SNS担当必見!TikTokの「大手10社の企業事例」を徹底紹介

2024年末のTikTok利用率33.2%※に達し、もはやZ世代だけでなく、30代・40代を中心としたビジネスパーソン層にも広がりを見せています。

※出典:総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表

このような利用層の広がりを受けて、TikTokをマーケティングに活用する企業が増えております。大手企業から地方の中小企業まで、さまざまな業種が自社のブランドや商品をTikTok上で発信しています。

この記事では、TikTokの企業アカウントをこれから開設するSNS担当者向けに、TikTok運用に優れた大手10社の企業事例をご紹介しますので、最後までご覧ください。

TikTokの大手企業10社の事例を紹介

それでは、TikTok動画に参入している10社の大手企業事例を紹介します。

事例① ユニクロ

ユニクロは、季節の商品や新製品を中心にTikTokでコンテンツをアップしています。

◆ユニクロのTikTok

@uniqlo_jp

きれいめにもカジュアルにも使える#UniqloC のシャツがあまりにも万能すぎる。#ユニクロ #UNIQLO #ユニクロ2025 #ユニクロコーデ #スタッフコーデ #シャツ #夏コーデ #summer

♬ BORN FOR THIS – Foxxi

単にユニクロの新作を紹介するだけではなく、サムネイルに以下のような文言をつけて、視聴が増えることを意識しております。

◆ユニクロのTikTokのサムネで使われる文言

「隠れた名品」
「Xでバズった」
「これはよすぎ」
「鬼バズ」
「まじで良すぎる」
「忘れてませんか、父の日のこと。」

このような文言をサムネに取り入れることで、スクロールして動画をスキップされないような工夫をしているのです。

また、店舗への集客につながるよう、動画の終盤には「保存して、お店へ」と、ユーザーに保存を促すことで、来店意欲を高める導線を設計しています。動画が保存されることで、TikTok上で興味を持った商品をユーザーが後で見返し、日常の買い物の中で「そういえばあれ、TikTokで見た商品だ」と思い出し、実際の来店につながりやすくなります。

商品紹介においては、スペックや価格だけではなく、「自分ゴト化させる工夫」が随所に見られます。

例えば、バッグの収納力を実演する動画では、実際に中に入るアイテムを一つずつ取り出す演出や、1万円以下で買える名品を紹介する「高見え」シリーズなど、視聴者が思わず最後まで見たくなるような工夫が織り込まれているのです。

事例② ニトリ

ニトリのTikTokアカウントでは、実際に店舗に行かないと伝わらないような商品の魅力も、TikTok動画を使ってうまく表現しております。

◆ニトリのTikTok

https://www.tiktok.com/@nitori_official/video/7475282584948247825

例えば、マットレスの商品紹介動画では、女性が実際にマットレスを分解している様子を映し、作業にかかる時間を測定することで、「一般ごみとして簡単に捨てられる」という実用性をアピールしています。視覚的に分かりやすいだけでなく、ユーザーの「処分の手間」という不安を購入前に払拭する内容になっており、生活に密着した訴求が特徴です。

また、日用品を取り扱う動画では、商品の用途や使い方を複数パターン紹介することで、ユーザーに「これも便利そう」「自分も使えるかも」と思わせる工夫がされています。こうした実用的な情報が、商品への関心や購入意欲を自然に高めているのです。

ニトリでは、過度なサムネイルの文字入れを行わず、あくまでブランドの世界観やトンマナ(トーン&マナー)を重視した発信を徹底しています。視聴者の関心を引くために、煽り文句や過激な演出に頼るのではなく、日常の中で「あると便利」「使ってみたくなる」と思わせる生活者目線の動画づくりに力を入れているのです。

このように、ニトリのTikTok活用は、単なる商品の紹介にとどまらず、視聴者の生活シーンに商品を自然に溶け込ませる工夫に満ちています。それが、実店舗への来店促進やブランド理解の深化にもつながっているのです。

事例③ ビックカメラ

ビックカメラのTikTok動画では、あえて高額な大型家電ではなく、若年層に人気のあるガジェット・美容家電・生活雑貨などを中心に紹介しています。これは、TikTokの主な利用者層である10〜20代前半、特に若い女性を意識したコンテンツ設計によるものです。

