ECのプロが8つの業界別にBtoCのEC化率を徹底解説!

「ECのマーケットはどうなっているのか?」
「EC化率ってどういう意味だろう?」

ECの市場を知るには、自社と関係のある業界のEC化率を押さえておく必要があります。そもそもEC化率とは、カンタンに説明すると、その業界の全商取引総額のうち、どれくらいがオンライン(EC)で取引されているかを表すものです。例えば、2017年度の日本のBtoCのEC化率は5.79%です。この数字は下記の計算になります。

BtoCのEC市場規模16兆5,054億円 / BtoCの市場規模285兆円 = 5.79%

日本国内のBtoC市場はAmazonや楽天がこれだけ身近になったにも関わらず、2017年度のEC化率はたった5.79%しかありません。すでに中国のBtoCのEC化率は15%を超えており、圧倒的に遅れています。しかも深刻なのは、対前年のEC化率の伸び率がたった9.1%しかなく、世界ベスト10のEC市場を持つ諸外国は二桁成長をしており、遅れをとっているのが現状です。

本日は、インターファクトリーでシニアアドバイザーを担当している筆者が、日本国内のBtoCのEC化率を各業界毎に詳しく解説してまいります。

※本日解説するデータ及び図は、下記の経済産業省の資料から引用しました。

平成 29 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

日本国内のBtoCのEC化率はたった5.79%!

業界別のEC化率を解説する前に、日本国内のEC化率の推移について解説してまいります。まずは下記の図をご覧ください。

このグラフを見る限り、EC化率は毎年右肩上がりですが、諸外国と比べると問題点は2つあります。

①先進国にも関わらずEC化率が諸外国に比べて低い
②EC化率の伸び率が緩やか。中国や韓国、米国は二桁成長を遂げている

ECの市場規模という点では、日本は世界4位ですが、EC化率の伸び率が低くいため、ECの市場規模でも今後ランキングを下げることになるでしょう。

◆2017年の世界のEC市場規模ランキング

1位 中国
2位 アメリカ
3位 イギリス
4位 日本
5位 ドイツ

日本のBtoCのEC化率がなかなか伸びない理由には、いくつかありますが。筆者がは下記のように推察します。

◆日本でEC化率が伸びない理由

①日本企業の多くがECやオンラインに対して消極的
②EC市場規模の大きい分野のEC化が遅れている
③WEB施策に長けた人材の不足

特に日本の企業の経営陣は、オンラインに対して消極的な考えが多く、ECやオンラインの促進は企業の課題と捉えながらのも、ECへの進出が進んでいないのが現状です。また、いざECやオンラインに進出しても、WEBマーケティングのノウハウを持った人材が不足しており、ECサイトを作っても集客に苦戦し、売上を伸ばすことができません。

それでは、次に業界毎のEC化率を解説してまいります。

国内業界別のEC化率比較(BtoC)

◆国内でEC化率が高い業界ランキング

1位:事務用品・文房具 37.38%
2位:生活家電・AV機器・PC・周辺機器等 30.18%
3位:書籍、映像・音楽ソフト 26.35%
4位:雑貨、家具、インテリア 20.40%
5位:衣類、服飾雑貨等 11.54%
6位:化粧品、医薬品 5.27%
7位:自動車、自動二輪車、パーツ等 3.02%
8位:食品、飲料、酒類 2.41%

それでは、EC化率が高い業界ごとに解説します。

1位:「事務用品・文房具」のEC化率を解説!

国内BtoC市場において、最もEC化率が高い市場となったのは「事務用品・文房具」です。

EC化率は37.38%と最も高い背景には、ECと非常に相性の良い分野であることがあげられます。まず文房具は非常に安価なものです。

ECサイトのデメリットは、実店舗と比べると、実際にモノを手にとって確認することができないことです。しかし、元々数百円から高くても1000円程度の文房具には、ユーザーは、そこまでのクオリティーを求めておらず、さらに文房具はクオリティーの差が明確にある分野でもないため、ユーザーも気軽にネットで買い物ができます。

また、ボールペンや消しゴムなど、過去に使ったことがある商品なら、躊躇なくネットで買い物ができます。こういった文房具とECの相性の良さが、EC化率を高めているのです。

この業界では、アスクルが運営する「LOHACO」が有力なECサイトですし、無印良品のECサイトでも、文房具を取り扱っております。一度使用したことのある、お気に入りの文房具があれば、気軽にネットで注文できるのが、この業界の強みです。

2位:生活家電・AV機器・PC・周辺機器等のEC化率を解説!

