ECサイト運営の効率がグッと向上「9つのAI活用法」実例付き解説

ECサイトの運営では、商品登録や問い合わせ対応、集客の記事作成など、手間のかかる業務が数多くあります。これらの業務の効率化や売上の改善に、AIを活用する動きが広がっています。

一方で、「AIで具体的に何ができるのか」「自社のどの業務から始めれば良いのか」が分からず、踏み出せていない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、ECサイトでのAI活用について、具体的な活用方法や業務効率方法を紹介します。

◆ECサイト運営におけるAI活用方法9選

① 商品説明文の作成
② 商品画像の加工
③ 商品登録
④ バナー作成
⑤ 問い合わせ対応・FAQ作成
⑥ 集客ブログの作成
⑦ 需要予測
⑧ データ分析・CRM
⑨ パーソナライズ(レコメンド・表示の出し分け)

ChatGPTやClaude、Geminiといった生成AIを使い、個人でもすぐに始められるものから、ツールやデータ基盤を活用して取り組むものまで、幅広く取り上げます。実際に使ったプロンプトや生成結果も交えながら解説しますので、自社で取り入れる際の参考にしてください。

ECサイトにおける3つのAI活用事例

まずは、ECサイト運営におていAIが実際にどう使われているのかを知るために、3社のAI活用事例を紹介します。

事例① ZOZOTOWN:AIレコメンドで推薦枠経由の注文金額・閲覧数が大きく改善

ZOZOが運営するファッションECのZOZOTOWNは、1,500以上のショップ、8,500以上のブランドで、常時90万点以上の商品を扱う(2022年6月末現在)大規模サイトです。この規模になると「一人一人に合う商品をどう見せるか」が売上に大きく影響します。

ZOZOTOWNの課題は、商品ページの「おすすめアイテム」枠にありました。この枠はもともとルールベースで自社開発した仕組みで動いており、ユーザーごとのパーソナライズができていない状態でした。

そこで、Google Cloudのレコメンドサービス「Recommendations AI」を採用し、自社開発の推薦モデルとA/Bテストで比較したうえで、2022年6月にスマホ版、8月にPC版のZOZOTOWNへ導入しました。Google Cloud 公式ブログによると、以下のような結果が出たとされています。

◆A/Bテストの結果

「A/Bテストの結果、自社開発の推薦モデルと比較して Recommendations AI は、推薦経由の商品閲覧数 217.03%、注文金額 262.21% と効果を十分に実感できました。ZOZOTOWN 全体の指標としても、注文金額 101.29%、注文数 101.69%、商品閲覧数 105.76% という A/B テストの結果になりました。フルマネージド サービスなのでシステムの管理が不要で、運用コストが下がることが Recommendations AI を採用した理由でした。」(Google Cloud公式ブログより引用)

推薦枠そのものを通った指標は2倍を超え、サイト全体でも各指標が改善しました。

この結果のポイントは、これらの数値が「レコメンドなし」ではなく「すでに動いていた自社開発モデル」との比較である点です。つまり、ゼロから導入した効果ではなく、既存の仕組みをAIに置き換えたことによる上積み分を示しています。

出典:Google Cloud 公式ブログ「ZOZO:A/B テストの結果 Recommendations AI により ZOZOTOWN 全体の注文金額、注文数、商品閲覧数で 101% 以上の効果を達成」(2022年12月5日)

事例② Oisix:AI需要予測で発注を最適化し、予測誤差率を20.2%改善

食品のサブスクリプションサービスを提供するOisixの課題は、従来の需要予測のやり方にありました。

需要予測システムを導入する前は、担当者が一定のデータと経験値をもとに予測を立てており、考慮できる幅に限界がありました。さらに予測に時間がかかるため、本来注力すべき「売るための仕掛けを考える時間」が削られていたと言います。

そこで、同社が発足したデータ活用の専門組織「DMO(Data Management Office)」において、AIを用いた需要予測システムを自社開発しました。顧客の行動や購買データ、レシピデータ、販促データなどを学習させ、2023年11月に主力商品であるミールキット「Kit Oisix」の需要予測へ適用しています。

