ECサイトで動画を活用して売上を伸ばしたいと考えてはいないでしょうか。ECサイトで動画をうまく活用すれば、注文数を増やすことができます。
特に高額商品と相性が良いのが動画です。なぜなら、ECサイトのデメリットは商品を直接見て確認できないことにあり、動画がその不安を補ってくれるためです。動画を最大限に生かすには、以下の4つの活用方法があります。
◆ECサイトにおける動画マーケティング活用方法
② 自社YouTubeチャンネルで公開
③ 自社SNSで公開
④ 組み立てやメンテナンスの説明動画を設置
特に④の組み立てやメンテナンス動画は、顧客満足度だけでなく、リピート購入を促進し口コミ対策にもなります。
この記事では、forUSRES株式会社でマーケティングを担当している筆者が、ECサイトにおける動画マーケティングについて詳しく解説します。
ECサイトにおける4つの動画活用
まず、ECサイトで動画マーケティングを実施する際の動画の活用方法は、以下の4つです。
◆ECサイトにおける動画マーケティング活用方法
② 自社YouTubeチャンネルで公開
③ 自社SNSで公開
④ 組み立てやメンテナンスの説明動画を設置
それぞれ、ただ動画を設置すれば良いというものではありません。ユーザー心理(ユーザーは、今どんな情報が欲しいのか?)に沿って、適切な動画を設置すべきです。
動画の持つ情報量は写真や文章の比ではないため、ユーザーの欲しい情報を動画によって提供できれば、ユーザーの満足度の最大化を図ることが可能になります。
また動画をECサイトに設置するだけでは非常にもったいないので、自社でYouTubeチャンネルを作って設置したり、あるいはSNS用のカット編集を行い、同時にSNSでも公開して商品露出を増やしていきましょう。
それでは、これらの活用方法を一つずつ解説します。
活用方法① 商品ページに設置する
例えば、以下のビックカメラのECサイトのように、ECサイトの商品ページに動画を設置してみましょう。
◆ビックカメラ.comの商品ページ

出典:「ビックカメラ.com」より筆者が一部加工して作成
この商品は約8万円と高額な商品のため、ECサイトの情報だけで購入を判断するのに戸惑うユーザーも多数いるはずです。しかし、この商品ページのように動画を設置することで、購入する気持ちを強めるユーザーもいるでしょう。
ただ、上記の例では、設置した動画がカメラメーカーの提供する「プロモーション動画」だったので、実際のカメラをECサイトスタッフが使ってみた紹介動画の方が、第三者性が強くなりより効果的だったと思います。
ビックカメラのような多くの商品ラインナップがある会社では、スタッフが特別動画を作るのは困難だと思われますが、商品数の少ないECサイトの場合はぜひ検討しましょう。
また、商品ページに動画を設置する場合は、現在使っているECプラットフォームの商品ページが動画の設置に対応しているか、事前に仕様を調べておく必要があります。
以下のような有名ASPカートでは、YouTubeかVimeoにアップロードした動画を設置することができるようです。
◆YouTube(あるいはVimeo)にアップロードした動画をHTMLとして埋め込めるASPカート
・makeshop
・Eストアーショップサーブ
・futureshop
・Shopify
・BASE
・STORES
これらは、商品ページにmp4などの動画ファイルを設置(アップロード)することには対応しておりません。
インターファクトリーのECプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」であれば、YouTube動画などのHTML埋め込みとmp4ファイルのアップロードの両方に対応しております。
参考:EBISUMART サポートサイト「商品詳細画面で外部動画サイトの動画を表示する方法」
YouTube動画の埋め込み方式と動画ファイルを商品ページにアップロードする方式には、以下のようなメリットとデメリットがあるので、あわせてご覧ください。
◆YouTube動画のHTML埋め込み方式とアップロード方式の比較
動画の設置方式 | メリット | デメリット |
YouTube動画のHTML埋め込み方式 | ・サーバに負荷がかからない ・YouTubeチャンネルにも動画が増えて露出が高まる ・YouTubeは誰でも見ることができる |
・ユーザーの操作方法より、自社とは関係のないYouTube広告が表示される ・動画を大きい画面でみるユーザーは、商品ページから離脱される ・YouTube側でアカウントや該当動画が削除されたりした場合、ECサイト側でも動画が見れなくなる |
アップロード方式 | ・YouTubeのように、動画視聴によってECサイト離脱の可能性がない ・YouTubeなどのプラットフォームに依存しないで動画をコントロールできる(余計なリンクを掲載しないなど) |
・アクセスが多い場合は、サイト負荷が大きくなる ・カートシステムで使用できるメディア総容量に上限がある場合、リソースを圧迫する |
それでは次に、YouTubeチャンネルに動画を掲載して、動画マーケティングを実施する方法について解説します。
活用方法② 自社YouTubeチャンネルで商品動画を公開
先に紹介した、活用方法①の商品ページ用の動画が完成したのなら、自社YouTubeチャンネルも立ち上げて、自社YouTubeチャンネルに動画をアップロードします。