家電やPCといった分野も、ECと非常に相性の良い分野です。

数万円の高額商品のジャンルではありますが、家電製品等は「型番が同じであれば、どこで買っても品質が変わらない」という特徴があります。

家電製品の中には、洗濯機やエアコンなどの大型家電、あるいはオーディオ機器は大きくて、重いため、店舗で買っても、ECで買っても配達する必要があり、家に届く時間に変わりがありません。

また、ECサイトの特徴の一つに、人件費や店舗運営費がかからないため、店舗の商品よりも安く買える特徴がありますし、インターネットで比較検索すると、同じ商品でも日本で一番安いお店を選んで買うことができます。このような家電やオーディオ製品の特徴は、ECと極めて相性が良く、EC化率が30.18%と高い業界なのです。

EC化率が高いことで、家電業界を悩ます問題が発生しています。それがショールミング行為です。ショールミングとは、ユーザーが、店舗に行き、商品を手に取り、店員から説明を聞いて、納得した商品を店舗では買わずに、価格の安い、Amazonや楽天、あるいは価格.comで最も安い店からECで購入する行為です。

しかし、その問題を逆手にとって、急成長を遂げているのはヨドバシカメラです。ヨドバシカメラは、あえて店舗で、商品を確認させ、ユーザーにはyodobashi.comという自社ECサイトでの購入を促します。これによりヨドバシカメラは他で買い物されるのを防ぎ、顧客を自社で囲い込む作戦が功を奏しています。

3位:書籍、映像・音楽ソフトのEC化率を解説!

デジタルコンテンツの分野になりますが、各業界の事情がことなるので「書籍」「映像」「音楽」の3分野に分けて解説します。

書籍

書籍においては、電子書籍で本を読む人が増えています。当初は乱立した、電子書籍のプラットフォームも、2018年の現在はKindleと楽天koboで大半のシェアを握っています。また漫画アプリも数多くあり、10~30代の多くのユーザーがスマートフォンで漫画を場所を選ばす読むことができます。

この業界の課題は「漫画村」のような、著作権を無視した違法なコンテンツです。この問題を解決するには、出版業界と国が足並みをそろえて対策を行う必要があり、この業界のEC化率にも大きな影響を及ぼします。

また、有名漫画家の中には、電子書籍での出版を行わない方も数多くおります。ちなみに筆者が尊敬するスラムダンクの筆者も電子書籍の出版をしておりません。こういった点も電子書籍の普及に影響を及ぼしていると筆者は考察します。

映像

昨今は、HuluやNetflixなどの映画やドラマが見放題のサービスが普及しており、そしてTUTAYAの店舗の閉店がニュースになっていることから、ユーザーも映画のレンタルサービスやDVDの購入から、見放題のサービスへの移行が進んでいると推測できます。

HuluやNetflixには最新の映画が見れないことがデメリットとしてありますが、Google PlayやYoutube上で最新作の映画を日数限定でレンタルすることもできることから、もはや実店舗でのメリットは少なくなっており、今後もEC化率は高まっていくでしょう。

音楽

日本では、音楽配信がなかなか普及せず、この分野のEC化率は高くないと思われます。そもそも音楽業界自体が、急激に縮小しており、その理由は多岐にわたります。ここではEC化率とは直接は関係ないので、音楽業界の衰退については下記サイトが非常にまとまっているので、ご覧ください。

なぜ日本の音楽業界は衰退したのか

EC化率が低い理由はYouTubeが強く影響していると思います。

YouTubeには、最新の音楽のプロモーションビデオがアップロードされてますし、また過去の音楽も、大抵は検索することができます。そしてYouTubeの出現により、人々の意識に「音楽はタダ」という意識が強くなったのではないかと筆者は推測します。

とはいえ、アメリカでは、音楽市場が再び成長を遂げており、その要因がApple musicやSpotifyといった、定額制のストリーミング配信サービスの普及です。日本の音楽市場は、未だにCDやDVDの売上がメインであり、今後は時代の流れにあわせてストリーミング配信サービスを普及させないと、この分野のEC化率は変わらないでしょう。

4位:雑貨、家具、インテリアのEC化率を解説!