◆導入の結果

予測誤差率:ローンチ後1か月で20.2%改善(旧ロジックと新ロジックにおける相対改善率)
見込まれる効果:最適な発注による欠品率・在庫回転率の改善、フードロス削減、顧客体験の向上

担当者の経験に頼っていた需要予測にAIを取り入れたことで、ローンチからわずか1か月で精度を改善できた点は、データ活用の成果と言えます。

ただし、「20.2%改善」は、フードロスや売上が20.2%減った、増えたという意味ではなく、あくまで需要予測の誤差率を、従来のロジックと比べてどれだけ縮められたかを示す相対値です。

また、欠品率や在庫回転率の改善、フードロス削減、顧客体験の向上は、発注の最適化から期待される効果として説明されているものです。

出典:オイシックス・ラ・大地 公式ニュースリリース「オイシックス・ラ・大地 AIを活用した「需要予測システム」をローンチ 調達における予測誤差率20.2%の改善を実現 更なる顧客体験向上と、フードロスの削減へ」(2024年1月15日)

事例③ メルカリ:写真からAIが商品情報を自動生成

フリマアプリ「メルカリ」では、2024年9月から「AI出品サポート」を提供しています。出品時に商品の写真を撮影またはアップロードし、カテゴリを選ぶだけで、AIがタイトルや商品説明、商品の状態、販売価格などを自動で入力する機能で、最短3タップで出品が完了します。

◆AI出品サポートの流れ

1. 商品の写真を撮影またはアップロードする
2. カテゴリを選ぶ
3. AIがタイトル・説明文・状態・価格を自動生成
4. 内容を確認・修正して出品する

この機能の背景には、出品のハードルの高さがありました。メルカリがアンケート調査を行ったところ、商品情報の入力に負担を感じる、商品説明をどこまで書けば良いか分からず出品を中断した、といった声が一定数あることが分かったと言います。AI出品ポートは、出品をためらう人の手間を減らし、出品の総数を増やすことが狙いです。

ただし、メルカリは、個人が不要品を1点ずつ出品するC2Cの場であり、出品の手間を下げること自体に大きな価値があります。

一方、ブランドと品質を背負って商品を売る自社ECサイトでは、写真から全自動で生成した商品説明や価格をそのまま掲載するといったAIの使い方には注意が必要です。商品情報の正確さ、ブランドとしての表現の統一、他社との差別化が求められるためです。

つまり、自社ECサイトでは、AIに任せて良い部分と、人が設計・判断すべき部分の線引きが重要です。事項では、ECサイトで実際に成果につながるAIの使いどころについて解説していきます。

ECサイト運営におけるAI活用方法9選

ここからは、ECサイトでAIを活用できる9つの場面を紹介します。

◆ECサイト運営における9つのAI活用法

商品説明文やバナー作成のように、ChatGPTやClaudeなど普段使う生成AIですぐに始められるものから、レコメンドや需要予測のように、専用ツールやデータ基盤を用いて取り組むものまで幅があります。自社のどの場面から取り入れられそうかを考えながらご覧ください。

活用法① 商品説明文の作成

生成AIを使って商品説明文の下書きを作ることができます。商品の素材やサイズ、特徴、想定する顧客などの情報をAIに渡すと、ECサイトに載せる説明文の案を作成できます。トーンや長さを変えた複数案を一度に出せるため、ゼロから書くより大幅に時間を短縮できます。

成果につなげるポイントは、プロンプトに「誰に向けた商品か」「どんな悩みや場面で使うか」を含めることです。特徴をそのまま並べるのではなく、その特徴が顧客にとってどんなメリットになるかをAIに変換させると、購入につながりやすい説明文になります。検索からの流入を意識する場合は、狙うキーワードをプロンプトで指定しておくと良いでしょう。

ここでは、筆者がClaudeを使って実際に商品説明文を作成してみました。

◆プロンプト例

あなたはアパレルECの商品コピーライターです。下記の商品について、ECサイト用の商品説明文を作成してください。

商品情報
・商品名:オーガニックコットン クルーネックTシャツ(メンズ)
・素材:オーガニックコットン100%
・特徴:肉厚な5.6オンス生地、首元が伸びにくいリブ仕様、洗濯後も型崩れしにくい
・カラー:5色展開
・サイズ:S〜XXL
・ターゲット:長く使える定番Tシャツを探している20〜40代の男性