◆ビックカメラのTikTok

https://www.tiktok.com/@biccamera_official/video/7522066581883555077

例えば「美顔スチーマー」などの美容品アイテムを取り上げ、実際に使用している様子を交えながら紹介する形式が多く見られます。視聴者が自分ごととしてイメージしやすい構成になっており、コメント欄にも反応が多く寄せられています

さらに、動画の最後に「詳しくはビックカメラ.comで」といった、ECサイトへの誘導を促す一言を加えるなど、再生回数だけでなく、視聴後のアクションまでを意識した導線設計もしっかり行っております。

事例④ ベルリッツ・ジャパン

英会話スクール大手のベルリッツ・ジャパンでは、女性の英会話教師が登場し、日常会話やビジネスシーンで使える英語表現やTIPSを、テンポよく、親しみやすいトーンで紹介しています。フォローしているだけで自然と英語に触れられる仕掛けになっており、英語学習のハードルを下げる工夫が見られます。

◆ベルリッツ・ジャパンのTikTok

@berlitzjapan

「うっかり」英語での言い方 この動画で紹介したフレーズ: ① by accident (偶然・意図せず) ② without thinking (考えずに) ③ unintentionally (意図せずに) ④ blurt out (うっかり口にする) うっかり 英語の勉強 カジュアル

♬ original sound – 英会話のベルリッツ ・ジャパン – 英会話のベルリッツ ・ジャパン

英会話スクールは、日用品のように衝動買いされるものではなく、高額なサービスです。そのため、TikTok上で即座にコンバージョンを狙うのではなく、ユーザーの頭の片隅にブランドとして残り続けることが重要になります。

特に転職活動を始めた」「海外出張が決まった」といった英語学習の必要性が高まるタイミングで、真っ先に思い出してもらえるような“第一想起”を獲得することが、戦略の軸となっています。

動画では「英語の例文を実演してみた」や「日本人がよく間違える表現TOP3」など、視聴者が思わずスクロールを止めてしまうような企画要素が組み込まれており、教育コンテンツでありながらエンタメ性も高く設計されています。

事例⑤ 武田塾

武田塾では「令和の虎Youth」などの人気YouTubeチャンネルに主演している有名なインフルエンサー教師が多数の投稿をしています。

◆武田塾のTikTok

@takeda_juku

【必見】ぶっちゃけ塾に行く必要ありますか? #武田塾 #大学受験 参考書 #TikTok教室

♬ オリジナル楽曲 – 武田塾チャンネル|参考書のやり方・大学受験情報 – 武田塾チャンネル|参考書のやり方・大学受験情報

内容は、受験生や高校生が気になるリアルな疑問に答える形式で構成されており、例えば「洋楽で英語は学べるのか?」「MARCHや関関同立の英語の難易度は?」といった受験生が興味を持つテーマに対し、テンポ良く、分かりやすい言葉で解説しています。

TikTokならではの短尺フォーマットを生かしながら、「塾らしさ」を感じさせないカジュアルな語り口と、有名インフルエンサー教師を活用することで、受験に不安を抱える学生に対して親しみやすく、かつ信頼できる情報発信を実現しています。

このように、武田塾のターゲットはまさに「TikTokのメインユーザーの10代」でもあるため、TikTok活用は欠かせないマーケティング手法の一つと言えます。

事例⑥ トヨタ

トヨタのTikTok動画は、他の企業アカウントとは異なり、サムネイルに派手な文字入れや煽り文句を加えることなく、車好きが思わず見たくなるようなショート動画が特徴です。静かに始まり、行シーンやエンジン音、内装の質感などを丁寧に見せることで、視聴者の興味を自然と引き寄せています。

◆トヨタのTikTok

@toyota_pr_japan

CROWN特別仕様車ESTATE RS ”THE LIMITED-MATTE METAL” ASMR ※THE CROWN店舗取扱い #TOYOTA#トヨタ#CROWN#クラウン#CROWNESTATE#クラウンエステート#ASMR#creative#creativevideo

♬ オリジナル楽曲 – TOYOTA – TOYOTA

こうした投稿スタイルは、単なる商品のプロモーションではなく、ブランドの価値観や美学を伝えるブランディング戦略の一環と言えます。

例えば、最新モデルの登場シーンを映画のように演出したり、往年の名車のメンテナンス風景を淡々と流すことで、クルマを「モノ」としてではなく、「文化や歴史を持つ存在」として伝えており、ブランド価値を高めているのです、

