企業マーケターが押さえる!TikTokマーケティングの3つの手法

TikTokを使ったマーケティングを検討しているものの、どのような効果や特徴があるのか、把握できていないのではないでしょうか。TiKtokを使ったマーケティング手法は以下の3つになります。

◆TikTokを使った3つのマーケティング手法

手法① 企業TikTokアカウント運営
手法② TikTok広告を利用する
手法③ インフルエンサーによるPR動画

手法①の自社での運営は労力もかかるので、まずは手法②や③で自社商品との相性を見る手法がおすすめです。なぜなら、他のSNSと比べてTikTokは10~20代の利用者が極端に多いため、自社のターゲット層と合うのかは、広告などでテストしてみる必要があるからです。

この記事では、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、TikTokマーケティングについて詳しく解説します。

TikTokの利用者層は10~20代が中心

まずは、マーケティングにおいては欠かせないTikTokのターゲット層について解説します。以下は、総務省情報通信政策研究所が2023年6月に発表した「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の中のSNSの利用率をまとめたグラフです。

◆【令和4年度】主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(全年代・年代別)[表5-1-1]

TikTokなどのSNSの利用者数調べ

出典(画像):総務省「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(2023年6月発表)より筆者が一部加工

このグラフを見ると、TikTokは明らかに10代、20代の利用率が高いことが分かります。

◆世代別の利用率(TikTok)

10代の利用率 66.4%
20代の利用率 47.9%
30代の利用率 27.3%
40代の利用率 21.3%
50代の利用率 20.2%
60代の利用率 11.8%

しかし、30~50代においても20%以上の利用率があり、一時期は「若い人がダンスの動画を撮るアプリ」という認識でしたが、今では幅広い世代に利用されるようになりました。

40代後半である筆者もTikTokは日常的に見ておりますが、動画を繰り返し見ることで、筆者の興味関心のある千葉の地域情報やアウトドア情報なども手軽に楽しめるため、YouTubeとともにショート動画を楽しんでおり、今後は若い層を中心としながらも、YouTubeのように、より幅広い世代に受け入れられるのではないかと筆者は考えます。

それでは、次にTikTokの「SNSとしての特徴」について解説します。

マーケティングしやすい!TikTokの3つの特徴

TikTokはショート動画のプラットフォームであるため、ショート動画に慣れていないマーケティング担当者にとっては、ハードルが高そうなイメージがあるかもしれませんが、実は「最低300回は動画が再生される仕組み」などマーケティングしやすい側面が数多くあります。その中の3つの特徴を紹介します。

特徴① 動画をカンタンに撮影・編集・投稿できる

TikTokはYouTubeと比べると非常にカンタンに動画を作成できます。大まかには以下の3つのステップで、スマートフォンだけで動画編集を行うことができます。

◆TikTokでショート動画を作る3つのステップ

ステップ① 動画の尺を選ぶ(15秒、60秒、10分)
ステップ② エフェクトを選ぶ
ステップ③ 動画を編集(音声やテキスト挿入、アフレコ、動画のカット、テロップ入れ)

動画の尺ですが、10分と長い時間の動画も撮影でき、2024年11月現在は最大30分の動画を作成できようになりました。YouTubeである程度の動画を作成する際は、専門的なソフトと編集スキルが必要となるのですが、TikTokでは他のアプリを必要とせず、TikTok上で全ての動画編集を行うことができ、マーケティング担当にとってもTikTokに慣れてしまえば、カンタンに動画投稿を行うことができるのです

特徴② 新規ユーザーでも最低300人に再生される仕組み

InstagramやYouTube等のSNSでは、フォロワー1人と1,000人のアカウントがそれぞれ同じクオリティの動画を作って投稿した場合は、明確に再生数が異なり、当然フォロワー数が多い方が再生されやすくなります。

しかし、TikTokは全くの新規ユーザーであっても、最低300回は動画が再生される仕組みになっているため、初心者アカウントでも比較的露出されるSNSと言えます

つまり、クオリティが極めて高い動画を出すことができれば、フォロワーが1人のアカウントであっても、100万回以上再生される可能性もあるのです。このため、InstagramやYouTubeと比べて始めやすいSNSなのです。

特徴③ バズりやすい

「特徴②」でも解説しましたが、どんな投稿でも最低300回は再生される仕組みであるため、良い動画を作ることができれば、バズりやすいのが特徴です

以下は、TikTokでバズるまでのアルゴリズムの仕組みを簡素化して説明したものです。

◆TikTokのアルゴリズム(簡易的に説明)

・TikTokが300人に動画を見せる

↓↓再生されればさらに露出を増やす↓↓

・TikTokが1,000人に動画を見せる

↓↓再生されればさらに露出を増やす↓↓

・TikTokが1万人に動画を見せる

↓↓再生されればさらに露出を増やす↓↓

おススメ欄に掲載され「バズる」

このように良い投稿を作ることができれば、フォロワー数が少なくても「おススメ欄」に掲載されて動画が投稿される可能性があるのです。もちろんフォロワー数が多ければ、いきなり1万人以上に見られるので、よりバズりやすいのですが、理論上はフォロワー数が1人でもバズを生むことが可能になっているのです。

TikTokを使った3つのマーケティング手法

それでは、ここでTikTokを使った3つのマーケティング手法を解説します。

手法① 企業TikTokアカウント運営

企業のTikTokアカウント運営を行います。ターゲット層が10~20代であれば、重要な企業チャネルの一つとなりますし、そうではない場合でも、採用向け情報発信チャネルとしてTikTokを利用することができます。