条件
・文体:です・ます調、落ち着いたトーン
・構成:①冒頭で魅力を一文 ②特徴を3点 ③着用シーンの提案
・文字数:250字程度
・「最高」「No.1」など根拠のない誇張表現は使わない
・キーワード「メンズ Tシャツ 無地」を自然に1回含める

◆上記プロンプトの生成結果

商品説明文(約250字)

毎日のコーディネートを支える、長く愛用できる定番の一枚です。
オーガニックコットン100%を使用し、肌に触れる心地よさにこだわりました。肉厚な5.6オンスの生地は一枚でもしっかりとした存在感があり、透けにくいのも魅力です。首元は伸びにくいリブ仕様で、洗濯を重ねても型崩れしにくく、きれいなシルエットを保ちます。
シンプルなメンズ Tシャツ 無地だからこそ、休日のリラックスした装いから、ジャケットのインナーまで幅広く活躍します。S〜XXLの5色展開で、お気に入りの一枚がきっと見つかります。

(文字数:約240字/キーワード「メンズ Tシャツ 無地」1回・自然に挿入済み)

このように、商品情報と条件を渡すだけで、整った説明文の下書きが手に入ります。ただし、AIは与えていない機能や素材をもっともらしく書き加えることがあるため、生成された文章をそのまま掲載するのは避けてください。素材やサイズ、機能などの事実は、必ず人が商品情報と照らし合わせて確認します。

また、「No.1」「効果があります」といった表現は、景品表示法や薬機法の観点から根拠が必要です。AIが作るのはあくまで下書きであり、事実の確認とブランドらしい表現の仕上げは人が担う、という役割分担が必要です。

活用法② 商品画像の加工

ここでは、生成AIを使って商品画像を加工する方法を紹介します。自分で用意した商品写真でも、背景を整えたり明るさや色味を補正したりすることで、ECサイト掲載用の見栄えに近づけることができます。専用の撮影スタジオやデザインソフトのスキルがなくても、画像をAIに渡して指示するだけで一定の品質に仕上げられます

加工には大きく2つの段階があります。1つは、商品はそのままに見栄えを上げる品質補正です。背景を白く整える、明るさや色味を補正する、不自然な影や傾きを直すといった加工です。もう1つは、商品を残して背景だけを差し替え、利用シーンを演出する加工です。

今回は、筆者が用意したハンドバッグの画像を、ChatGPTで実際に加工してみました。

◆筆者が用意した元画像

筆者が用意した元画像

◆品質補正のプロンプト

この商品写真を、ECサイト掲載用に補正してください。

・背景を純白(#FFFFFF)に整える
・商品全体の明るさを上げ、自然な色味に補正する
・不自然な影を整え、商品が浮かないよう接地影は薄く残す
・傾きをまっすぐに補正する
・商品そのものの色・形・質感は変えないこと

◆上記プロンプトの生成画像

品質補正した生成画像

まず第一段階の品質補正です。背景はグレーから白に整い、全体が明るくなって商品が見やすくなりました。しかし、よく見ると補正後はブラウンの色味がやや明るく、暖色寄りに見えます。ここが生成AIを活用する上での大切なポイントです

今回のプロンプトには「商品そのものの色・形・質感は変えないこと」と指示していましたが、明るさを補正する過程で色味が動きました。もし加工前の方が実物の色に近いのであれば、この状態のまま掲載するのは避けるべきです。掲載前に、画面の色味が実物と一致しているかを必ず確認しましょう

次に第二段階の背景演出です。補正した画像に対して、さらに以下のようなプロンプトを与えて、画像を生成しました。

◆背景演出のプロンプト

この商品写真の背景だけを差し替えてください。

・背景:明るい自然光のカフェのテーブルの上
・商品(ハンドバッグ)の色・形・素材の質感は一切変えないこと
・商品に新たな影やライティングを足す場合も、不自然にならない範囲にとどめる
・実物と異なる印象を与える加工はしない

