費も増えます。そのため、いきなり複数ASPに手を広げるのではなく、まずは1社目で成果を出すことを優先するべきです。
2社目を検討するタイミングとしては、
・もしくは、1社目がどうしてもハマらず改善が難しいとき
のどちらかに絞ると良いでしょう。
また、CVを生み出す実力のあるアフィリエイターは、もともと複数のASPに登録しているケースが多く、特別単価の設定や単価アップを行えば、1つのASPだけでも十分にアプローチが可能です。そういった意味では、1社目のASP選びが適切であれば、無理に複数ASPへ広げる必要はありません。
アフィリエイトは「中長期施策」であるため、成果を出すのは熱意がある担当者のみ
アフィリエイト施策はカンタンではありません。まず、数多くの有力アフィリエイターに自社の広告に気付いてもらい、広告を貼ってもらうまでにかなりの時間がかかります。
また、有力アフィリエイターほど、すでに競合会社と深く取り組んでいるケースががほとんどなので、そこから自社に振り向いてもらうためには、単価アップや特別単価を設定したり、承認率を高めるといった工夫をしなくてはなりません。
筆者自身、現役のアフィリエイターの一人ですが、とあるEC企業では、専任のアフィリエイト担当者を採用して、その担当者は有力アフィリエイターとチャットワークで個別にグループを作って最新情報を共有するなど、熱意を持ちながらコミュニケーションを厚くしていました。その結果、アフィリエイトだけで月間数百万円の売上を得ています。
このようにアフィリエイトは広告と違い「すぐに売れる」ものではなく「徐々に売れる」性質のものであるため、SEOやSNS施策と同じく「中長期的施策」となります。しかし、有力アフィリエイターとの関係が構築できれば、多くの売上を得ることができるはずです。
アフィリエイトをはじめとしたEC事業者の集客やマーケティングをサポートする「EBISU GROWTH」
アフィリエイトは、広告費を投下すれば成果が出るタイプの施策ではありません。成果を生み出すのはごく一部の有力アフィリエイターであり、彼らに気付いてもらい、信頼してもらうまで時間がかかります。ASP選定からアフィリエイターとのコミュニケーションまで、地道な積み上げが成果につながります。
アフィリエイトはSEOやSNSと同じく「中長期施策」であるため、短期で結果を求めるより、正しい仕組みづくりに時間を投資するほうが、最終的なリターンは大きくなります。
しかし、EC担当者が日々の運用と並行して、ここまでの仕組みを独力で整えるのはカンタンではありません。だからこそ、外部の専門家の支援を活用する選択肢が活きてきます。
インターファクトリーが提供する「EBISU GROWTH」は、ECに特化した支援サービスとして、戦略立案から運用改善までを一気通貫でサポートします。扱う商材、予算、マーケティング課題にあわせて、必要な施策を最短距離で形にしていくことができます。
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