5つのECプラットフォームを徹底解説!自社に合うECサイトを作る!

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「ECサイトをうちの会社で作ることになったんだけど、どうすればいいの?」
「ECのプラットフォームって、どんな種類があるの?」

これから会社でECシステムを構築する方は、どんなプラットフォームがあるのか調べているのではないでしょうか?ECのプラットフォームは大きくわけて5つの種類があります。

①ASP-EC
②オープンソース
③ECパッケージ
④クラウドEC
⑤フルスクラッチ

この中から自社に合ったプラットフォームを選ぶためには「ECサイト想定年商」と「ECサイトで実現したいこと」をある程度イメージしておく必要があります。なぜなら一度ECサイトを導入すると、リニューアルが大変ですから、3~5年間のECサイトをイメージしておけば、システム改修やリニューアルの事を考慮したプラットフォームを選択し、費用を押さえることができるからです。

本日はインターファクトリーでシニアアドバイザーを担当している筆者が、5つのECのプラットフォームについて詳しく解説いたします。

5つのECプラットフォームを徹底比較

まず手っ取りばやく、自社でECサイトに使うべきシステムがどれか?と知りたい場合は下記の表を見てください。

◆5つのECプラットフォーム比較表

 

ポイントはECサイト年商とカスタマイズ性です。例えばECサイトでの想定年商が5,000万円であれば、フルスクラッチやクラウドECは不要で、ASP-ECを採用すべきです。

一方で、サイト年商が10億円を超えることがある大手の新規ECサイトの場合は、ASP-ECではシステム連携や、デザインに制限があり最適なECシステムとは言えません。

初期費用や月額費用に「数万円~数千万円」などバラつきがあるのは以下の点で費用が大きく変わるためです。

◆費用が高いケース

✔システム連携がある場合は費用が高い
✔カスタマイズがある場合は費用が高い
✔有料のオプションを使う場合は費用が高い
✔PV数が多いサイトは従量課金の場合がある
✔特殊な要件の場合は費用が高い

このような場合は、ECシステムにかかる費用が高くなります。逆に上記のどれでもない場合は、ECパッケージやクラウドECであっても、デフォルトの機能を中心に使うため、費用を抑えることができます。

この比較表に、ご自身の会社の「想定年商」と「システム連携の有無」などを当てはめて考えれば、必要なECプラットフォームが見えてくるはずです。

それでは、各プラットフォームを一つずつ解説します。

①手軽にECサイトが構築できる「ASP-EC」は企業でもよく使われる手法!

すぐにECサイトが作れるのがASPの魅力

例えば「新規事業ですぐにECサイトを構築する!」といったケースはASP-ECは最適です。なぜなら、すでに完成しているECシステムに、商品を登録し、デザインテンプレートを選び、ECサイトをオープンすることができるので、手軽にECサイトをオープンすることができますし、費用をかなり抑えることができます。

私は過去に年商100億円の大手企業で新規ECサイトを立ち上げたことがありますが、使ったECシステムは、ASP-ECでした。大手の企業であっても、ECサイトの集客はカンタンではありませんから、成功するかしないかはわかりません。このようにトライアルでECサイトを構築する場合は、費用が安くASP-ECは非常に向いています。

デザインの自由はASP次第!ASP選びは慎重に!

ASPによって、デザインの制限は大きく異なります。私どももECのプラットフォーム会社なので、他社名をここで言及することができませんが、

「商品一覧画面のカラムを3列に並べることができない!」
「TOPページの画面にカレンダーを2つ設置することができない!」

など、実際にコーディングしてみないとわからないことがASPでは多々発生します。しかし、一方でデザインの制約が少ないASPも存在します。

もし、ASP-ECでデザインをとことんこだわりたい場合は、事前にそのASPの事例に「アパレルEC」が多いかどうか?ということを確認するとよいでしょう。最もデザイン性が問われるアパレルECの事例が豊富にあるASP-ECならば、デザインの自由性は高いからです。この点をASP-EC選びのポイントにしましょう。

年商1億円を超えると、バックエンド作業が限界に!

ASP-ECは安かろう悪かろうではありません。むしろコストパフォーマンスがすごく良いECシステムです。ですから注文から、配送までのワークフローを、ASP-ECに合わすことができれば、最も費用対効果の高いECシステムになります。

しかし、年商が1億円を超えると注文数が増えバックエンド作業への負荷が大きくなり、スタッフを増やしても、ミスが増え、業務効率も悪化してきます。ECサイトがこのステージに入ると、システム連携可能なECサイトにステップアップを検討しなくてはなりません。

ASPの最大のデメリットはこの点です。カスタマイズができないので、ECサイトの売上とともに、ECシステムの見直しが発生してしまいます。ECサイトのリニューアルは、データの引継ぎや、サーバーの用意など大変手間がかかります。

ECの規模が1億円を超えないのであれば、ASP-ECが費用対効果の面から唯一の選択肢となるはずです。

②開発力がある企業におススメの「オープンソース」ただし注意も

オープンソースはライセンス費用が無料!