◆上記プロンプトの生成画像

背景演出した生成画像

商品はそのままに、背景だけを明るいカフェのテーブルに差し替えました。白背景の写真よりも、その商品を使う場面が想像しやすくなります。ただし、背景生成では商品の輪郭や色までAIが描き変えてしまうことがあります。生成後は、バッグの色・形・質感が元の写真と一致しているかを必ず確認します。

ちなみに今回は、背景を変える工程で色味がまた動きました。一度整えた色が二度目でまた変わってしまうというのも、生成AIならではの「揺れ」です

原因は、同じチャットに前の画像が残っていて、AIがそれも見て描き直してしまうことにあります。そのため、工程を分けて加工するときは、新しいチャットを開いて、その直前に仕上がった画像だけを渡すと、こうした揺れを抑えやすくなります。

AIを活用して商品画像を作成する際に厳守すべきポイントは、実物と異なる印象を与えないことです。特にアパレルやバッグのような商材では、色や質感が実物と違うと、返品やクレーム、そして景品表示法上の優良誤認につながります。

背景の演出までは問題になりにくい一方で、商品そのものの色や状態を「盛る」加工は避けるべきです。AIは作業を効率化する道具であり、実物との一致を担保するのは人の役割です。

活用法③ 商品登録

商品登録は、ECサイト運営の中でも手間のかかる作業の1つです。商品名、価格、カテゴリ、タグ、スペック情報など、入力すべき項目は多く、商品数が増えるほど負担も積み上がります。

生成AIが得意とするのは、仕入れ先の資料やメーカーサイトに散在する情報を、登録項目の形にそろえることです。素材や寸法、付属品といった情報を渡せば、商品名の案、タグ、仕様表をまとめて整えられます。

今回は、架空のハンドバッグの製品情報を使い、Claudeを使って登録項目を一度に整えてみました。

◆商品登録に使ったプロンプトの例

あなたはECサイトの商品登録担当者です。以下の製品情報を、ECの管理画面に登録できる形に整えてください。

製品情報
・種類:レディース ショルダーバッグ(合成皮革)
・カラー:ブラウン
・サイズ:横28cm 縦24cm マチ12cm
・重量:約480g
・仕様:内ポケット2つ、マグネット開閉、タッセル付き、ショルダー長さ調整可
・価格:6,900円

出力してほしい項目
1. 商品名(35文字以内、検索されやすい語を前方に)
2. 検索用タグ(8〜10個)
3. 商品説明文(300文字程度)
4. 仕様表(項目名と内容の2列で、Markdownの表)

※製品情報にない内容は補わず、不足があれば「要確認」と記載してください。

プロンプトのポイントは、製品情報にない内容を勝手に補わせず、足りない箇所は「要確認」と明示させていることです。これにより、AIが事実を創作するのを抑えられます。

◆生成結果のサンプル

商品登録データ生成サンプル

製品情報を渡すだけで、登録項目のベースがそろいます。あとは内容を確認し、自社の表記ルールに合わせて整えるだけです。

また、商品数が多い場合は、出力をCSVで指定すると、さらに効率が上がります。

◆複数商品をCSVでまとめて書き出す指示

同じ要領で、添付した複数商品の製品情報をまとめて処理し、
「商品名 / タグ / 価格 / 素材 / サイズ / 重量」の列順でCSV形式にしてください。

ECシステムの多くは、商品をCSVで一括登録できます。生成からインポートまでを一本の流れにすれば、登録作業の時間を大きく減らせます。手作業での1件ずつの入力に比べ、商品数が多いほど効果は大きくなります。

活用法④ バナー作成

ECサイトのセールやキャンペーンで使うバナーなどのクリエイティブも、生成AIで作成できます。ここでもChatGPTを使って、以下のプロンプトでバナーを生成してみました。

◆セールバナー作成のプロンプト

ECサイト用の、上品で目を引くセール告知バナーを作成してください。

商材
レディースの黒のハンドバッグ(上品で日常使いしやすいデザイン)

ビジュアル
・20代後半から30代の女性が、この黒のハンドバッグを肩にかけている、または手に持っている構図
・明るく清潔感のある屋外、自然光、上品な雰囲気
・バッグの色(黒)と形、金具のディテールは自然で統一感のある見た目にすること
・正方形(1:1)

