初心者が「ECサイト」をゼロから構築するための5つの手法

実店舗だけでなく、ネットで商品を販売する企業が増えております。その手法として用いられるのが、ECサイトです。現在では、30分でECを立ち上げれる無料のECシステムから、基幹・在庫システムと連動した本格的なものまで、ECサイトを構築する方法は数多くあります

では、あなたが急に上司から「ECサイトを立ち上げてくれ」と言われた場合、どういったECシステムを選択すれば良いのでしょうか?

どの手法を選ぶべきかは、「ECサイトの年商(想定)」と「3年以内にECで何を実現したいか?」という2点から決めると良いでしょう。なぜならECサイトは一度導入すると、システムの入れ替えが大変ですから、現在と将来の両方を見て、ECサイトを構築しなくてはなりません。

ECサイトの構築方法は大きくわけて5つあり「ECサイトの年商(想定)」と「3年以内にECで何を実現したいか?」が把握できればどのシステムを選ぶべきかが、この記事を誰でも読めば理解できます。

それでは、インターファクトリーでWEBマーケティングを担当している筆者が、初めてEC担当者になった初心者方向けに、ECサイトの構築方法を解説してまいります。

ECサイトには5つの構築手法があることを理解しよう!

まず、これからEC担当者になる方は、ECサイトで販売するための全ての手法をザックリと頭の中に入れておきましょう。ECサイトの構築方法は下記の5つです。

◆5つのECサイト構築方法

①ASP(エーエスピー)※
②オープンソース
③ECパッケージ
④クラウドEC
⑤フルスクラッチ

※ASPとはApplication Service Providerの略で、自社でシステムを用意する必要がなく、ブラウザで利用できるサービスです。ASPはECシステムに限らず会計ソフトや様々なツールで企業がよく利用します。

◆5つのECサイト構築手法の比較表

初期費用 月額費用 メリット デメリット
①ASP 0~10万円 数千円~
数万円
すぐにECサイトが作れる カスタマイズ不可
②オープンソース 数千円~
数十万円
個人:数千円~
企業:数十万円~
安くカスタマイズ可能 セキュリティが弱い
③ECパッケージ 数百万円~ 数十万円~ フルスクラッチより安い システムが古くなる
④クラウドEC 数百万円~ 数十万円~ システムが常に最新 オンプレミス※が不可
⑤フルスクラッチ 数千万円~ 数十万円~ 全て実現可能 システムが古くなる
コストが高い

※オンプレミスとは、企業が所有するサーバーにシステムを置くことです。クラウドサービスの反対語になります。

それでは、①のASPサービスから順に解説いたしますが、ほとんどの方は①の方法に該当するはずです。

①ASPは、初めてECサイトを作る企業や、個人事業者・中小企業のECサイトに最適!

まずASPでECサイトを作るメリットは下記の通りです。

ASPでECサイトを作るメリット

✔月額費用が数千~数万円と安く、BASEなど無料で利用できるECシステムもある
✔最短30分でECサイトをオープンさせることが可能
✔有料のASPであれば、HTMLやCSSのコーディングができるためデザインが”割と”自由
✔システムが古くならず、常に最新
✔トライアルでECサイトを立ち上げる場合はASPが1番費用対効果が高い

ASPは安かろう、悪かろうでは決してありません。もし注文から発送までのバックエンドの社内業務フローをASPサービスに合わせることができるのなら費用対効果が最も良いECシステムです。大企業においても、新規事業でECサイトを作る時は、ASPがよく利用されております。

また、ASPのECサービスを提供している各社とも機能を拡張しており、例えば「デジタルコンテンツの販売をしたい」という要望や「後払い決済」を導入したいという要望は、対応しているASPサービスも数多くありますし、商品登録数も10,000点以上登録できるASPもあるので、商品数やカテゴリーが多いECサイトでも十分対応可能です。

しかし、ASPのデメリットは「自社に合わせたカスタマイズができない」ことです。それでは次にデメリットを見てみましょう。

ASPでECサイトを作るデメリット

✔カスタマイズができない
✔システム連携ができない
✔デザインに縛りがある。例:カート周り(注文画面)などはデザインの変更不可

このように、ASPのデメリットは自社に合わせた固有のカスタマイズができないことです。

具体例を出すと、もしECサイトのマーケティングが成功し、1日に商品の発送が100件発生したしましょう。ASPは自社の商品管理システムや、発送のシステムと連携をすることが通常はできないため、この作業を効率化したり自動化することができません。つまり人を増やすか、残業対応しもらうしかありません。