自社に開発チームがいる場合は、ゼロからECサイトを作るよりも、ECとしての基本機能がすでに実装されているオープンソースをベースに開発すれば、ライセンス費用がかからず開発することができます。サーバーの用意から、コーティングまでを行うことができる技術力のある企業にはオープンソースも選択肢になります。

オープンソースをベースにしたパッケージは契約時に要注意

オープンソースは、自分で改修して再販売することができます。ですからオープンソースを使ったECベンダーは数多くおり、ベンダーはシステムを機能拡張して販売しており、フルスクラッチ並みのカスタマイズが可能です。

しかし、オープンソースで障害が大きなバグが発生した場合、下記のケースに気をつけないといけません。

◆オープンソースで問題になるケース

オープンソースをカスタマイズして作ったECシステムで、大きな障害が発生した。障害対応を求め、ECベンダーに連絡をとると

ECベンダー「それはオープンソース本体の障害で、カスタマイズした私たちの責任の範囲外です」

そして、ECベンダーとの契約書を確認すると、たしかにオープンソースそのもの障害は責任範囲外ということが明記されている!

オープンソースをベースにしたシステムをカスタマイズして導入する際は、契約書をよく確認して、どんな障害が発生した時でも、責任もって対応してもらえるか?という点がオープンソースのベンダー選びの基準となります。この点は確認を徹底的にしましょう。

自社でカスタマイズしたオープンソースであっても無料ではない

自社で完全カスタマイズしたオープンソースであっても、決して無料ではありません。サーバーを用意しなくてはいけないからです。アクセス数が月間数万PV程度でしたら、レンタルサーバーで十分ですから、月額数千円程度で済みますが、大規模ECサイトであるならば、サーバーもAWS(Amazonのクラウドサーバー)に設置するなど、月間数十万円の費用がかかるようになります。

それを保守する工数もかかりますから、オープンソースであっても実際は無料ということでありません。

③年商1億円以上の企業に主流な「ECパッケージ」

フルスクラッチよりもECパッケージの方が費用対効果が高い

年商1億円を超えると、バックエンド作業の効率化が必須になります。バックエンド作業の効率化とは、物流や配送システムとのシステム連携や、あるいはCMSや予約システム、オークションなどの独自のカスタマイズを行う場合は、ECパッケージをカスタマイズして導入するのが、マーケットの主流の方法です。

昔は、ECサイトとのシステム連携や、独自の要件を実現させるにはフルスクラッチしか方法がありませんでした。しかし、現在はある程度のカスタマイズされたECサイトを実現する手法としては、ECパッケージをカスタマイズしたECシステムがフルスクラッチと比べて費用対効果が圧倒的に高いのです。

なぜなら、ゼロから作るフルスクラッチよりも、ECの基本機能が実装されているパッケージをベースに開発した方が、費用も工数も少なくなるからです。

ECパッケージをカスタマイズしないで導入すれば、初期費用が300~500万円で導入できる

初期費用が数千万円するECパッケージであっても、安く導入する方法はあります。それはカスタマイズをしないで、デフォルトの機能のままECパッケージを導入する手法です。ECパッケージはもちろん、最初からECに必要な機能は全て実装されておりますから、カスタマイズをせずデフォルトの機能でも十分に運用することができます。

カスタマイズしないのに、なぜ、ASPより高価なECパッケージを導入するのでしょうか?下記のようなケースがあります。

◆ECパッケージをカスタマイズしないで導入するケース

フェーズを分けてECシステムを導入する。フェーズ1では、まずECサイトのリリースを行い。フェーズ2で基幹システムと連携する。

フェーズを分けて開発を行う場合は、後にカスタマイズ可能なECパッケージが向いています。ECサイトの成長に応じて、システム連携やカスタマイズを入れていくことができるのです。

しかし、ECパッケージにも大きな弱点が一つあります。それはシステムが古くなることです。

ECパッケージの弱点はシステムが陳腐化すること

ECパッケージの大きな弱点はシステムが古くなることです。

ECパッケージは、常に最新のバージョンに更新されていきますが、ECサイトを導入する企業が決まると、その時の最新のバージョンをコピーして、それをベースにカスタマイズを行い企業にあったECシステムを作ります。しかし、その時に最新のバージョンのパッケージであったとしても、リリースから時間が経つとパッケージが古くなります。

ECパッケージベンダーは、その間、最新のバージョンを開発してますが、カスタマイズされていると、すでにリリースされたパッケージに対して適用することができません。ですから、パッケージを導入した企業は古いシステムに改修を入れていくしかなく、継ぎはぎのシステムになりやすい傾向があります。

そして3~5年も立つと、世の中のブラウザー環境やセキュリティ、あるいは業界の法令に準拠できなくなり、システムが陳腐化するのです。そうなると、ECシステムをリニューアルして、新しいパッケージを再導入するしかありません。システムのリニューアルには多大な労力とコストがかかります。データの移行も大変な作業です。