入れる文字とレイアウト
・キャッチコピー(上部):毎日を、私らしく持ち歩く
・メインコピー(中央か下部):新作バッグ SALE
・サブコピー:今だけ 20%OFF
・特徴を3つ、小さなアイコンと短い言葉で(軽量/大容量/たっぷり収納)

フォント
・女性的で上品なフォント
・使用するフォントは最大2種類まで

トーン
洗練された、上品で柔らかい雰囲気

◆上記プロンプトの生成画像

セールバナーの生成画像

特に素材(商品や人物の写真)も与えず、ゼロから作成して、この完成度のものが数秒で出てくるのは、生成AIの大きな強みです。デザインの知識がなくても、訴求の形になったバナーのたたき台が手に入ります。

ただし、実際の運用では、自社の商品写真をもとに生成することになりますが、商品写真をAIに読み込ませて加工や人物との合成をすると、生成した時点で商品の見た目が変わってしまうことがあります。

現実的なのは、実際に撮影した商品写真を背景として読み込ませ、その商品には手を加えずに、キャッチコピーや装飾といった要素だけをAIや編集ツールでレイアウトします。フルで生成する方法は、アイデア出しやラフ案として使うのが良いでしょう。

活用法⑤ 問い合わせ対応・FAQ作成

ECサイトには、送料や返品、サイズ感など、顧客から繰り返し寄せられる質問がありますが、同じような質問への回答を1つずつ書き起こす作業は、手間がかかります。

ここで生成AIを使うと、よくある質問への回答文やFAQを、まとめて下書きできます。問い合わせメールの返信文、FAQページの掲載文、チャットボットに登録する応答文など、用途に応じて使い回せる回答のもとを効率良く用意できます。

今回は、バッグやTシャツを扱うショップを想定し、よくある質問への回答文をAIに作ってもらいました。

◆問い合わせやFAQの回答文作成に使ったプロンプトの例

あなたはアパレルとバッグを扱うECサイトのカスタマーサポート担当者です。
以下のよくある質問に対して、メールやFAQページに表示する回答文を作成してください。

条件
・文体:です・ます調、丁寧で親しみやすいトーン
・長さ:各回答100文字程度
・確定できない内容は断定せず、問い合わせ先を案内する

質問リスト
1. 送料はいくらですか?
2. 注文後、何日くらいで届きますか?
3. 返品や交換はできますか?
4. 商品のサイズ感を知りたいです。
5. ギフト用のラッピングはできますか?

すると、以下のような内容が生成されました。

◆上記プロンプトの生成結果(一部)

1. 送料はいくらですか?
送料は全国一律〔○○○円〕です。〔○○○○円〕以上のご購入で送料無料となります。地域や配送方法により異なる場合がございますので、ご注文手続き画面にて最終金額をご確認ください。

2. 注文後、何日くらいで届きますか?
ご注文確認後、〔○〕営業日以内に発送いたします。お届けまでの目安は発送から〔○~○日〕です。天候や交通状況により遅れる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

用意した回答文は、問い合わせメールの返信テンプレートとして使う、FAQページにまとめて掲載する、チャットボットやWeb接客ツールに登録して自動応答させるなど、さまざまな場面で活用できます。

近年は、登録したFAQや商品データをもとに、生成AIが自然な文章で自動応答するツールも増えています。

参考:社内・社外向けFAQチャットボット「AI-FAQボット」

活用法⑥ 集客ブログの作成

ECサイトへの集客では、商品に関連する情報をブログ記事として発信し、検索からの流入を増やす方法がよく使われます。記事の作成は時間のかかる作業ですが、生成AIを使えば、構成案づくりや下書きを効率化できます。

例えば、狙いたいキーワードや読者像を伝えると、見出しの構成案や本文の下書きをまとめて用意できます

◆集客ブログの構成案づくりに使うプロンプトの例

あなたはアパレルとバッグを扱うECサイトの編集者です。以下の条件で、ブログ記事の構成案(見出し)を作成してください。

キーワード
レザーバッグ 手入れ

読者像
本革のバッグを初めて買い、長く使いたいと考えている人

条件
・検索意図に沿った見出し構成にする
・H2を5つ前後、各H2に必要に応じてH3を添える
・読者の疑問に答える順序で並べる

構成案ができたら、各見出しの本文も、商品説明文の作成(活用法①)と同じ要領でAIに下書きさせられます。ただし、AIが作った文章を、そのまま公開するのは避けるべきです