そうなると、人件費が高くなり利益が減ります。また、企業の人員というのはカンタンには増員できません。もう一つASPではできない事を例を出しましょう。

ECの売上を最大限にするために、注文画面をカスタマイズし、徹底的にユーザーに使いやすい画面に変更しようと企画しても、ASPでは注文画面の細部にわたる変更は不可能です。

このように、ASPではシステムの連携や、独自カスタマイズには限界があるので、売上が1億円を超えるECサイトになると、システムやフローの効率化が必要になり、ASPのメリットが薄れ、デメリットが目立ち始めます。

こうなると次に紹介する「②オープンソース」「③ECパッケージ」「④クラウドEC」などのカスタマイズが可能なシステムを検討しなくてはなりません。

しかし、一部のハイエンドのASPサービスは限定的ではありますが、APIを使った連携によるカスタマイズサービスを引き受けるベンダーも出現しております。ASPを導入する場合は拡張性や将来実現したいことも念頭にシステムを選定しましょう。

そでは次に「オープンソース」を紹介いたします。

②カスタマイズ可能な無料のECシステムが「オープンソース」

オープンソースのECサイトとは、その名の通り無償でECシステムが提供されており、個人でも企業でも、自由にソフトウェアをダウンロードして、そのパッケージプログラムを使って自由にECサイトを構築することができるサービスです。有名なオープンソースには、ブログ管理システムのWordPress(ワードプレス)があります。

それでは、オープンソースのメリットを解説いたします。

オープンソースのメリット

✔無料でECシステムを手に入れられる
✔技術力があればカスタマイズやシステム連携が可能
✔カスタマイズ無しでも、すぐECサイトが始められる
✔デザインが自由
✔個人でも、技術力があれば本格的なECサイトが構築可能
✔有名なオープンソースであれば、プラグインが多く提供されている
✔有名なオープンソースであれば、多くの情報がインターネットで入手できる

このように、オープンソースのECシステムは無償で誰でもカンタンに入手することができます。例えば、世界一のオープンソースのECシステムであるMagento(マジェント)は下記サイト(英語)から入手することが可能です。

Magentoの登録サイト

そして、オープンソースを元に、技術力があればどこまでもカスタマイズすることができます。ここで疑問があると思います。

それでは次にデメリットについて解説します。

オープンソースのデメリット

✔システムが古くなる
✔カスタマイズをすると、オープンソースの更新パッチを適用できない
✔大きな障害やバグがあった場合、責任の所在が自社になる
✔オープンソースの運用は無料ではない。サーバー代や保守費用がかかる
✔中・大企業向けのECサイトの開発はオープンソースもECパッケージも費用感は変わらない
✔自社でカスタマイズした場合、開発者の退職でブラックボックス化することもある
✔セキュリティーに脆弱性が発生する可能性がある

このように、オープンソースのデメリットはシステムが古くなることです。オープンソース側もシステムが古くならないように、最新のモジュールを無料で提供しており、ダウンロードして適用することで、システムの陳腐化をある程度防ぐことができますが、オープンソースを企業で採用している場合はカスタマイズしているケースがほとんどで、最新モジュールの適用ができないこと多々あります。

そして、オープンソースの最大のデメリットはセキュリティが弱いことです。

セキュリティーに脆弱性が発生する可能性がある

オープンソースはプログラムコードが公開されているため、普及しているオープンソースは、ハッカーに悪用される可能性が高くなります。下記をご覧ください。

株式会社イーシーキューブが提供するサイト構築パッケージ「EC-CUBE」の脆弱性等について(注意喚起)

経済産業省が、オープンソースソフトウェアのec-cubeの脆弱性について注意喚起しています。

特にECサイトはクレジットカードを使うので、セキュリティーの脆弱性は企業に大きなダメージを与えます。オープンソースはメリットもありますが、セキュリティー対策を十分に協議した上で、使用しなくてはなりません。

オープンソースに関しては、下記記事でまとめておりますので、ご覧ください。

ECサイトをオープンソースで作る3つのプラットフォーム

それでは次にECパッケージを紹介します。

③年商1億円以上のECサイトに選ばれるのが「ECパッケージ」

ECパッケージとは、ベンダーがパッケージとしてECシステムを自社開発しており、企業に導入する場合は、導入する企業向けにカスタマイズを行うのが主流のやり方です。なぜならECパッケージは年商1億円以上の中・大規模の企業が導入するケースがほとんどであり、年商1億円に達しない企業が導入するにはコストが高すぎます。

