業界人が語る!ECパッケージのメリット・デメリットを徹底比較

ECパッケージとはどのようなECシステムなのか、ECパッケージといっても種類が沢山ありすぎてどのベンダーを選んだら良いのかわからないというEC担当者様も多いのではないでしょうか。

今回は、ECパッケージのメリットとデメリットと、ECサイトの立ち上げやリニューアルする際に抑えておくべき3つの事について詳しくご紹介します。これさえ抑えておけば、自社に最も合うベンダー企業を見つけられると思います。ぜひ参考にしてみて下さい。

4つのEC構築サービスを比較

下記の表では、ECパッケージとオープンソース、ASP、フルスクラッチ、の4つのシステムの特徴について早見表です。

■EC構築サイトの4つの構築システムの比較表

参照:個人や企業が最適の「ECサイトを構築」するための必要な5つの視点/ebisumartMEDIA

システムのタイプによって初期費用や導入期間など大きく差が生まれてきます。きちんとECパッケージについて理解をした上で、自社に見合う構築サービスなのかを見極める必要があります。詳しい内容については、下記メリットデメリットでご紹介いたします。

ECパッケージの3つのメリット

メリット①独自要件を実現できる、豊富なカスタマイズ機能
メリット②中・大規模向けのECサイトを構築しやすい
メリット③フルスクラッチに比べて導入期間が短い

メリット①独自要件を実現できる、豊富なカスタマイズ機能

・パッケージ   カスタマイズ可能 ○
・オープンソース カスタマイズ可能 ○
・ASP      カスタマイズ不可 ×
・フルスクラッチ カスタマイズ可能 ○

パッケージの一つ目のメリットは、機能やデザインに独自要件が多い場合でも柔軟に対応ができることですなぜなら多くの中規模企業がパッケージシステムを導入しておりナレッジがたまっているため、最近ではカスタマイズ性が向上し、フルスクラッチにも負けないくらいのカスタマイズ性があります

ECとしての基本機能が備わっているパッケージをカスタマイズするため、フルスクラッチよりも初期費用を抑えながら、システムを構築することができます。そのため中・大規模の企業と相性が良いです。

続いてオープンソースの場合は、ソースコードをダウンロードし、自由にカスタマイズができるため自社に合わせて自由に機能を追加することが可能です。

ただし、十分なマニュアルが用意されていないことも多いため、自社に合わせてカスタマイズするためには社内に開発技術のある人が必要になります。その点パッケージの場合は、開発をベンダー側に任せることができるため、その分EC担当者の負担が減ります

ASPは、カスタマイズができませんので、独自の要件がある企業には向いているシステムではありません。

また先程、パッケージのカスタマイズ性はフルスクラッチにも負けないとお伝えしましたが、機能に独自性の強いものや、パッケージの導入事例に自社と似たような業種がない場合は、ゼロからECサイトを構築できるフルスクラッチを選ぶことをおすすめします

なぜなら、最も自由度を高く自社に合わせてゼロからECサイトを作り上げることができるからです。ただし、その分費用がかかるため、ECの初期投資に予算のある大手企業に向いている構築サービスと言えます。

メリット②中・大規模向けのECサイトを構築しやすい

・パッケージ   中・大規模企業以上
・オープンソース 小・中規模企業以上
・ASP      小・中規模企業
・フルスクラッチ 大企業が中心

パッケージがなぜ中・大規模なECサイトを構築しやすいかというと、カスタマイズ性が高く、中・大規模の構築実績も多いため開発時にベンダーとの話がスムーズに進むからです。メリット①でもお伝えした通り、パッケージの機能が年々拡張しつつあるため、ある程度の機能要件に関しては応えることができます。

また、オープンソースとASPは初期費用が安いので、どちらかといえば小・中規模企業でも導入しやすく、オープンソースの場合は、ソースコードが公開されているため、自社に技術力さえあればECサイト構築の自由度は高く、欲しい機能を追加したり好きなデザインにしたり、様々なことが可能です。

EC構築システムの中で、独自要件やブランディングのため細部までとことんこだわったデザインでECを構築する場合は、フルスクラッチしか選択肢がありません。なぜなら、カスタマイズの開発規模があまりにも大きすぎると、パッケージのメリットであるフルスクラッチより低価格な開発ができないからです。

メリット③:フルスクラッチに比べて導入期間が短い

・パッケージ   導入期間は最短3カ月
・オープンソース 導入期間は最短1週間~
・ASP      導入期間は最短1週間~
・フルスクラッチ 導入期間は半年~1年以上必要