もし、ECサイト用の動画とYouTube用の動画を別にできるなら、YouTube視聴者にも再生されるように、以下のことを実施してみてください。
◆商品用動画をYouTube用に合わせる工夫
・ジェットカットを行う(会話の間などの不要部分をカット)
・概要欄にECサイトのURLを記載する
また、ECサイトにYouTube動画を埋め込む場合は、YouTube向けの編集にすると、商品ページに設置するには違和感があるので、商品ページのテイストを優先してください。
なぜなら、商品ページ用の動画はYouTube上でたくさん再生されるものではないため、まずは商品ページに設置して違和感のないテイストにすべきだからです。
YouTubeに商品動画を設置することで、商品購入に真剣なユーザーが後日YouTubeで動画を見つけてくれたり、あるいは競合商品を検索している際に自社の商品がおススメ表示されて、商品に気付いてもらえるキッカケとなるので、YouTubeチャンネル開設は必ず実施しましょう。
YouTubeチャンネルは、1年程度は真剣に取り組まないと登録者数1,000人達成も難しく、中小規模の企業でチャンネル登録者数を高めるのはカンタンではないため、EC事業者の場合は、まずは「動画をとりあえずアップしておく」という姿勢で問題ありません。それだけでも検討層にタッチできるチャネルとなります。
活用方法③ 自社SNSで公開
YouTubeチャンネル以外でも、動画を公開する方法としてはSNSが露出力が高く効果的な媒体と言えます。まずは、自社ECサイトのターゲット層にあわせてSNS運営をする必要があります。
◆動画を公開するべきSNS
SNS | ユーザー層 |
X(Twitter) | 10~20代の利用が多く男女比には差がない |
20~30代の利用者では60%以上が女性 | |
40代に最も利用されており男性の利用者がやや多い | |
TikTok | 10代の利用者がほとんどである |
これからSNS運営を開始する場合は、上記の表を参考解説してみてください。
また、各SNSの動画の制限は以下のようになっています。
◆各SNSの動画の制限
SNS | 動画の制限 |
X(Twitter) | 有料会員でない場合、長さは140秒まででファイルサイズは最大512MBまで。有料会員の場合は、解像度が1080pの場合、長さが4時間未満まででファイルサイズが最大16GBまで。解像度が720pの場合、長さが2時間以上4時間未満まででファイルサイズが最大16GBまでの動画をアップロード可能。 |
フィード投稿:最大60秒 ストーリーズ動画:最大60秒 リール動画:最大90秒 |
|
最大240分、ファイルサイズは最大10GB | |
TikTok | 最大動画容量: iOSは287MB 、Androidは72MB. 動画の長さ:15秒・60秒・10分(一部のユーザーは最大20分の動画アップロードが可能) |
このように、各SNSによって動画の制限が設けられております。特にInstagramやTikTokの場合は、商品動画用やYouTubeチャンネル用の動画をそのまま利用できないケースがあるので、再編集が必要となる場合があります。
しかし、YouTubeチャンネルでアップした動画は、XやInstagramにURLを貼り付けて宣伝することができるので、ECサイト全体の運用を考えると、以下のように行うのが最も労力をかけない動画マーケティングになるはずです。
◆労力を最小限にして最大の効果を得るための動画マーケティングの3つのステップ
ステップ② 商品動画にYouTube動画を埋め込み
ステップ③ XとFacebookでYouTubeチャンネルの動画URLを紹介
もちろん、成果を最大化するにはXやFacebook用の動画があるべきですが、EC担当者の業務を考えると困難なはずなので、YouTubeチャンネルに動画をアップするのが基本となります。
活用方法④ 組み立てやメンテナンスの説明動画を設置
商品ページやYouTubeチャンネル、SNSで自社商品のプロモーション動画を公開するのも良いのですが、できれば宣伝だけでなく、組み立て方法やメンテナンス作業を紹介した動画も公開すべきです。
例えば家具であれば、特に女性ユーザーなどは購入前に以下のような気持ちになるはずです。
◆組み立て式の家具を買う前の女性の気持ち
しかし、組み立てを解説する動画があれば、その不安を解消して注文に進むユーザーも増えるはずです。
つまり、組み立て用の動画は実は商品宣伝のためのマーケティングの動画にもなり得るのです。組み立て動画は、以下のような場所に設置してみましょう。
◆組み立てやメンテナンス動画の設置場所
・YouTubeチャンネル
・QRコードで商品に同梱
以下は、IKEA JapanのYouTubeチャンネルで公開されている商品の組み立て動画です。リンク先の動画をぜひご覧ください。
参考:IKEA JAPAN 公式YouTubeチャンネル「EKET/エーケト 組み立て方のコツ」
また、全ての商品にこのような組み立てやメンテナンス動画を用意することができれば、以下のように考えるユーザーが増えるはずです。
◆組み立て・メンテナンス動画が全ての商品にあるECサイトに対してのユーザーの思い
✓口コミに書こう!