家具やインテリアは長く使う製品です。女性は特にインテリアのこだわりが強いこともあり、実際に店舗で確認したいというニーズが強いため、そこまでECと相性が良い業界というわけではありません。しかし、EC化率は堅調に伸び、2017年度は20.40%に達し、ECの伸び率は2番目に高い業界です。

EC化率が伸びた背景には、ニトリや無印良品などの大手ECの売上が伸びていることや、デザイン性の高い家具・インテリア専門のECサイトなどが誕生していることが背景にあります。

また、ECサイトにも工夫があり、細かい解説や、拡大写真を掲載し、実際に買ったユーザーの口コミを集め、ECサイトで家具を買うことに抵抗を無くす努力を行っており、こういった取り組みが、ECで家具を買うことに抵抗を無くしているのです。

5位:衣類、服飾雑貨等

アパレルはECとは相性が悪い分野の一つです。先に説明したとおり、衣服や靴は、実際に試着してサイズだけでなく、自分に似合うかどうかを確認するニーズが強いため、実際に手に取って確認する必要がある分野は、ECと相性が悪いのです。従ってEC化率も伸びてはいますが、11.54%と、市場規模の割にはEC化率が低いのが特徴です。

この分野に関しては、ZOZOスーツや、バーチャル試着と呼ばれるソリューションが各社から誕生しており、ECで服を買うことの抵抗感がない人が増えております。また、NikeのECサイトでは、サイズやカラーの変更を無料で1度まで行うことができるなど、企業努力を重ねております。

アパレルECの勝敗の分け目は、店舗とECのデータ統合によるオムニチャネルやO2Oの実現にあります。データ統合の敷居は高く、大きな費用と労力がかかりますが、データ統合に成功した企業は売上を一気に増やしており、この業界で勝敗を分ける大きなポイントの一つになります。

6位:化粧品、医薬品のEC化率を解説!

この分野は、市場規模が巨大にも関わらず、EC化率が低く2017年度は5.27%しかなく、あとに紹介する食品の分野とともに、日本のEC化率の足を引っ張っている状況になっています。

この業界のEC化率が低い原因は、ユーザーの多くはECよりも、実店舗で購入するニーズがいまだ強く、マツモトキヨシなどのドラッグストアは、全国の隅々までに店舗があり、普段の生活圏内で安く購入できるため、わざわざECサイトで商品の購入を行いません。

しかし、2014年6月の薬事法の改正の施行により、ほとんどの一般用医薬品はネットで買うことが可能になりました。化粧品も医薬品も業界自体は伸びており、今後はEC化率もそれなりに伸びると思われますが、日用品も扱うドラッグストアの利便性は高く、急激にEC化率が伸びるとは思えません。

この分野で、EC化率を高めるには、Amazon Primeのようなドラッグストアを上回る利便性を追及するサービスが生まれる必要があります。そのためには配送業者との連携や、あるいは自社独自の配送ネットワークの構築するなどハードルは低くはありません。

7位:自動車、自動二輪車、パーツ等のEC化率を解説!

このジャンルは「どんなECサイトがあるのか?」ピンと来る人が少ないと思いますが、メインは、パーツ類で、タイヤのエアロパーツになります。カーポートマルゼンなど有名なECサイトがあります。

このジャンルのEC化率はたった3.02%しかありません。その理由は、車関連のパーツやタイヤが欲しいユーザーは、車でオートバックス等のカー用品店に足を運ぶため、ECで買うユーザーは限られます。カー用品店は日本中に支店があるため、車を所有しているユーザーは、不便を感じないためEC化率が低いのです。

それでも、対前年比でEC化率が大きく伸びている理由は、中古車販売業者が二輪・四輪のECでの販売に力を入れており、EC取引が今後も増えて行くことが予想されます。

8位:食品、飲料、酒類のEC化率を解説!

この分野の中でも、最もECと相性が悪いのは生鮮食品です。生鮮食品には、鮮度を手に取って確かめたいニーズと、鮮度を保つ必要があるという2つの理由がEC化率が、たった2.41%という低水準に留めているのです。この傾向は日本だけでなく、世界各国のEC化率は、食品分野で高くありません。

また、ユーザーの生活圏内にスーパーやコンビニ、ドラッグストアの店舗が日本中にあるため、利便性も高く、この業界のEC化率が低い原因の一つです。

この分野でEC化率を高めるためには、店舗を上回る利便性の高いサービスが必要となりますが、日本の配送サービスは、人手不足で社会的問題になり、この点の解決はカンタンではありません。

食品・飲料・酒類などの日用品でEC化率を高めることができれば、他の分野も追随してEC化率が高くなるはずであり、この分野での新しいソリューションやサービスの誕生が待たれます。

EC化率のまとめ

この記事では、EC化率を高めることが前提のような書き方になってしまいましたが、そのような意図はありません。例えば、商品力やブランド力が強く、店舗まで来店しないと手に入らない商品を持つ企業は、それで成り立っており、そのまま商品力やブランドを磨き続けていけば良いのです。

しかし、一般論として、多くの企業が「商品力」や「ブランド力」があるわけではなく、企業として生き残っていくためには、商圏を広げ、利便性の高いECの利用を促進していかなくてはいけません。

特に、日用品の分野においては、ECの利用が進めば、日本全体でEC化率を高めるキッカケとなると筆者は考えております。

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