ECパッケージの最大のメリットはカスタマイズやシステム連携が前提のECシステムであることです。そのため、自社の基幹システムとの連携や、在庫管理・物流システムとの連携をすることがほとんどです。

それではECパッケージのメリットを紹介いたします。

ECパッケージのメリット

✔システム連携、カスタマイズが前提のECシステム
✔デザインに制限がない
✔フルスクラッチに迫るカスタマイズ性だがフルスクラッチより低コスト
✔カスタマイズ無しで、低コストで導入も可能
✔パッケージベンダーが開発を担当
✔プログラムコードが開示可能な場合は、自社が保守開発を引き継ぐことも可能

このようにECパッケージは、中・大規模の企業が導入すべきECシステムですから、カスタマイズやシステム連携が前提のECシステムになります。昔はフルスクラッチには機能が適わないというのが業界の評判でしたが、現在のECパッケージはフルスクラッチに機能が迫っており、機能的に大差がありません。

また、ECパッケージの会社にECシステムを依頼するメリットは、「餅は餅屋」であり、ECのノウハウを熟知しており、ITベンダーに依頼するよりも、事例や経験が豊富というメリットがあります。

ECパッケージをカスタマイズしないで導入するのはどんな時?

カスタマイズが前提である、ECパッケージであっても、カスタマイズ無しでECサイトを構築する場合があります。

例えば、ECサイトが初めてで、成功するかしないかわからない場合は、費用を抑えてパッケージのディフォルト機能のみで、つまりカスタマイズ無しで、ECサイトをローンチします(デザインはテンプレートを利用して自社で行うことも可能です)。そして、ECのマーケティングが成功し、売上が伸びてきた数年後にシステム連携やカスタマイズを行うのです。

この方法のメリットは、初期コストを押さえて、必要に応じてカスタマイズできる方法です。企業がトライアルでECサイトを作る場合、ASPを使うことが多いのですが、カスタマイズ無しのECパッケージを導入しておけば、数年後にカスタマイズが発生した場合でも、パッケージはカスタマイズ可能ですから、ECシステムを入れ替える必要がありません。

ECのリニューアルは費用もかかりますが、それ以上にリニューアルにかかる労力が大変です。ECを導入する場合は、現在の要件だけでなく、数年先に実現したことまで要件に入れないと、システム費用や負担が多くかかることになるのです。

そして、フルスクラッチに迫る機能のECパッケージにも弱点があります。それはシステムが古くなることです。それでは次にECパッケージのデメリットを解説いたします。

ECパッケージのデメリット

✔システムが古くなる
✔開発費用が高額
✔自社にサーバーを用意する場合、費用やメンテナンスは自社負担
✔自社のサーバーを使用する場合、システムが不安定になった場合は、一次対応は自社
✔自社サーバーを使用する場合、サーバーのOSやセキュリティーパッチ導入は自社で調整

ECパッケージの最大のデメリットは、システムが5年も経つと陳腐化してしまい、システムのリニューアルが発生することです。もちろんリニューアルを避けて、ECパッケージを使い続けることは可能ですが、そうなるとセキュリティーが弱くなるという致命的なことや、ユーザー環境の変化(OSやブラウザの進化)や業界の法令にECサイトが対応できなくなり、売上にも影響が出てきます。

中・大規模のECサイトにおいて、ECパッケージは主流の方法ですが、企業を取り巻くサービスの利用がクラウドの方向に移り変わりつつあります。システムが古くならず、カスタマイズが可能なクラウドECは、中・大規模のECサイトでも要望が増えており、さらにECパッケージのベンダー各社も、クラウドECのサービスをリリースし始めました。

それでは次に「クラウドEC」を解説いたします。

④カスタマイズ可能で、システムが古くならいのが「クラウドEC」の長所!

カスタマイズが可能な「クラウドEC」はパッケージと同様に中・大規模のECサイトの構築に使われる手法です。その最大の特徴はクラウドサーバーにECサイトを作るため、クラウド上のECシステムは常に更新されるため、システムが古くなりません。これだけではASPと変わりませんが、ASPとの違いは、企業個別のカスタマイズが可能な点です。それではクラウドECのメリットを解説いたします。

クラウドECのメリット

✔システムが常に最新にアップデートされる
✔カスタマイズやシステム連携がECパッケージと同様に可能
✔デザインが自由
✔5年後もシステムリニューアルの必要がない
✔「スマホ対応」などの新しい時流が生まれればに自動で対応
✔サーバーを自社で持たなくて良い

つまり、クラウドECはECパッケージの弱点である「システムの陳腐化」を克服したECシステムであり、カスタマイズ性はECパッケージと同様にフルスクラッチに迫るものがあり、中・大規模のECサイト構築方法として、ECパッケージとともに検討される方式です。ではなぜ、クラウドなのに個社ごとのカスタマイズが可能なのでしょうか?

