ECサイトのマーケティングで意識すべきたった3つのポイント

ECサイト担当者になると、受発注業務以外にも売上向上のためにマーケティング業務を実施しないといけません。ECサイトのマーケティングは、GoogleやFacebookの広告運用やSEO対策、InstagramなどのSNS施策など非常に多いように思えますが、それらの具体的な施策をする前に覚えておくべき3つのポイントがあります。

◆ECサイトのマーケティングで意識すべきポイント

① 世界観の確立
② 初回購入
③ リピート購入

この3点を念頭に置いて各マーケティング施策を実施することで、施策の効果も見えやすくなります

なぜなら、この3つのポイントは、自社ブランドや自社商品に共感するユーザーを集客し、リピート購入してもらうために欠かせないポイントだからです。

本日は、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、ECサイトのマーケティングについて解説します。

ポイント① 「世界観の確立」が、集客とリピート購入まで関係している理由とは?

まず、有名ではない企業や個人がECサイトで売上を上げるためには、世界観を確立させることが大切です。なぜなら世界観が確立していなければ、ユーザーはあなたのECサイトではなく、便利で商品価格も比較しやすいAmazonや楽天市場で買い物する可能性が高くなるからです。

例えば、プロテインを扱うECサイトを運営しているとして、以下の2つを比べてみましょう。

◆A社のECサイト

海外のプロテインを扱うネットショップの例(筆者作成)

プロテインサイト例1

 

◆B社のECサイト

海外のプロテインで「低糖質」の商品だけを専門で扱うネットショップの例(筆者作成)

プロテインサイト例2

どちらのサイトの方が興味を引かれるでしょうか。筆者はB社だと思います。B社のサイトのように、糖質が少ない商品を専門に扱っていることを押し出していれば、その世界観に共感するユーザーが集まってきます。そして実際に商品を気に入ってもらえれば、リピート購入の可能性が高くなります。

つまり、初回購入もリピート購入も、世界観の確立から始まっているのです。B社のECサイトの例に、さらに競合も簡単には真似できないような健康成分を付加したり、パッケージのデザインにもこだわってより世界観を演出したりすることができれば、さらに価値を高めることもできます。

世界観の確立のためにポジショニングマップを作る

このように、世界観の確立は、まだ知名度の低いECサイトのマーケティングにおいて非常に重要な要素なのです。このような世界観を確立するためには、以下のような競合各社とのポジショニングマップを作ってみるべきです。

◆ポジショニングマップの例

ポジショニングマップの例

このようなポジショニングマップを作れば、競合他社と比較した上で世界観を確立しやすくなります。このように自社製品の特徴を考えてみることから始めましょう。

ポイント② 初回購入してもらうための意識を高く持つ

ECサイトの世界観が確立できたら、次に重要なポイントは初回購入です。世界観が確立されれば、検索エンジンや広告から、あなたのネットショップの世界観に興味があるユーザーがサイトに集まるようになります。しかし、それだけでは注文数は増えていきません

世界観の確立されたサイトであっても、最初から購入の意思があるユーザーばかりが訪れるわけではありません。売上の高いネットショップであってもCVRは1~2%程度です。つまり9割以上のユーザーは購入をしないで、離脱します。その9割のユーザーに向けて初回購入を促す施策を行うべきなのです。

そこで、せっかく集まったユーザーの背中を押す、以下のようなマーケティング施策が重要となります。

◆初回購入率を上げるマーケティング施策

・ポイント/クーポン施策
・目玉商品の設置
・初回購入者限定で送料を無料にする
・初回購入者限定で返品・返送料を無料にする

ただし、初回購入率を上げるためとはいえ、ECサイトの画面いっぱいに広告バナーが出てくるようなサイトでは逆効果です。ECサイトを通じてのコミュニケーションの順番は以下のように行うべきです。

◆ECサイトのトップページにおけるユーザーとのコミュニケーションの順番

優先順位① 世界観の提示(メインビジュアル)
優先順位② 商品カテゴリの提示(カテゴリの紹介)
優先順位③ オファーの提示(クーポン、ポイント、キャンペーン等)