パッケージはすでにEC機能のあるシステムを備えているため、自社に合わせてカスタマイズをしたとしても比較的早く最短3カ月程で導入することができます。

また、オープンソースの場合は、カスタマイズしなければすぐにECサイトを始めることができますが、カスタマイズする場合は、自社で開発を行う必要があるためその分期間が必要となります。

ASPは最短1週間でリリースすることも可能で最も手軽なECシステムと言えます。そのため、初めてECサイトを構築する場合にも多く用いられます。

ECシステムの導入に最も時間がかかるのが、ゼロからECシステムを構築するフルスクラッチです。独自の機能要件が多い大手ではよく使われるシステム構築サービスですが、カスタマイズ性が高く、かつ早く導入したい場合にはカスタマイズ性が高く導入期間比較的に短いパッケージを利用するのがいいでしょう

ECパッケージのデメリット

デメリット①システムが陳腐化する
デメリット②コストが高い
デメリット③中長期的に費用がかかる

デメリット①システムが陳腐化すること

・パッケージ   3~5年でシステムが陳腐化する
・ASP      自動でアップデートされる
・オープンソース 3~5年でシステムが陳腐化する
・フルスクラッチ 3~5年でシステムが陳腐化する

パッケージのデメリットは、3~5年経つとシステムが陳腐化するため、サイトのリニューアルを検討する必要があります。その都度改修費用と労力がかかるため、EC担当者の負担となります。

ASPの場合は、システムが自動でアップデートされるため陳腐化せずに利用することが可能です。自社でシステムを管理する必要がないため、EC担当者は運用の知識がなくても安心して任せられ、普段の業務にも専念することができます。

オープンソースの場合は、基本的にサポートされていないソフトウェアなので、システムはすべて自社で管理する必要があります。そのためアップデートも自社で行わないかぎり、システムはどんどん陳腐化してしまいます。

フルスクラッチは、ゼロからシステムを開発しているため、システムの更新も自社で行う必要があります。そのため、ECサイトを作ったら終わりではなく、継続的にシステムを保守管理していくことが重要です。

デメリット②初期費用が高い

・パッケージ   初期費用600万円~
・ASP      初期費用10万円~30万円
・オープンソース 初期費用0円~数百万円
・フルスクラッチ 初期費用1000万円~数億円

最も初期費用が高いのはフルスクラッチですが、パッケージの場合もカスタマイズすると初期費用が1000万円以上になるケースも少なくありません。その分、デザインやカスタマイズ性が柔軟なため、機能要件の多い中・大規模企業のECサイトによく使われる構築サービスです。

ASPの場合は、初期費用を10万円~30万円で始められるため、新規でECを立ち上げる場合でも比較的に低価格で始めることができます。なかには無料で始められるASPもあるので、今すぐにでもECを立ち上げたいという方や、個人や小規模企業でも利用しやすい構築サービスです。

オープンソースの場合は誰でも無料で利用できるため、費用を抑えて利用することが可能です。ただし無料で利用できる分、自社での管理が必要となります。例えば、緊急時にサポートが受けられなかったり、セキュリティ面でも自社で管理する必要があったりと、すべて自社で管理しなければなりません。

デメリット③中長期的に費用が高くかかる

・パッケージ   中長期的に費用がかかる 高
・オープンソース 中長期的に費用がかかる 高
・ASP         中長期的に費用がかかる    低
・フルスクラッチ 中長期的に費用がかかる 高

パッケージやオープンソース、フルスクラッチの場合は自動でアップデートされないため定期的に追加改修コストがかかりますサイトを維持するためには、定期的なサイトの修復作業が必要なためランニングコストが高くかかります。

中でもオープンソースの場合は特殊で、誰でも無料で利用ができるため、運営はもちろん追加改修作業も全て自社で行う必要があります。一見、ベンダーにランニングコストを払わずに追加コストが安く済むと思われがちですが、そもそもオープンソースの場合は基本的に全て自社で管理する必要があるため、結局パッケージやフルスクラッチと同じだけのコストがかかります。そのため、常にオープンソースのコミュニティにアクセスしてセキュリティ情報や最新情報を確認するなど対策が必要です。

ASPの場合は、ランニングコストを抑えて運用ができます。なぜならシステムが継続的に自動アップデートされるため、サイトが陳腐化することもなく、追加カスタマイズ工数を削減することができるからです。そのため、小規模企業でも導入しやすいシステムと言えます。