クラウドなのに個社毎にカスタマイズができる理由は?

クラウドなのに個別なカスタマイズが可能な理由は下記の図のとおりです。

◆クラウドECの仕組み

 

つまり、クラウドECの共通ロジックの上に個社毎のカスタマイズ領域があるので、共通部分は自動でアップデートと個社のカスタマイズの両立が可能なのです。また図では触れていませんが、個社固有のアップデートも、共通ロジックに含まれることがあります。

例えば、セキュリティー基準の高い金融系の会社がクラウドECを利用した場合、クラウドECのプラットフォーム全体でセキュリティー基準がアップすることがあり、同じクラウド上の他の会社も恩恵を受けることができるのです。

良いことだらけの「クラウドEC」ですが、デメリットもありますので次に解説いたします。

クラウドECのデメリット

オンプレミスが絶対条件の会社にクラウドECは導入できない
✔プログラムコードを開示していない
✔パッケージと同程度の開発期間と費用がかかる

クラウドECの最大のデメリットは、オンプレミスが必須である企業に導入することができない点です。またプログラムコードは開示していないため、企業から見ればブラックボックスです。自社が開発に関与したい、あるいは、プログラムの全てを把握したいという企業には、クラウドECは向いていません。

そしてクラウドECはECパッケージと同じく、中・大規模向けのECプラットフォームですから、年商が1億円以上の企業がメインの顧客になりますので、開発費用は安くはありません。

しかし、それでもクラウドECは、フルスクラッチに迫るカスタマイズ性があるため、年商30億円~100億円の企業にも採用されることが多くなりました。弊社サービスのクラウドECのebisumartも、こういった規模感のクライアントからの問い合わせが非常に増えております。

クラウドECに興味がある場合は、ぜひ下記の公式サイトで事例や機能、価格をご覧ください。

クラウドコマースプラットフォーム:ebisumart(エビスマート)

ECパッケージやクラウドECが伸びてきているECシステムのマーケットにおいて、フルスクラッチでECサイトを作るメリットはあるのでしょうか?次に「フルスクラッチ」の手法を解説してまいります。

⑤「フルスクラッチ」は時代遅れ?フルスクラッチECサイトを解説!

フルスクラッチはかつては中・大規模のECシステムの主流の開発方法でしたが、昨今はECパッケージが拡張性を急激に伸ばし、またクラウドECなどの新しい方式が生まれたため、費用対効果が悪くメリットが少なくなりました。では具体的にどういった点がメリットなのでしょうか?

フルスクラッチのメリット

✔どんな要件でも実現可能。自社に完璧に合ったECサイトが作れる
✔どんなシステム連携もカスタマイズも可能
✔デザインが自由
✔自社開発のフルスクラッチであれば、障害時に最も早く対応できる
✔マーケティング部門にノウハウがあれば、IT部と協業して売上を極限に伸ばす高速PDCAが可能

まずゼロからECサイトを作るフルスクラッチ方式であるため、どんな要件でも実現することが可能です。5つのECサイト構築方法で、最も自由にカスタマイズもシステム連携も行うことができます。

しかし、ECパッケージやクラウドECが機能を拡張しており、フルスクラッチのメリットはそこにはありません。

ZOZOTOWNやユニクロなどの国内有数のECサイトのほとんどがフルスクラッチを採用しているのは、予算と開発部隊があるからという理由だけではありません。有名企業であるために、社内には優れたマーケターがおり、IT部門と協業し、高速PDCAを回し、売上をドンドン上げるための開発体制を作れる点です。

具体的にはカート周りです。コンバージョン(注文)を増やすために最もてっとりばやい方法は、カート周りの改善を徹底的に行うことですが、こういった改善はマーケティング部門とIT部門が同じ部門長に所属するなど、意思決定がしやすい体制が必要になります。

売上を積み重ねる改善ができることがフルスクラッチの最大のメリットです。しかし、これはZOZOTOWNクラスの年商が1000億円以上の超大手のみが可能な手法であり、社内に優れたマーケターと、スキルの高い開発要員を集められる企業に限られます。

ですから、通常の中・大規模クラスの企業がフルスクラッチでZOZOTOWN並みのPDCA体制を築くのは現実的には不可能です。それではシステムの陳腐化を含め、フルスクラッチのデメリットを解説いたします。