優先順位が逆になっていたり、優先順位がなくどれも並列としてコミュニケーションしているECサイトは、敬遠される可能性が高いです。どんなにお得な特典があっても、ユーザーは「このECサイトは何を売っているのか?」「欲しい商品はありそうか?」という点が伝わりにくいと購入に至らないからです。

初回購入のマーケティング手法については下記の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:ECで初回購入を成功させるための7つのマーケティング手法

ポイント③ 「リピート購入」の秘訣はECサイトを思い出してもらうこと

ECサイトのマーケティング施策、最後のポイントとして、リピート購入について解説します。

ECサイトの世界観を打ち出し、その世界観に共感したユーザーが初回購入を済ませ、商品が届いたとしましょう。商品が良ければリピート購入の可能性が生まれますが、やはりリピート購入しないユーザーの方が多いです。

ではユーザーが、リピート購入をしない最も大きな理由は何でしょうか。一概には言えませんが、「ユーザーがそのECサイトのことを忘れている」ことが理由の一つとしてあるはずです。

筆者も過去に、Nikeのスニーカー「エア・ジョーダン」をネットで探しているときに、楽天市場にエア・ジョーダンを比較的安価で販売しているショップを見つけて、3回ほど購入しました。2回目以降の購入の際には手書きのメッセージが同梱されており、その店のファンになろうとしていました。

しかし、そのショップで4回目の購入はありませんでした。その理由は「ショップの名前や購入したことを忘れてしまった」からです。楽天市場の場合は、ショップからのメールを配信停止にできるので、筆者は楽天市場のメールは一括で配信停止にしており、そのためそのショップからのコミュニケーションがなくなり、忘れてしまったのです。

もし、このネットショップからダイレクトメールが届いていたら、思い出して再購入した可能性があったと筆者は考えます。このように、リピート購入のカギは「ユーザーにECサイトを思い出してもらう」ことなのです。

以下の調査によると、メルマガ離脱の原因は、配信回数より関係性のないメールが送られてくることだという調査結果もあり、ユーザーに忘れられないために関係性の高いメルマガを積極的に送付しましょう。

参考:「メール送りすぎ?」 という遠慮は不要。メールマーケティングの実態調査(WACULテクノロジー&マーケティングラボ)

また、コストがかかりますが、過去購入者にダイレクトメールを送って思い出してもらうことは、リピート購入を促すために非常に大切です。下記の記事にリピート購入を促すマーケティング施策をまとめているので、あわせてご覧ください。

参考:EC担当者が仕掛ける!ファンを増やすリピート施策5選(ebisumart Media)

広告のCVRばかりにとらわれてはいけない!

ECサイトの広告担当となると、Google広告やFacebook広告からのCVRばかりに目が行ってしまうと思います。それらの数値を気にしすぎず、「どのように商品を売るか?」という戦略を考えた方が、結果として効果があると筆者は考えます

もし、CVRのことを中心に考えると、キャンペーンを実施して価格を下げることでCVRの向上に努めるかもしれません。しかし仮にそれで売上が伸びたとしても、中長期的にみると、そのような価格や特典重視の売り方では、初回購入したユーザーもリピート購入に結び付きづらく、価格勝負となれば事業自体も利益が出にくい体質になってしまうでしょう。

広告のCVRではなく、「○○のような世界観でECサイトを展開して、世界観に共感するユーザーを集め、ファンになってもらいたい」という考え方が大切です。

つまり、世界観が確立されているから、その世界観が好きなユーザーが購入し、ファンになっていくというプロセスです。初回購入もリピート購入も、世界観を確立することがまず重要なのです。世界観を確立せずに、広告の数字だけを追い求めると、競合との価格勝負になりやすいため注意しましょう。

株式会社インターファクトリーでは、EC支援サービス「ebisu growth」にてEC事業の成功を支援しております。

本記事で解説した世界観の確立やリピーターを増やす方法など、多くのECノウハウを知りたいという方はぜひご検討ください。経験豊富なコンサルタントが貴社ECサイトを成功に導きます。

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表。 株式会社インターファクトリーのWebマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」では、ECサイトの初心者向けに特に集客方法について解説。