ECサイトの立ち上げやリニューアルする際に知っておきたい3つのこと

ステップ①ECの開発は「ECベンダー」が一番ECのノウハウを知っている

ECなどの開発は多くの企業が付き合いのあるシステム会社に依頼する場合が多いです。しかし、ECにはEC独自のノウハウがあります。

例えば、システム会社に依頼してECサイトを作ったとしても、クーポン機能がなかったり、マイページ機能がないままリリースされるという話もあります

これがもし、ECベンダーであればそのようなことは絶対にありません。しかし、ECのノウハウのないシステム会社にECサイト構築の依頼をしてしまうと、ユーザーの要件定義以上の仕様にはならず、一般的なECサイトにはあるべき機能がないままリリースされることもあるのです。

それを防ぐためにも、ECサイトの依頼をするなら、ECのノウハウがあるECベンダーを入れるべきです

ステップ②ECベンダーを導入事例で選ぶ

数あるベンダーの中から、自社に向いている企業の選び方とは、システムの依頼を検討しているベンダーの導入事例に自社のビジネスモデルと近い事例があるかを確認することが重要です。なぜなら、同じようなサービスを過去に提供したことがある場合は、開発する際も話がスムーズに進むからです。

だからこそ、自社に向いているベンダー企業を探す際は導入事例をみて今までにどのような導入事例があるのかを見ておくことが重要となります。

ステップ③コンペに呼ぶべき3社を選ぶ方法

ECサイトを新規で始める場合や、リニューアルを考えている場合、コンペを通して複数の業者から最も自社にあうシステムを選ぶ場合、どのような基準で企業を選ぶべきでしょうか。私なら下記の例のように3社を選びます。

1社目 業界No.1のECベンダー
2社目 付き合いのあるシステム会社
3社目 自分の気になったECベンダー

まず、コンペに選ぶ企業の数は3社~4社程度です。なぜなら、コンペに沢山の企業を呼んだとしても、数が多いとそれだけで混乱してしまったり、選定基準がわからなくなってしまったりするためです。そのため、3~4社の企業を選ぶことで一つ一つの企業に集中でき、判断もしやすくなるでしょう

続いて、コンペ先企業の選び方は、1社目は業界のトップ企業を入れることです。例えばパッケージを選ぶ場合は、パッケージ業界No.1の企業を選びます。ASPの企業で悩んでいる場合は、ASP業界No.1企業を選ぶと良いでしょう。

なぜ、業界No.1の企業を選ぶかというと、業界トップの企業はそれだけ導入事例も沢山あるからです。自社と同じようなサービスを提供している企業が事例にあれば開発もスムーズに進むでしょう

続いて、2社目に選ぶべき会社は付き合いのあるシステム会社、3社目以降は自分で探して気になるベンダーを選んでみてください。仮に、2社目に選ぶべき付き合いのあるシステム会社がなかった場合は、3社目と同様に自分で探して気になったところを入れても良いです。

ECパッケージのまとめ

今回はECパッケージについて詳しくご説明いたしました。社ECサイトの新規立上げやリニューアルをお考えなら、まずはECベンダー企業を検討すべきです

なぜなら、もしもECを専門としないシステム会社に依頼をしてしまったとしたら一般的なECサイトにはあるべき機能が付いていないままリリースされるケースも少なくありません。しかし、今回ご紹介したECパッケージではそのような心配はなく、始めからECに必要な機能が用意されており、また必要があれば要件に合わせてカスタマイズも可能です。さらにECベンダーの場合は、複数のECサイトを構築しているため開発もスムーズに進めることができます。

ちなみに今回はご紹介できませんでしたが、弊社インターファクトリーではクラウドEC構築サービスを提供しております。

クラウドECは、パッケージと同じ拡張性がありながら、システムが陳腐化しないECプラットフォームであり、中長期的にシステム運用費用を抑えることもできますし、一度導入すれば、システムが古くならないため、二度とリニューアルする必要がありません。

ECシステムの導入やリニューアルを考えている方はクラウドEC「ebisumart」もご一緒にご検討下さい。

クラウドコマースプラットフォーム:ebisumart(エビスマート)

スモールスタート向けクラウドコマースプラットフォーム:ebisumart zero(エビスマート ゼロ)

 

セミナー情報

ABOUT US
首藤 沙央里
2019年9月、株式会社インターファクトリーに入社。 マーケティングチームにてオウンドメディア運用を担当し、年間40本以上の記事を掲載。 社内広報、採用広報に加え、EC業界やクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」についての情報発信も行う。