ECで初回購入を成功させるための7つのマーケティング手法

ECサイトにおいて、初回購入を成功させるためには、どのような施策が考えられるでしょうか?

クーポンやポイントを付けるスタンダードな方法から、ユーザーレビューを増やして購入率を高める方法までさまざまですが、本日は初回購入を成功させるための7つのマーケティング手法を紹介します。

初回購入を高めることで、リピーターやファンが増え、必ずECサイトの売上を安定することに結び付きますので、ECサイトを開設したばかりなら、まずは初回購入に意識を集中させてください。

本日はforUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、初回購入を成功させるための7つの施策について解説いたします。

国内のEC市場はAmazonと楽天市場が独占している!

まず、自社ECサイトのマーケティングを考える前に、ユーザーについて考えてみましょう。下記のリンク先のデータ(2019年度)によると、Amazonの売上は圧倒的であり約1.7兆円です。これは2位のヨドバシドットコム約12.6倍にもなります。2位~30位までの売上高を足してもAmazonには追い付きません。

ECの売上ベスト30(2020年)

出典:【2020年版】EC売上ランキング1位はアマゾン。2位はヨドバシ、3位はZOZO、4位はビックカメラ、5位はユニクロ(ネットショップ担当者フォーラム)

また、楽天市場は出店型のため、上記のランキング外ですが、2021年度の決算発表において、流通総額は5兆円を超えたと発表しており、このことを考えると、日本のEC市場はAmazonと楽天市場の2社でほとんど独占に近い状況であると言えます。

参考記事:楽天の国内EC流通総額は5兆円で伸び率は約10%増【2021年度の実績まとめ】(ネットショップ担当者フォーラム)

話を戻すと、ECサイトを利用するユーザーは、Amazonと楽天市場を利用することがほとんどであり、小中規模のECサイトの利用はECの売上高からみるとごくわずかであることが推察されるのです。

初回購入の重要性が高まる!

そのような状況で、ECサイトにおいては初回購入を成功させることは非常に重要になってきます。多くのユーザーがAmazonと楽天市場を利用していますが、それらのECサイトを利用する理由の一つに「Amazonや楽天市場を利用するのに慣れている」という理由があります。

筆者もECサイトの利用はAmazonがほとんどですが、その理由は、やはり何度も購入したことがあるため、慣れているという点が大きいと感じます。

しかし、もし、アロハシャツが好きなユーザーがアロハシャツ専門のECサイトで「アロハシャツ」を一度でも購入したとしたらどうでしょうか?

一度でも商品を注文し、自宅に届いて、商品に満足したという経験があれば、再びユーザーがそのアロハシャツ専門のECサイトで購入する可能性は高まるはずです。

では、逆に、そのアロハシャツ専門のECサイトで、クレジットカード番号の入力でエラーが出て購入に失敗していたらどうでしょうか?おそらく二度とそのサイトを利用しないはずです。

つまり、初回購入が成功していれば、ユーザーが複数回購入する可能性も生まれますが、失敗することで、新規ユーザーの売上が上がらないばかりか、将来の購入可能性まで減るのです。

そして、これが積み重なることで、売れるECサイトと、そうではないECサイトに分かれるものであり、初回購入は非常に重要となるのです。では、初回購入をどのように成功に導けばよいのでしょうか?マーケティング施策の面から解説いたします。

初回購入を成功させるための7つのマーケティング手法

手法①初回購入者限定の特典を付ける

まず、基本的な施策からですが、初回購入者限定のクーポンやポイントを用意してみましょう。初回購入への特典としては、以下のようなものが考えられます。

◆初回購入者限定特典

・ポイント、クーポン
・送料無料
・割引

このような特典を用意することで、例えば、以下のような気持ちにさせることができるのです。

ユーザー「初回購入すれば1,000ポイントがもらえるのか!Amazonよりもお得だから買ってみようかな!」

ECサイトのコンサルティング方法の一つに、赤字覚悟の売れ筋商品を作って、その商品を購入させて、リピート購入につなげるという手法もあります。ECサイト全体として売上を増やすことができるのなら、そのような初回購入につなげるための特別商品を設置するのも良い手法と言えるでしょう。