こういった面から、現在では中・大規模のECシステムとしては、次に紹介するクラウドECが主流になってきています。

ASPとECパッケージの良いとこどりをした「クラウドEC」

一度導入するとECシステムのリニューアルが発生しない

クラウドECとは、カスタマイズ可能なクラウド上のECシステムのことであり、ASPのようにシステムが自動で更新され、さらにECパッケージのように、個別のカスタマイズが可能です。なぜならシステムの構成が下記のようになっているため、

◆クラウドECのイメージ

 

共通プラットフォーム部分が常に最新にアップデートされながら、個社毎のカスタマイズも可能になっているからです。つまり、クラウドECを一度導入すれば、ECシステムのリニューアルを二度と行う必要がありません。これは長期的に見て、ITへのコストを大きく削減することができますし、EC担当者は、ECへの集客に専念することができます。

フェーズを分けて、最初は安くクラウドECを導入する

クラウドECも中・大規模向けのECシステムです。ECパッケージと同様に安いシステムではありません。しかし、カスタマイズやシステム連携を行わないで、デフォルトの機能だけでECシステムをリリースすることができます。そうすると、一千万円以上する開発費も、500万円程度でリリースすることができます。

この点は、ECパッケージと同様で、リリース後のフェーズ2で、本格的なカスタマイズやシステム連携を行うなどの開発フェーズをわけることが可能です。ECサイトのリリースをとにかく急いでいる場合は、カスタマイズしないで導入する方法も選択肢として有力です。

この場合においても、デザインは自由に行うことができ、カスタマイズしないからといって、ECサイトの外見は、とことんデザインすることができます。

クラウドECの弱点は、プログラムコードが公開されていないこと

クラウドECの導入は、オンプレミスが前提の企業には向いておりません。なぜならプログラムコードは公開しておらず、導入する企業から、みればクラウドの中身はブラックボックスだからです。

自社でプログラムコードを把握したい!あるいは、自社エンジニアで保守開発をしたい企業には、クラウドECは全く向いておりません。

自社で、ECサイトを開発する企業は、次に紹介するフルスクラッチの手法を使います。

何でも実現できるが、費用もコストも莫大にかかるフルスクラッチ

何でも実現できるフルスクラッチ

ゼロから自社の要件に合わせて、ECシステムを作りますから基本的に実現できないことは一つもありません。例えば、ECにはない複雑な要件(予約システムや、オークションの仕組みなど)であっても、導入することは可能です。他のECプラットフォームでは、実現が難しいこともフルスクラッチでは可能です。

ただし、開発期間・コストが一番かかります。ECパッケージやクラウドECであれば、すでにあるベースをもとにカスタマイズを行うため、開発期間を圧縮できますが、フルスクラッチは、ゼロからの開発になるため開発期間が長く、コストも高くなります。

大手の有名ECサイトが成果を1番だせる手法がフルスクラッチ

ユニクロやZOZOTOWNなどの有名ECサイトではフルスクラッチの手法が使われています。自社で全てを管理したいという意向もありますが、それだけがフルスクラッチを採用する理由ではありません。

(1)莫大なトラフィックに耐えるECシステム

有名ECサイトのセールやキャンペーンともなると、1分で何十万というアクセスがECサイトに来ることもあります。そういったアクセス数にも耐えるようにサーバー構成やトラフィック制御が求められますが、フルスクラッチならば専用サーバーや環境を構築し、トラフィックに考慮した強固なECシステムを作れます。

(2)マーケティングとITチームが強力して、売上を拡大

有名ECサイトの企業であれば、優秀なマーケティング担当とエンジニアがいます。彼らが同じ部門長のもとで、売上拡大のための、システム改修を行うことができます。マーケティングがデータやユーザーの声をもとに課題や仮説を提起。その指針をもとに、社内ITが開発を行うことで、圧倒的に早いスピードでECサイトを改善することができます。

このように自社に開発チームの体制が整っている大手企業がフルスクラッチを採用することで、成果をとことん追及するECサイトを構築することができるのです。

フルスクラッチを依頼するなら、ECのノウハウがあるベンダーを選ぶべき

外部のITベンダーにフルスクラッチを依頼するなら、ECサイトの実績が豊富な企業に越したことはありません。トラフィックの制御など、ECにはECのノウハウがあるため、開発力があったり、信頼あるパートナーだからといって、ECシステムの経験のないITベンダーはリスクが大きいです。

ECのプラットフォームのまとめ

5つのECプラットフォームのどれが良いというわけではありません。ECの事業規模や実現したいことによって、最適なECシステムがあるので、現在プラットフォームを検討している方は、ご自身が実現したいECサイトに見合うプラットフォームを選びましょう。

ただし、中・大規模以上のECサイト(サイト年商1億円以上)を検討している方は、中長期でシステム投資を考える必要があります。なぜなら、5年後のECシステムのリニューアルを考えると、数千万円の負担がさらに生じるからです。

中・長期的視点であれば、弊社のクラウドEC「ebisumart」は、一度導入すれば、二度とリニューアルが発生しませんので、他社とともに検討してください。

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