結果として、TikTokを通じて若年層に向けた直接的な販売促進を狙うというよりは、「トヨタというブランドの世界観に触れてもらい、将来的なファンを育てる」という長期的視点での活用がなされています。

事例⑦ ヤンマー

ヤンマーでは、広報チーム自ら出演しTikTokアカウントを運用しており、農機メーカーという堅いイメージとは対照的に、ユーモアや意外性を取り入れた「面白動画」を積極的に投稿しています。

◆ヤンマーのTikTok

@yanmarofficial

面接でやったら〇〇な退出方法 #ヤンマー #YANMAR #面接#企業

♬ Chopin Nocturne No. 2 Piano Mono – moshimo sound design

例えば、社員が寸劇やダンスにチャレンジしたり、社内の「あるある動画」を繰り広げたりと、若年層が思わずシェアしたくなるような企画が多く見られます。

ヤンマーのTikTok活用は、製品紹介や販促が主目的ではなく、ブランドの親しみやすさや企業文化の発信に重点を置いている点が特徴です。トレンド音源やフォーマットをうまく活用しながらも、ヤンマーらしさ」を全面に出して、若年層への認知拡大と採用ブランディングに活用しています。

また、広報だけでなく、社員が自発的に出演するケースも多く、社内の一体感やチャレンジ精神を伝えるメディアとしても、TikTokが有効に機能しています。

事例⑧ スシロー

スシローでは、TikTokを通じておいしいマグロの食べ方やスシロー店内での「通な立ち回り方」など、思わず誰かに話したくなるような情報をショート動画で発信しています。

◆スシローのTikTok

@akindosushiroco

これでみんなもモテモテだね💕✨ スシローデートおすすめだよ🍣 #スシロー #スシロー行きたい #tiktokグルメ #公式 #おすすめ #恋愛テクニック

♬ オリジナル楽曲 – 【公式】スシロー – 【公式】スシロー

一例としては、「スシロー公式しか知らない人気ランキング寿司」「季節によってネタの中身が変わる寿司」など、ちょっとした知識や面白動画を展開しております。

また、人気アニメやキャラクターとのコラボキャンペーンもTikTokで積極的に紹介しており、「◯◯とコラボしたお寿司が登場!」といった動画がファン層に響き、コラボ期間中の来店動機づけにもつながっています。

特に若年層に対しては、テレビCMやWeb広告よりもTikTokの方が圧倒的に身近で、こうした動画が「今、行ってみたい」と思わせる来店動機の創出につながっているのです。

事例⑨ しまむら

しまむらでは、TikTokを活用して季節ごとのアイテム紹介やコラボ商品の告知を積極的に行っています。

◆しまむらのTikTok

@shimamura_gr

夏のラグはこれ一択☝️ ヒンヤリ気持ち良いラグの上で快適お家時間を過ごそう #しまむら #しまむら購入品 #しまパト #ラグ #リビングインテリア <ラグ 淡薄橙> 品番:101-1406 価格:5,500円(税込)

♬ Bounce (feat. NENE) – Snowk

具体的には、「春の新作」「梅雨に便利なアイテム」「秋冬あったかグッズ」といったように、季節のタイミングに合わせたラインナップを紹介することで、ユーザーのタイムリーな商品紹介を展開しております。

また、有名キャラクターや人気ブランドとのコラボ商品を紹介する動画も多く、動画内でのビジュアル訴求や実際の店舗陳列の様子を見せることで、「売り切れる前に買いに行きたい」という心理をついて販促に利用しております。

しまむらのTikTok運用では、価格訴求だけに頼らず、シーズン性やコラボの話題性を生かした訴求を行っています

事例⑩ すかいらーくグループ

ガストやバーミヤンなどを展開する「すかいらーくグループ」では、TikTokを活用してメニューの魅力訴求や期間限定キャンペーンの告知、店舗スタッフのリアルな声の発信を行っています。

◆すかいらーくグループのTikTok

@skylark.jp

【コスパ最強!】ステーキ&サラダバーフルセットが1,649円! #すかいらーく #ステーキガスト #お肉好き #肉食べたい

♬ オリジナル楽曲 – すかいらーくレストランツ【公式】 – すかいらーくレストランツ【公式】

グループ内のガストやバーミヤンの新メニューの紹介では、料理が提供される瞬間や、出来立ての料理、熱々の湯気といった「食欲を刺激する映像演出」をショート動画で巧みに表現しています。BGMやトレンド音源と組み合わせることで、視覚と聴覚の両面からユーザーの印象に残るコンテンツとなっています。

