ECサイトでLP(ランディングページ)施策を実施して、売上を伸ばそうと考えているのではないでしょうか?そのためには、まずはECサイトとLPの役割の違いを把握するべきです。
ECサイトとLPを併設する場合、ECサイトの役割が「リピート購入の促進」であるならば、LPは「初回購入の促進」となります。なぜなら、LPはECサイトのプラットフォームに依存せず自由に作れるメリットがあるため、商品の魅力を表現しやすいためです。そのため、LPは定期購入の多い単品ECサイトでよく利用されているのです。
本日は、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、ECサイトでのLP施策について詳しく解説します。
ECサイトとLPの比較
まず、ECサイトとLPを比較してみましたので、下記の比較表をご覧ください。
◆ECサイトとLPの比較
| ECサイト | LP(ランディングページ) | |
| 商品数 | 〇 多い | × 主に1つだけ |
| コンテンツの長さ | × 短い(プラットフォームに依存) | 〇 長い(プラットフォームに依存しない) |
| Web広告のリンク先として | △ フォーマットに依存して使いづらい | 〇 フォーマットに依存しないため広告文や広告バナーと連動しやすい |
| SEOの効果 | 〇 Googleが認識しやすい | × 画像が多く、Googleが認識しづらい |
| 商品レビュー | 〇 商品ページの口コミとして信ぴょう性が高い | △ 訴求できるが、宣伝色が強いため信ぴょう性が低い |
つまり、LPとは、ECサイトのプラットフォームに依存せずに自由に商品の表現ができるため、広告との相性が良いページなのです。
通常ECサイトには、「フォーマット」が存在します。下記は、ヨドバシカメラの商品ページですが、以下のように「写真」「商品説明文」「スペック」などフォーマットが決まっております。
◆ヨドバシカメラ(ヨドバシ.com)の商品ページ
引用(画像):ヨドバシ.com
しかし、LPであれば、以下のようにECプラットフォームのフォーマットに左右されずに、自由に作成することができるのです。
以下はメーカーのLPです。
◆SONYのデジタルカメラのLP
このように、LPはその商品だけを「いかに魅力的に見せるか」に特化したデザイン性の高いページであることが多いのです。
それでは、ECサイト事業者がLPを使うケースには、どのようなケースがあるでしょうか。次に解説します。
ECサイト事業者がLPを利用する3つのケース
ECサイト事業者がLPを利用する場合、以下の3つのケースが考えられます。
ケース① 単品ECサイトの初回購入訴求として
健康食品や化粧品などの単品ECサイトで、LPはよく利用されております。単品ECサイトは商品が一つしかないため、ECサイトと並行してLPを設置します。
特に単品ECサイトは「リピート購入」がないと利益が出ません。そのため、初回購入を意識した以下のような訴求を行います。
◆単品ECサイトで行われるLPの訴求
「サンプル無料」
「定期限定、初回お届け商品無料」
このような訴求をLPで行うことで、初回購入を促し、会員を増やして定期購入者を増やすのです。このため単品ECサイト事業者ではLP施策は必須の施策となっているのです。
ケース② キャンペーン等のスペシャルページとして設置
商品数の多いアパレル事業者の総合ECサイトでも、キャンペーンを訴求するためにLPが利用されます。例えば、以下のような訴求です。
◆キャンペーンやスペシャルページの例(ZOZOTOWN)
このように、通常のECサイトのページ以外で、キャンペーンやスペシャルページを設置したい場合にLPはよく利用されます。作ったLPはトップページや、あるいは商品ページにバナーを導線として設置することで、ECサイトの内で強い訴求を行うことができます。
このようなページは期間限定で作られることがほとんどです。このようなページも、ECサイトのフォーマットには縛られずに作ることができるので、LPが最適です。
ケース③ 総合ECサイトでのリスティング広告の最適化
総合ECサイトにおいてリスティング広告を行う場合、LPとECサイトのCVRはキーワードごとに異なります。例えば、世界的に有名なスポーツメーカーのナイキが、人気商品のエアジョーダン7のLP施策をリスティング広告で行っていたとしましょう。
◆エアジョーダン7のLPのリスティング広告におけるCVR比較(予想)
検索キーワード「ナイキ」<==CVRが低い
断定はできないとしても、このような結果になるはずです。なぜなら、「エアジョーダン7」と検索するユーザーは、エアジョーダン7に興味があるので、CVRは必然的に高くなります。
一方で、「ナイキ」などのブランド指名の場合は、そのECサイトで自分で商品を探したい需要があるため、エアジョーダン7が欲しいとは限ぎらず、そのユーザーが欲しいのはナイキのバッグやTシャツかもしれません。
そのため、このケースでは以下のようにECサイトとLPを使い分けるべきです。
◆リスティング広告の最適化
検索キーワード「ナイキ」<==ナイキのECサイト
このように、ブランド名が認識されている総合ECサイトでは、LPとECサイトを併用してリスティング広告の最適化をすることができるのです。
ECサイトとLPの使い分け方
ECサイト事業者が、これからLP施策を実施する場合は、以下のECサイトとLPの役目の違いを把握すれば、よりLP施策を具体的にできるはずです。
◆ECサイトの役割
・会員に対してリピート購入を促す