手法②決済方法を広げる

通常のECサイトであれば、以下のような決済方法をそろえていると思います。

・クレジットカード決済
・コンビニ決済

そこに、ユーザーがなじみのあるAmazon Payや楽天ペイなどのID決済を増やしてみたり、あるいは後払い決済なども、手元のお金が少ない若年層のユーザーには魅力的な決済方法です。このように決済方法を増やすことで、初回購入の成功確率を上げることができます。

手法③ゲスト購入を勧める

ユーザーの中には、会員登録を絶対にしないユーザーが一定数います。そのようなユーザーに対して、会員登録を促すマーケティング施策は意味がありません。

そのようなユーザーに対しては、ゲスト購入を促してみましょう。楽天グループでは、楽天市場、楽天トラベルにおいても必ずゲスト購入ができるようになっています。

◆ゲスト購入(楽天市場の購入画面)

楽天市場のゲスト購入画面

画像引用先:楽天市場

ゲスト購入したユーザーでも、自社のECサイトでリピート購入してくれる可能性はあります。一度でも購入を成功させることで複数回購入してくれる可能性が発生します。もし、独自の商品を展開していたり、専門店の場合は、さらにその確率は高まります。

ただし、ゲスト購入の訴求は、会員登録訴求と相反するもので、本来会員登録してくれるユーザーがゲスト購入してしまう可能性があるので、ゲスト購入の露出を見極める必要があります。

手法④チャットの設置

例えば、会社の営業時間だけでもチャットを開設して、決済が上手くできないユーザーの手助けをしてみましょう。カート周り(注文画面)では、数々のエラーが発生します。

そのようなユーザーの購入を手助けするのです。また、チャットボットを設置すれば人手を使わずに手助けすることもできますが、チャットボットを上手く機能させるには、最初は人の手でサポートを行い、よくあるエラーを事前にデータとしてまとめておかなければなりません。

手法⑤かご落ちツールの導入

ECサイトの利用はジャンルにもよりますが、多くはスマートフォンからです。スマートフォンユーザーの特徴は、スマートフォンで何かを見ている最中にも通知が入ってしまうことです。例えば、ECサイトの利用中に、他のアプリの通知が入ることもあります。

そうすると、ECサイトの買い物を途中でやめてしまうユーザーが一定数います。これが「かご落ち」です。

しかし、かご落ちツールを導入することで、これを改善することができます。データはありませんが、このかご落ちツールを導入することで10%程度は買い物を復活させることができるはずです。年間を通すと、かご落ちツールを導入することで大きな売上の違いが出るはずです。

初回購入の可能性を増やすには、導入を検討するべきでしょう。

手法⑥レビューを増やす

ユーザーの多くは、ECサイトの利用に際し、他のユーザーのレビューを買い物の決め手とします。だからこそ、Amazonも楽天市場も、商品購入後にレビュー依頼のメールが来るのです。

ユーザーの多くは、レビューを参考にしているのです。つまり、ユーザーレビューを増やすことは、そのまま、初回購入の成功につながります。ユーザーレビューを増やすコツについては下記の記事をご覧ください。

関連記事:ECですぐに成果を出すための口コミ・レビュー対策3つのコツ!

手法⑦返品無料

例えば、アパレルECサイトの場合は、商品のサイズ感が気になって購入に至らないことはよくあります。しかし、返品無料を訴求することでユーザーに気軽に商品を購入してもらうのです。これを上手く行ったのが、靴の大手ECのロコンドです。

参考にすべきECサイト:ロコンド

このように、ユーザーに対してサイズ感の不安感を減らすことで初回購入に結び付けます。ただし、ロコンドは大手事業者です。中小事業者が実施すると、大きな負担もあるので限定的に実施して、業務負担やコスト負担を考えながら展開してみましょう。

まとめ

初回購入を成功させることは、ECサイトで売上を安定させるための最初の一歩です。赤字分をマーケティング費用と考えるのも手です。購入しやすい商品を設置して、とにかく初回購入につなげてみてください。

そうすることで、会員登録が増え、あなたのECサイトで買い物することに違和感のないユーザーが増えてくるはずです。

弊社では、EC支援サービス「ebisu growth」にて、EC事業の成功を支援いたしますので、初回購入の秘訣について知りたいという方もぜひご検討ください。

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表。 株式会社インターファクトリーのWebマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」では、ECサイトの初心者向けに特に集客方法について解説。