✓友人にも教えてあげたい!
つまり、顧客満足度が高まり、リピート購入の促進や口コミにもつながるのです。
動画制作コストの相場と内製・外注の選び方
動画マーケティングに取り組もうと思っても、「そもそも動画はどう作るのか?」「コストはどのくらいかかるのか?」という点が気になるところでしょう。そこで、ここでは動画制作を進める上で検討すべきポイントを整理します。
まずは、制作コストについてですが、制作会社により非常に幅があるため一概には言えませんが、ざっくりとした目安について下記にまとめましたので、参考にしてみてください。
◆動画制作にかかる費用の目安
制作スタイル | 想定費用の目安 | 特徴 |
自社で内製(スマホ+簡易編集) | 数千円〜数万円 | 撮影・編集を自社で完結。SNS用など簡易的な動画に向いている。 |
制作会社・フリーランスに依頼(シンプル構成) | 数万円〜数十万円 | テロップ付き説明動画、ナレーション付き紹介動画など。撮影範囲により変動。 |
本格的な外注(企画〜撮影・編集まで一括) | 数十万円〜100万円以上 | 構成、演出、プロの撮影・ナレーション・アニメーションなどを含む場合。 |
動画制作には様々なスタイルと手法があり、目的や制作範囲に応じてコストは大きく変動します。上記は、おおまかな費用の目安です。その他、以下のような条件により費用はさらに増減します。
・モデルやナレーターのキャスティングの有無
・撮影ロケ地(スタジオ/出張撮影)の指定
・動画の尺(長さ)や本数
・編集内容の複雑さ(テロップ、BGM、効果音など)
例えば、短尺(30秒程度)のアニメーション動画でも、ストーリーボードやブランドガイドラインに沿った演出が求められると、制作費が50万円を超えるケースも珍しくありません。反対に、スマートフォン撮影+無料編集アプリで作るSNS用動画であれば、ほぼ費用ゼロから制作可能です。
次に、動画制作にあたって「自社で内製するか」「専門会社に外注するか」の判断ですが、コストやスピード感、クオリティの水準など、目的に応じて最適な体制を選ぶことが成果に直結します。以下の比較表を参考に、自社の状況にあった制作方法を検討してみてください。
◆内製と外注の選び方
項目 | 内製に向いている場合 | 外注に向いている場合 |
コスト | 極力費用を抑えたい | 品質を担保し、社内工数を抑えたい |
社内体制 | 担当者に編集スキルがある、制作環境がある | デザイン・編集のノウハウが不足している |
動画の目的 | SNS投稿、FAQ動画、簡易な商品紹介など | ブランド訴求、TVCM連動、重要なキャンペーン施策など |
制作スピード | 柔軟な更新や即時修正が求められる | 時間をかけてクオリティ重視で進めたい |
まずは簡易な動画から始めて、効果が見込める領域には外注を活用するなど、段階的なアプローチも有効です。最近では、撮影のみを内製し編集だけ外注するなどの「ハイブリッド型」の制作体制も広がりつつあります。
まとめ
ECサイトで動画マーケティングを実施する場合は、本日紹介した以下のことを実施してみましょう。
活用方法② 自社YouTubeチャンネルで公開
活用方法③ 自社SNSで公開
活用方法④ 組み立てやメンテナンスの説明動画を設置
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