・問い合わせ、サポート
◆LPの役割
もちろん、ECサイトにおいても「初回購入の促進」はするべきですが、LPと併用する場合は、LPでは初回購入の促進に特化させるべきです。特に単品ECサイトにおいては、ECサイトのプラットフォームに依存せずに商品の魅力を表現できるため、初回購入においてLPは大きな役割を果たします。
なぜ初回購入がそれほどまでに重要なのかは、下記記事にまとめておりますので、本記事とあわせてご覧ください。
一方、すでに商品を購入してくれた会員向けには、本体サイトがリピート購入や問い合わせを受け付ける役割を担います。
リピート購入を促す施策については、下記記事にて詳しく解説されていますので、こちらも是非ご覧ください。
LP制作費の相場は10~50万円
では、実際にLPを発注する場合の費用相場ですが、おおよそ10~50万円の間となります。
筆者の経験ですと、自社でライティングや設計書を作る場合は、なじみのデザイン会社に安く発注することもできますが、設計書からライティングまでを一括で依頼する場合は高額となります。
LPの作成手順
LPの作成手順は以下のとおりです。
◆7つのLP作成手順
② LPの設計書作成
③ デザインコンセプトの決定
④ デザイン作成
⑤ デザインの修正
⑥ コーディング・組み込み
⑦ 公開(リスティング広告及び、ECサイトにリンクを設置)
筆者も数多くのLPのディレクションを行ってきましたが、経験として言えるのは、最初から長いLPを作らないことです。「LP=巻物のように長いコンテンツ」という常識がWeb業界にはありますが、長いLPだからCVRが高まるということはありません。
長いLPは訴求が無限にできるメリットもありますが、デメリットも存在します。
◆長いLPのデメリット
・同じような訴求が繰り返される
・真剣なユーザー以外は、最後まで読まれない
筆者は長いLPを否定はしませんが、長いLPをいきなり作るのではなく、「勝ちパターン」を自分たちなりに把握した上でストーリーを増やしていくべきで、ノウハウや勝ちパターンがないのに最初から長いLPを作ると、費用と労力ばかりかかってしまうことが多いのです。
LP改善のための分析と検証手法
LPは「初回購入の促進」に特化したページですが、作って終わりではありません。成果を上げるためには、定期的にテストと改善を繰り返すことが不可欠です。そのための代表的な手法が、「ABテスト」と「ヒートマップ」の活用です。
ABテストでLPの成果を最大化する
特に広告からの流入が多いLPでは、少しの変更がCVRに大きな差を生むこともめずらしくありません。そこで重要なのがABテストの実施です。
ABテストでは、実際のユーザーに対して異なるバージョンのページをランダムに表示し、それぞれのCVRや離脱率、滞在時間などの指標を比較します。これにより、直感や社内意見に頼らず、データに基づいてLPを改善していくことが可能になります。
以下のような要素は、LPの反応率や購入率に直結するため、優先的にテスト対象とすべきです。
◆ABテストで比較すべき主なポイント
・訴求内容の順序や構成
・CTAボタン(色・文言・位置)
・入力フォームの項目数やレイアウト
・特典の訴求方法(例:初回○○円OFF vs 送料無料)
・レビューの掲載有無や見せ方
ABテストを通じて得られたデータは、次の改善施策の「根拠」となります。特に初回購入を目的とするLPでは、最初の接点でどれだけ魅力を伝えられるかがカギとなるため、定量的な評価を軸に継続的な改善が求められます。
ヒートマップを活用してユーザー行動を可視化する
ABテストと並行して活用したいのが、ヒートマップツールによるユーザー行動の可視化です。
ヒートマップとは、ユーザーがページ内でどこを見ているか・どこをクリックしているか・どこまでスクロールしているかを、視覚的に把握できる分析ツールです。
◆ヒートマップを通して見たWebページ
このように、ユーザーの動きを「色の濃淡」として可視化することで、どのコンテンツが注目されているのか/スルーされているのかをひと目で理解できます。
◆ヒートマップで得られる主なインサイト
・クリックされていないボタンやリンクの配置ミス
・ユーザーが離脱しているスクロール位置
・コンバージョンに結びついていない要素の洗い出し
これらの情報は、ABテストの仮説立案や検証後の改善方針に非常に有効です。例えば、ボタンのクリック率が低ければ「ボタンの色や文言、位置を変えてみよう」というABテストを立案できます。
ヒートマップは、「なぜCVRが低いのか?」を探る手がかりになります。数字だけでは見えない「ユーザーの迷い」や「興味の薄れ」を可視化し、ABテストの精度を高めるために、ぜひセットで導入しておくべき分析手法です。
なお、下記記事でヒートマップを活用した改善のコツを解説しておりますので、こちらの記事もぜひご覧ください。
関連記事:EBISUMART Media「ヒートマップを使ってWEB担当者が成果を叩き出すための4つのコツ」
まとめ
LPは、ECサイトにおいては初回購入を促進するためにあります。何となく作るのではなく、ECサイトとLPのそれぞれの役割を把握した上で、LP施策に取り組みましょう。
株式会社インターファクトリーでは、EC支援サービス「EBISU GROWTH」にてEC事業を支援しており、経験豊富なコンサルタントが貴社のEC事業の成功をサポートいたします。
本記事で解説したLP施策をはじめ、初回購入やリピート購入など、さまざまなECノウハウに興味がある方は是非ご検討ください。



