企業がTikTokを運営を行う場合は、「ビジネスアカウント」を使って立ち上げましょう。ビジネスアカウントであれば、TikTokアカウントのデータ解析などのビジネス向けの機能を活用することができるからです。例えば、ビジネスアカウントではプロフィール欄にURLを貼ることができます。

ビジネスアカウントを作ったら、自社のアカウントのコンセプトやテーマを決めて、それに沿って動画を制作し、動画を公開したら都度解析機能を使って動画の分析を進め、ターゲット層に刺さる動画作成を続けます

BtoC事業であれば、フォロワー1万人を超えればすぐに商品が売れるチャネルを作ることにつながりますので、まずは、TikTok内での認知を高めていきましょう。

手法② TikTok広告を利用する

TikTokの主要な広告は、以下のとおりです。

広告 特徴 活用例 メリット
インフィード広告 ユーザーの「おすすめフィード」に自然に表示される動画広告 新商品の紹介、キャンペーン告知 ユーザー体験になじみやすく、リンク先誘導が可能
ハッシュタグチャレンジ広告 ユーザー参加型の広告形式。指定のハッシュタグを使った投稿でバズを狙う 商品発売記念、イベントプロモーション オーガニックな拡散効果が期待でき、ブランド認知度向上につながる
トップビュー広告 TikTok起動時に最初に表示される広告で、最大の視認性を確保 大型セール、期間限定キャンペーン 圧倒的な注目を集めやすく、エンゲージメントが高い
ブランデッドエフェクト広告 ユーザーが利用できるオリジナルのフィルターやエフェクトを提供 商品使用イメージ訴求(例: 化粧品ブランドのフィルター) ユーザー生成コンテンツ(UGC)の増加、楽しさとユニークさでブランドイメージ向上
リーチ&フリークエンシー広告 配信回数やタイミングを計画的にコントロールできる広告形式 新製品ローンチ、サービス認知拡大 計画的なリーチ確保、特定ターゲット層への確実なアプローチ

TikTok広告の最適出稿金額の目安は40万円程度からとなっており、安くはありませんがターゲット層が合う場合は、大きな効果が見込めます。

TikTok広告を行う場合は、以下のTikTok for Busineesにて広告アカウントを作ります。

参考:TikTok for Businees

このサイトでは、アカウント登録だけではなく、豊富なTikTok広告の企業事例が掲載されているので、あわせてご覧ください。

手法③ インフルエンサーによるPR動画

TikTokのインフエンサーに自社商品やサービスのためのPR動画の作成を依頼する方法です。インフルエンサーマーケティングを実施する際は、そのインフルエンサーが持つフォロワーと自社商品の相性を確かめる必要があるので、事前にインフルエンサーのフォロワー属性について調査します。

インフルエンサーに依頼する場合は、過剰に広告感が出ないように、インフルエンサーの持つ世界観の延長線上で、自社広告を行うようにしましょう。

インフルエンサーマーケティングについては下記の過去記事でまとめているので、この記事とあわせてご覧ください。

関連記事:初めての「インフルエンサーマーケティング」を企業目線で解説

TikTokマーケティングの3つの注意点

TikTokでマーケティングを実施する場合は、以下の3点に気を付けてみてください。順に解説します。

注意点① 売上に結びつかないケース

TikTokは、動画コンテンツであり、再生回数が1万回以上回ったとしても「面白コンテンツ」に終始したり、自社商品との関連性が弱いと、再生されても比例して売上が伸びないケースもあります。そのようなことにならないためにも、商品の良さを出す企画を考えないといけません。

また、ユーザーに行動を求める場合は「プロフィール欄のURLでチェックしてね!」という文言を入れてユーザーをしっかり誘導するようにしましょう。

注意点② 動画が再生されない

これは明確にユーザーの興味を引きつけるような動画が作成できないことに問題があります。このケースであれば、まずは同業他社のコンテンツを検索して、再生されているものをチェックして参考にし、自社の動画に取り入れましょう

また、TikTokではアルゴリズムが投稿の頻度にも影響します。たまにしか投稿しないアカウントは、フォロワーのエンゲージメントが低くなり、再生回数も伸びにくい傾向があります。少なくとも週に2~3本の動画を投稿することを目標にし、定期的に視聴者との接点を作りましょう。一定間隔で動画を投稿することで、新しい動画を楽しみにするユーザーも増えてきます。

注意点③ 炎上リスク

TicTok投稿前に、動画の内容が不適切な表現や誤解を招く可能性がないか、自分だけでなく、上司や同僚にも意見を求めて慎重に動画を確認しましょう。特に、次の点を意識することが重要です。

◆炎上リスクのある内容の例

✓差別的、偏見的な内容
✓他者の著作権やプライバシーを侵害する内容
✓敏感な社会問題に触れる内容

このような内容に触れると炎上するリスクがあり、特に物販の場合は、あえてこのような内容に触れる必要もないので、発信する内容に気を付けてコンテンツを作りましょう。

まとめ

TikTokでマーケティングを開始したのであれば、まずは続けることを目標としてください。SNSの多くの企業での失敗事例は、途中であきらめてしまうことにあります。効果検証も重要ですが、中長期的施策であるSNSやSEOは、1~3年の単位で結果を判断しないと効果を見定めることはできません

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表。 株式会社インターファクトリーのWebマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」では、ECサイトの初心者向けに特に集客方法について解説。