LTV(ライフタイムバリュー)とは顧客生涯価値のことであり、端的に言えば、一人の新規ユーザーが、生涯において買い物する金額の総額のことです。ECサイトにおいては売上を安定させるためには、リピート購入を促すことが重要であり、それによりLTVを向上させることが求められます。
LTVの計算式はさまざまですが、この記事では下記の計算方法をもとに、LTVについて考えてまいります。
LTVを向上させる施策としては、CRM・WEB接客ツールを利用したものが多いのですが、それらのツールを導入していなくともできることはあります。
本日はforUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、ECサイトにおいて、LTV向上のための5つの施策を解説します。
LTV向上のための5つの具体的施策
それでは、ECサイトにおいてLTVを向上させるための5つの施策を解説します。
施策①優良顧客に対して、特別なオファーを提供する
すでに、自社のECサイトで繰り返し買い物しているユーザーに対して、特別なおもてなしをしているでしょうか。筆者の経験ですが、あるスクールのマーケティングを担当していたころ、既存顧客にアンケートを実施した結果、以下のような声が非常に多かったことがあります。
あまりにも声が多かったため、優良顧客に対して特別なオファーをしたところ、そのような声がなくなり、ますます優良顧客のサービスの利用率が上がったという経験があります。
通常、ECサイト運営では、既存ユーザーにアンケートを取ることはないと思われるので、このような声に気が付かないかもしれません。何年も利用している優良顧客であっても、一つの不満をきっかけに他のECサイトを利用するようになる可能性もありますので、LTVの高い優良顧客には特別なオファーを検討してみましょう。
優良顧客をセグメントする際は、以下のようなセグメント抽出方法があります。
◆優良顧客のセグメント抽出方法
・累計購入金額が多い
・最終注文日が直近
顧客リストのセグメントを実施して、これらの優良顧客に対して、感謝の気持ちを示すことで、ロイヤリティが高くなり、ECサイトの利用率が高まり、LTVを向上させることができます。具体的にはセグメントを手作業で抽出し、メルマガやDMでオファーを送付してみましょう。
施策②送料無料を実施する
下記のアメリカの調査結果によると、ECサイトを選ぶ基準として、配送スピードと送料無料に期待しているユーザーが多いことが分かります。
出典:Digital Commerce 360とBizrate Insightsが実施した「How has being an Amazon Prime member influenced your perception and expectations surrounding online order deliveries? Please select all that apply」の調査結果をもとに日本語表記の表を筆者が作成
送料無料は、EC事業者の負担が大きくなるため、カンタンな施策ではありませんが、Amazonプライムが普及し、大手を中心に送料無料を実施するECサイトが増えております。そして若いユーザーほど、どのECサイトが送料無料なのか比較検討する傾向が高いでしょう。
このような状況をLTV向上施策と捉えた場合、送料無料を実施することで、リピート購入しやすい状況を整えます。
送料無料を実施することで、以下のKPIを高めることができるはずです。
平均継続期間(年)
しかし、単に送料無料を実施しても効果は上がりません。ECサイトでしっかり送料無料を告知する必要があります。
◆送料無料を告知する場所
カテゴリページ
商品ページ
繰り返し送料無料をアピールして、このECサイトでの買い物がお得であるという印象をユーザーに持ってもらいましょう。
施策③オマケや手書きのメッセージを商品に同梱する
ECサイトで購入した商品が自宅に届いたときに、予想もしない「オマケ」や「手書きのメッセージ」があれば、心が温まるものです。
筆者も以前、ECサイトで「エアジョーダン」を繰り返し購入した際、「以前、買ったエアジョーダン4はいかがでしたでしょうか?」というようなカンタンなメッセージが同梱されており、そのECサイトへの親しみを覚えました。
ECサイトの規模が小さいうちは、注文数が少ないので手書きのメッセージを入れる対応は可能なはずです。また、ステッカーなどのオマケをいれることで、ユーザーのロイヤリティを向上させることはできるはずです。このようなサプライズの演出を真剣に考えることで、LTVを向上させることができます。
施策④リピーターにSNSをフォローしてもらい商品の魅力をアピール
CRMに力を入れて、ユーザー一人一人に異なる接客を試みても、スマートフォンが普及した昨今では、あまりメルマガは見られることはありません。筆者も以前購入したショップやサービスからメルマガが大量に届きますが、ほとんど開封しておりません。
そのため、リピート購入を促すのはメルマガより、SNSの方が向いていると筆者は考えます。まず、新規や既存ユーザーに対して、商品を発送した際に、SNSアカウントのQRコードを同梱して、自社のInstagramやFacebookなどのアカウントをフォローしてもらう施策を実施しましょう。
そして、SNSのフォロワーを増やしつつ、SNSで商品の魅力的な写真や機能をアピールすることで、既存顧客がリピート購入をする可能性が出てきます。ただし、SNSはユーザーとの交流の場ですから、あまり宣伝色が強いアカウントはフォローを外されてしまいますので、ユーザーの視点で、役に立つ投稿を心掛けましょう。
SNS施策を積極的に行うこともリピート購入を促し、LTVの向上につながるのです。
施策⑤梱包のクオリティを高める
ECサイトをただの注文の仕組みと考えるか、あるいはユーザーに素晴らしい購入体験をしてもらうためのツールと考えるかで、LTVに大きな違いが生まれるはずです。
その点、Apple製品の梱包は非常に丁寧で、またとてもきれいな梱包であるため、箱を捨てるのをためらうほどです。
このような施策は、小規模EC事業者でも限定的にまねできるはずです。以下のECのミカタの記事では梱包のコツがまとめられているので、参考にしてみてください。
梱包に注力しても、すぐにユーザーから好意的な反応が返ってくるかは分かりません。しかし、他のECサイトで買い物をして梱包を比較した際に、「そういえば、以前買ったECサイトの梱包はきれいだったな」と思い出して、自社のECサイトに戻ってきてくれることもあるかもしれません。
このようにユーザーの購入体験を演出するという視点を持つことが、LTVの向上にもつながるのです。
まとめ
本日紹介した方法は、特別なCRMツールを導入していなくてもできるLTV向上施策です。LTVの向上とは、すなわち顧客満足度を高める施策につながります。規模が小さいECサイトの運用では、メッセージを送るなどのマーケティングが実施できるので、試せるものから実施してみてください。
もし、ECサイトでの売上拡大にお困りでしたら、株式会社インターファクトリーのEC支援サービス「ebisu growth」までお問い合わせください。経験が長いコンサルタントが貴社ECサイトを成功に導きます。
◆EC支援サービス「ebisu growth」の提供サービス
✓戦略立案
✓ECサイト構築
✓集客
✓CRM
✓アクセス解析・運用改善提案
✓運用代行・制作代行
サイト分析から、Instagramを使ったSNSの運用まで多くのECのノウハウがございます。まずは下記サイトをご覧いただき、お気軽に資料請求をしてみてください。