最新のECサイト構築方式「クラウドEC」の7つのメリットとは?

Cloud computing or cloud network concept

「ECシステムをそろそろリニューアルしたいけど、どんな方式がいいのだろう?」
「クラウドECって最近聞くけど、何がいいのかな?」

中・大規模のECサイトを新たに構築するときに、ほとんどの企業が「ECパッケージ」か「クラウドEC」のどちらかを選択することになると思います。なぜならゼロから作るフルスクラッチ方式は、もはや費用や工数の観点から現実的な手法ではなく、この2つの方式に選択肢が限られるからです。

その2つの中でもクラウドECが、ECパッケージより優れている最大の理由は、システムが毎週、自動更新がかかって最新性を保たれるにも関わらず、カスタマイズやシステム連携が可能な点にあります。

本日は、インターファクトリーで、シニアアドバイザーを務める筆者が、クラウドECのebisumartを例にとりながら、クラウドECの7つのメリットを解説してまいります。

「ECパッケージ」VS「クラウドEC」ECシステム比較表

まずは下記の比較表をご覧ください。ECパッケージとクラウドECを比較した表です。

 

この比較表を見ると、ECパッケージとクラウドECに大差がないと思うかもしれません。重要な点は「システムの最新性」にあります。クラウドECは、毎週システムの自動更新(アップデート)が入るため、システムが古くなることがありません。

また、ECパッケージもクラウドECもカスタマイズしないで、標準機能のみでもサービス提供しておりますが、その場合、クラウドECの方が若干費用が安く済みます。

それでは、クラウドECのメリットを1つずつ解説していきます。

メリット①システムが古くならないから、二度とECシステムのリニューアルが必要ない!

クラウドECは、ASP-ECと同様に、システムの自動更新が毎週かかります。下記はクラウドECのebisumartの年間アップデート数の図ですが、2017年度は年間190回の自動更新がありました。

◆クラウドECのebisumartでの年間自動更新数

 

つまり、システムが自動更新されるので、システムリニューアルが二度と発生しないという最大のメリットがあります。多くのECシステムがリリースから3年から5年で、システムが陳腐化し、莫大なコストとリソースをかけてECシステムのリニューアルを行いますが、企業にとっては要件定義からリリースまでに大変な負担になります。

しかし、クラウドECであれば、システムのリニューアルが必要ありません。これは中・長期的にシステムへの投資の負担を大きく下げることになるのです。

メリット②自動更新されるから、最新の機能が自動で実装される!

システムが自動更新されるので、新しい機能や、今まで対応していなかった細かい機能が毎週アップデートされていきます。例えば、2018年のebisumartの例で説明すると、下記のようなアップデートが毎週更新されております。

◆WAFオプションに対応した事例

 

◆過去のクーポンの検索結果を、クーポン番号でも検索できるようにアップデートされた事例

 

このように、セキュリティーに関する重要な更新から、管理画面のユーザビリティーの更新まで、あらゆる自動更新がかかります。

今では当たり前ですが、過去にはECサイトのスマホ対応という時流が発生しました。この時、多くの企業がスマホ対応をするために数十万円というシステム改修費用を払って、スマホ対応を行いました。しかし、クラウドECのebisumartは、自動でアップデートが行われたので、ebisumartを使用している企業はシステム改修費用は発生しませんでした。

このように、最新の時流のシステムも、クラウドECであれば、自動で実装されるケースが多々あり、企業はシステム投資を抑えることができるのです。

メリット③セキュリティー基準が継続的に高くなる

例えば、セキュリティー基準の高い金融機関が、クラウドECを採用した場合、同じクラウドECを使っている企業全てが、恩恵を受けることになります。

なぜなら、セキュリティー基準の高い企業の、セキュリティー要件に合わせるため、クラウドEC全体にアップデートがかかります。同じクラウドECのサーバーに同居している企業は、無料でこの恩恵を受けることができるのです。

サイト改ざんや、クレジットカード番号を盗まれることは、ECサイト運営にかかわる大きな問題です。しかし、一方で、売上や日々のタスクに直結しないことから、後回しにされやすいのもセキュリティー対策です。クラウドECでは、こういったこともメリットとして教授できるのです。