なぜなら、生成AIが書く内容は、すでにWeb上にある一般的な情報の組み合わせになりやすく、独自性に欠けるためです。同じようなテーマでAIに書かせれば、他社と似た記事が大量に生まれます。

また、検索エンジンの評価にも影響があります。Googleは、コンテンツの品質を重視すると明言しています。検索品質の評価基準であるE-E-A-T(専門性、エクスペリエンス、権威性、信頼性)では、専門性や信頼性に加えて、書き手のエクスペリエンス(経験)が評価されます。実際に体験した人にしか書けない内容が、評価されやすい仕組みです。

さらにGoogleは、AIを使ったからといって検索順位で特別に優遇されることはなく、評価されるのは作成方法ではなく内容だと説明しており、検索順位を操作する目的で安易にAIを使うことは推奨しないとも明言しています。

出典:Google検索セントラルブログ「AI生成コンテンツに関するGoogle検索のガイダンス」(2023年2月8日)

そこで、AIで作った下書きには、以下のような独自の要素を加えましょう。

◆ブログ記事の独自性を高めるコンテンツ

・自分で商品を使った感想や、お客さまから実際に寄せられた声
・自分で撮影した写真(ストックフォトやAI生成画像ではなく、実物の写真)
・取り扱う商品ならではの具体的なアドバイス

AIに任せるのは、構成案や本文の下書きまでで、記事に独自性と信頼性を与える体験や写真は人が加えることが、集客につながるブログを作るうえで重要になります。

活用法⑦ 需要予測

ECサイトでは、在庫を多く持ちすぎれば保管コストや廃棄が増え、少なすぎれば欠品で販売機会を逃します。そこで、「どれだけ仕入れ、どれだけ持つか」の判断を、過去の販売データをもとにAIが支援するのが需要予測です。

従来の需要予測は、担当者が過去の実績と経験から見込みを立てる方法が中心でした。AIを使うと、販売実績に加えて、季節やイベント、曜日や天候といった複数の要因をまとめて分析し、商品ごとの需要を予測できます。

食品のサブスクリプションサービスを提供するOisixは、この需要予測をミールキットに適用し、ローンチ後1か月で予測誤差率を20.2%改善しました。賞味期限の短い商材ほど、予測精度の改善は欠品とフードロスの両面に効きます。

出典:オイシックス・ラ・大地 公式ニュースリリース「オイシックス・ラ・大地 AIを活用した「需要予測システム」をローンチ 調達における予測誤差率20.2%の改善を実現 更なる顧客体験向上と、フードロスの削減へ」(2024年1月15日)

注意点は、AIの予測をそのまま発注量に直結させないことです。予測はあくまで判断材料であり、最終的な発注量は、キャンペーンの予定や仕入れ先の事情といった、データに表れない要素も加味して人が決めます。AIで予測の精度を底上げし、最終判断は人が行うという役割分担は、これまでの活用方法と共通するポイントです。

AIを活用した需要予測や自動発注に特化した専用ツールとしては、以下が挙げられます。

sinops-CLOUD
α-発注

活用法⑧ データ分析・CRM

データ分析やCRM(顧客関係管理)施策の実施にもAIが役立ちます。ECサイトには、注文履歴やサイト内の行動、メールの開封状況など、多くの顧客データが蓄積されています。これらを分析し、次の施策につなげるのがこの活用方法です。

データの量が多く、人がすべてを見て傾向をつかむのは難しいため、AIによる分析が役立ちます。AIを使うと、例えば以下のような分析ができます。

◆データ分析・CRMでのAIの活用例

・顧客の分類:購買頻度や購入金額などをもとに、顧客をグループに分ける
・離脱や解約の予測:購買やログインの間隔から、離れそうな顧客を早めに見つける
・行動の傾向の把握:どの商品が一緒に買われやすいか、どの経路で購入に至るかを分析する