フルスクラッチのデメリット

✔システムが古くなる
✔ゼロから作るから、費用が最もかかる
✔ゼロから作るから、開発期間が最もかかる
✔ECのノウハウがないITベンダーがフルスクラッチで作ると、売上を上げずらいECになることも
✔フルスクラッチをITベンダーに作らせると、システムが握られているため、他社に乗り換えずらい
✔フルスクラッチと同等のECサイトをパッケージやクラウドECでも実現できる

大きなデメリットはシステムが古くなることです。この点は、ECパッケージやオープンソースも同様であり、5年程度でECシステムをリニューアルする必要があります。

そしてフルスクラッチの大きなデメリットは、ある程度の規模のECサイトであれば、ECパッケージやクラウドECで実現できてしまうため、そもそも費用と期間が多大にかかるフルスクラッチ方式を選ぶ意味がないのです。

ZOZOTOWNやユニクロのような超大手企業には、自社に開発部隊がおり、またシステム停止は致命的になるため、スピードの観点から人任せにはできず、自分達で全てを把握できるフルスクラッチが選定されます。

まとめると、フルスクラッチでのECサイトのメリットは「高速PDCAによるシステムの改善」と「システム緊急停止時の対応力」の2点であり、これを自社まかなえる企業は少ないのが現状であり、中・大規模のECサイト構築においてはECパッケージやクラウドECが現実的な手法となります。

ECサイト構築手法の選定の3つのコツ

(1)まずは年商1億円が基準となる

本日は5つのECサイト構築方法を解説しました。では、最後にこの記事を読んでいる、これからEC担当者になったあなたが採用すべきECサイト構築手法はどれがベストなのでしょうか?

まず、年商想定が1億円未満の場合は、ASPを導入すべきです。ASPは昨今、機能を上げており見た目だけでは、ASPもフルスクラッチも大差はありません。

そして、年商想定が1億円を超える中・大規模のECサイトの場合はカスタマイズやシステム連携が必要なので「ECパッケージ」か「クラウドEC」のどちらかを採用しましょう。

(2)デメリットを質問してみて、どういう企業スタンスか確認する

まずは3~5社のベンダーに声をかけて、ベンダー各社の提案を聞きます。ベンダーの話術に乗せらせないためにも、本日の記事を事前に読んで、デメリットに対して、どのようなスタンスなのか聞いてみましょう。

例えば、ECパッケージのベンダーに「パッケージはシステムが古くなる点はどうですか?」と質問してみてどのような回答をするのかで、「とにかく仕事を受注することだけを考えているのか」あるいは「顧客のことを第一に考えている」のかが見えてきます。

良い営業は「貴社のことを考えますと、私どもサービスは採用しない方がよいですね」と本当のことを話してくれます。こういつた真摯な企業を見抜く目を養いましょう。売上ばかり考える企業はECシステム導入後に、利益が得られないと、対応が悪いケースがあるからです。

(3)今と3年後の要件に対応する

例えば「今、必要な要件」だけで要件定義を行えば、ECパッケージやクラウドECが必要なく、ASPで十分というケースもあるでしょう。

しかし、「3年後には売上1億円を突破し、基幹システムと連携する」という3年後の要件を考慮した場合、後に拡張性のあるECシステムを選定しないと、3年後にもう一度ECシステムをリニューアルしなくてはなりません。

これが、カスタマイズ可能なECサイトを選択しておけば、リニューアルは必要なく、カスタマイズでのシステム連携だけで、開発が済むからです。

このように、今だけではなく、3年後の要件も定義しておくのが、長期的に費用を抑えたECサイト構築方法となりますので、必ず検討してみてください。

また、もし、現在ECサイトのプラットフォームを検討している事業者がいれば、クラウドECプラットフォームのebisumartもご検討いただければ幸いです。

クラウドコマースプラットフォーム:ebisumart(エビスマート)

ECサイトで難しいのは、ECサイトの構築よりも集客

以上、ECサイト構築について5つの方法を解説してきました。しかし、ECサイト構築方法は年々いろいろなソリューションが生まれており、小規模事業者でもカンタンに導入することができるようになりました。そのためECサイトの構築や導入はASPなどを利用すれば難しくはありません。

それよりもECサイトにおいて、難しいのは集客です。広告を使えば集客をすぐに実施できますが、ECサイトの商品単価は3000円程度であることが多く、多くの事業者は広告を使うことが困難です。そのため、SEOやSNSを実施する必要があります。詳しくは下記の記事をご確認ください。

参考記事:EC担当者が行う3つのWEBマーケティングをプロが解説

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