メリット④システムに自動更新されるのにカスタマイズやシステム連携ができる

システムが自動更新される仕組みは「ASP」が有名です。小規模~中規模事業者のほとんどが、ASPを使って、ECシステムを作ります。ASPの最大の魅力は「安くて」「早く」ECサイトをリリースできることと、システムが「古くならず」絶えずアップデートがかかり、システムが古くならないことです。

しかし、そんな小回りが利くASPにも大きな弱点があります。それはシステムのカスタマイズができないことです。例えば、ECサイトで1日100件以上の注文がくるようになると、バックエンド作業の人数を増員して対応しますが、それでもミスが目立ち、効率が頭打ちになってきます。

そういったフェーズで、ECのカスタマイズを行い、自社システムや物流システムと連携できれば、業務効率をあげて、ECサイトの運営に専念できるようになるのですが、ASPではこれができないため、システムを乗り換えるしかありません。

しかし、クラウドECは、「システムの自動更新」と「カスタマイズ」が両方可能なプラットフォームなのです。なぜなら、クラウドECの仕組みはカンタンに説明すると「プラットフォームの共通領域」と「個社毎のカスタマイズ領域」が別れております。

従って、プラットフォームの共通領域に自動更新がかかりつつ、個社毎のカスタマイズ領域があるため、自由にカスタマイズが可能なのです。

メリット⑤サーバーの用意が不要

ECパッケージやフルスクラッチなどの中・大規模のECシステムであれば、ECシステムを設置するためのサーバーを自社で用意したり、あるいはどこかにサーバーを確保しなくてはいけませんし、自社で用意する場合は、サーバー保守担当をアサインする必要があります。

しかし、クラウドECであれば、クラウド環境のため、サーバーを意識する必要はありません。ただし、保守費用という形で、費用がかかりますが、サーバー担当を置く必要もなく、ECサイトの運営に専念することができます。

メリット⑥開発フェーズを分けて段階リリースすることが可能で、しかも費用が安く済む

例えば、ECサイトのリリースを急ぐためであったり、ECの成長に合わせてECシステムを段階的にカスタマイズを検討している場合には、クラウドECには大きなメリットがあります。下記の図をご覧ください。

◆段階カスタマイズの費用のグラフ

少しわかりにくいかもしれませんが、黄色い部分をご覧ください。それがカスタマイズ費用になります。

 

この図をみると、3ヶ月後、半年後にともに黄色い部分のカスタマイズ費用が少ないのは、クラウドECのebisumartになります。なぜ段階開発時に、カスタマイズ費用が少ないのでしょうか?それは、先ほど説明した、自動更新です。

他社ECシステムの場合は、システムの自動更新がないので、カスタマイズ費用が多くかかりますが、クラウドECは、開発しない間も、自動更新がかかるため開発費用を抑えることができるのです。

クラウドECの大きなメリットは、このように中・長期的にシステム投資を低く抑えることができる点なのです。

メリット⑦新規事業のECサイトは標準機能でクラウドECを安く導入すれば、将来のカスタマイズ費用を抑えられる!

新規事業でECサイトを始める場合、最初からカスタマイズやシステム連携を行うと、採算がとれるかわからない事業ですから、システム投資に大きな費用をかけるのはリスクがあります。売上見込に確信がない場合は、ECシステムへのシステム投資も必要最低限に抑えるべきですから、カスタマイズができないASP-ECが良く使われます。

しかし、1年後にECサイトの売上を伸ばし、ECシステムと社内システムと連携を考える場合、クラウドECやパッケージECの標準機能でサイトを作っていれば、システムのリニューアルをせずに、カスタマイズによりシステム連携が行えます。

さらにクラウドECであれば、その1年間の間に、システムの自動更新が入るので、費用をパッケージECよりも抑えることができるのです。

クラウドECのまとめ

本日はクラウドECの7つのメリットについて解説いたしました。ECサイト構築の際は、ECパッケージ会社とともに、クラウドECの会社も含めて、3社~5社でコンペを行いましょう。

なお、クラウドECにもデメリットがあります。それはプログラムコードの開示をしていない点です。オンプレミスが絶対条件である企業にとっては、クラウドECは相性が悪いので、その際はECパッケージが唯一の選択肢となります。

最後に、ECシステム導入のコツは、導入1年間だけではなく、3年~5年という長期的スパンで、ECサイトをどのようにしたいのか?に基づきプランを考えることです。そのプランをもとに、最適なECシステムを選んでみてください。

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