これらの分析結果をもとに、離れそうなお客さまにクーポンを届ける、優良なお客さまに特別な案内を送るなど、グループごとに異なる対応を取ります。やみくもに全員へ同じ案内を送るのではなく、データにもとづいて対象を絞ることで、施策の効果を高められます。

導入の方法は、CRMツールやMA(マーケティングオートメーション)ツールに、AIによる分析機能が組み込まれているものを使うのが一般的です。例えば、以下のサービスが挙げられます。

カスタマーリングス
うちでのこづち

活用法⑨ パーソナライズ(レコメンド・表示の出し分け)

ECサイトでは、全員に同じ情報が表示されるのが基本ですが、訪れるユーザーの興味も、購入の段階もそれぞれ異なります。AIが一人一人の履歴や行動を読み取り、この違いに合わせて表示を変えることで、ユーザーは自分に関係のある情報に出会いやすくなり、購入につながりやすくなります。

パーソナライズには、以下のような方法があります。

◆パーソナライズの主な方法

レコメンド:閲覧履歴や購買履歴をもとに、一人一人に合った商品を提案する
表示の出し分け:新規かリピーターか、会員かどうかなどに応じて、バナーや訴求を変える
検索結果の最適化:同じ言葉で検索しても、ユーザーの傾向に応じて表示順を調整する

本記事の事例で紹介したように、ZOZOTOWNは、レコメンドの仕組みにAIを導入し、推薦枠を経由した指標を大きく改善しました。

出典:Google Cloud 公式ブログ「ZOZO:A/B テストの結果 Recommendations AI により ZOZOTOWN 全体の注文金額、注文数、商品閲覧数で 101% 以上の効果を達成」(2022年12月5日)

バナーなどの表示の出し分けも、効果的なパーソナライズです。例えば、初めて訪れたお客さまには送料無料や初回特典を訴求し、リピーターには新商品や再入荷の案内を見せる、といった出し分けができます。同じバナー枠でも、相手に応じて中身を変えることで、訴求の精度が上がります。

専用ツールには、以下のようなものがあります。

アイジェント・レコメンダー
KARTE
Rtoaster

まとめ

ECサイトでのAI活用は、商品説明文や画像の加工のように生成AIで個人でもすぐに始められるものから、需要予測やパーソナライズのように、ツールやデータ基盤を使って取り組むものまで、活用の幅は広がっています。

全体を通して共通していたのは、AIに任せて良い部分と、人が担うべき部分の線引きです。AIは、文章や画像の下書き、データの分析や予測といった作業を、大幅に効率化しますが、生成された内容が事実と合っているかの確認、ブランドとしての表現、お客さまにどんな体験を届けるかという設計は、人にしかできません

どの業務にAIを使い、どこに人の判断を残すかの見極めと全体の設計が、成果を分けます。自社の課題とゴールを整理し、どこからAIを活用するかの計画を立てることが成功につながります。

とはいえ、これらの業務を自社だけで回し続けるのは、簡単ではありません。EC担当者が1〜2名で全業務を抱え、手が回らないという声は少なくありません。AIを使った効率化と、人による品質の担保を両立しながら運用するには、相応の体制が必要です。

そのような場合の選択肢として、株式会社インターファクトリーが提供するEC支援サービス「EBISU GROWTH」があります。EC戦略の立案から運用までを専任のPMが伴走して支援するほか、AIを活用したEC業務の運用代行サービス「AI活用EC運用代行サービス」では、商品登録やバナー制作、商品画像の加工、商品説明文の作成、データ分析といった業務を代行します。

「AI活用EC運用代行サービス」の特徴は、AIが作ったものをそのまま納品するのではなく、EC運用に詳しい担当者が確認と修正を行ったうえで仕上げる点です。この記事で繰り返し述べてきた「AIに任せる部分と、人が担う部分の役割分担」を、サービスとして形にしたものと言えます。

AI活用を含めたEC戦略に課題を感じている場合は、相談を検討してみてください。詳細については、以下の公式ページをご覧ください。サービス資料のダウンロードも可能です。

EBISU GROWTH「AI活用EC運用代行サービス」

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井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表。 株式会社インターファクトリーのWebマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」では、ECサイトの初心者向けに特に集客方法について解説。