すかいらーくグループは、気軽で親しみやすいトーンで動画を展開することで、日常の食事シーンに自然に溶け込むブランドコミュニケーションを実現して、来店を促す工夫をしているのです。

TikTok動画の3つのメリット

それでは、次にTikTok動画の3つのメリットについて解説するので、これからTikTok動画マーケティングの実施に向けて企画を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

メリット① ゼロからのスタートでも動画が再生されやすい

TikTokの最大の魅力の一つは、誰が投稿しても一定の再生数を獲得しやすいアルゴリズムが備わっていることです。特に初期段階では、投稿された動画がランダムに300〜500回程度はテスト表示され、良い動画を作ることができれば、拡散されやすい仕組みになっています。

この仕組みにより、まだフォロワーが少ない段階でも、動画そのものの魅力や構成が良ければ多くの人に見てもらえるチャンスがあります。他のSNSと比べて初速の反応が出やすく、特にスタートアップや個人事業主にとっては、知名度アップや認知獲得に最適な場と言えるでしょう。

メリット② YouTubeチャンネルのショート動画にも転用できる

TikTokで作成した動画は、YouTubeショートやInstagramリールに活用できるため、コンテンツの再利用ができる利点があります。これにより、1つの企画・編集で複数のプラットフォームに投稿でき、少ない工数で広範囲にリーチすることが可能になります。

さらに、各プラットフォームのアルゴリズムは微妙に異なるため、TikTokでは伸びなかった動画がYouTubeショートではバズるという可能性もあります。1本の動画から複数の可能性を生み出せる点は、特にコンテンツ制作の時間や人手が限られている小規模事業者にとって大きな強みになります。

メリット③ 参入している企業が少ない

TikTokはユーザー数が年々増加しているにもかかわらず、ビジネス目的で本格参入している企業はまだ一部に限られているのが筆者の印象です。特に、BtoB企業や地元密着型の中小企業ではTikTokの活用が進んでおらず、今から始めれば競争の少ないブルーオーシャン市場で先行者利益を得られる可能性があります

また、TikTokのユーザーは若年層が中心ではあるものの、最近では30代・40代の利用者も増えており、ターゲット層の幅も徐々に広がっています。「TikTok=若者向け」という固定観念を捨て、今のうちに試しておくことで、ノウハウを先んじて蓄積することができます。

TikTokShopはECサイトの新しいチャネルとしての可能性

TikTokは動画コンテンツを楽しむSNSとして知られていますが、近年では新しいECチャネルとしての存在感を高めています。中でも「TikTok Shop」は、プラットフォーム内で商品紹介から購入までを完結できる仕組みを備えており、ECにおける新しいチャネルとしての可能性があります。

TikTok Shopは、インフルエンサーや企業アカウントが動画やライブ配信で商品を紹介し、そのまま視聴者がアプリ内で購入できる仕組みであり、従来の「外部リンク → ECサイトへ誘導」というステップが不要となり、スムーズな購買導線を作ることができます。

特に、衝動買いや感情ベースの購買を促す上で、TikTokは非常に相性が良いとされており、ライブコマースやタイムセールとの組み合わせによって、短期間で大きな売上を生む事例も出てきています。

まだ日本国内ではこれからのチャネルですが、今後数年で急成長が見込まれる領域です。今のうちからTikTok Shopの可能性を理解し、自社EC戦略に組み込んでいくことが、他社との差別化や先行者優位につながるでしょう。

TiktokShopについては下記の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:EC担当者必見!日本上陸「TikTok Shop」について徹底解説

まとめ

TikTokは、もはや単なる動画共有アプリではなく、ECサイトの集客・販促チャネルとしても注目される存在となっています。ショート動画を作るのは手間がかかりますが、その分、TikTokを実施していない競合に差をつけやすい施策ともなります。本日紹介した10の企業事例をみて、ぜひ企業アカウントでTikTokを始めてみましょう。

もし、ECサイトのマーケティングの一環でTikTokなどのSNS施策を検討している場合は、ぜひ一度、株式会社インターファクトリーのEC支援サービス「EBISU GROWTH」にお気軽にご相談ください。

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表。 株式会社インターファクトリーのWebマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」では、ECサイトの初心者向けに特に集客方法について解説。