転職・就職したい方向け!決算資料から読み解くYahoo社の戦略とは?

「Yahooで働きたい!」
「Yahooの事業って、ポータルサイト以外は何をやっている会社なんだろう?」

これからYahoo社を目指して、就職・転職を考えている方は、Yahoo社がどんなビジネスを行っているのか、事前に知っておく必要があります。

インターネット業界の老舗のYahooは、主にメディア事業、コマース事業を行っており、具体的には「Yahoo.Japan」や「Yahooショッピング」、「Yahooオークション」などのメイン事業があり、いずれの事業も、日本一のポータブルサイトのYahoo.Japanと連携することができるのが、Yahoo.Japanの大きな強みと言えます。

本日はインターネット業界の老舗のYahooについて、インターファクトリーでシニアアドバイザーを担当する筆者が、詳しく解説いたします。

本日、この記事で紹介するデータやグラフはYahoo社の決算資料から引用しております。:決算関連資料・説明会(Yahoo)

21期連続増収のYahooの売上

下記は、2003年から2017年までのYahoo社の売上推移のグラフです。

 

2015年にアスクルを子会社化!

まず、2015年に大幅に売上が伸びている理由は、アスクルがYahooの連結子会社となったためです。アスクルと言えば、文房具のイメージが強いと思いますが、EC業界では、BtoBのECサイトにおいて優れた物流を持つ会社で評判です。

例えば、倉庫内の商品のピッキング作業には、ディープラーニングで学習し続けるロボットを使ったり、ECサイトと配送システムが連携されており、1時間単位で商品配送可能である点など、日本国内で最も物流システムが進んでいる会社の一つなのです。

参考記事:アスクルとロハコ、アマゾン凌駕の物流ロボット化で秒単位予測…ドライバーをラクな仕事に

つまり、日本一の露出力のあるYahooと、優れた物流機能を持つアスクルがが手を組むことは、お互いの長所を補完しあえる組み合わせなのです。Yahooには、Yahooショッピング(ECサイト)や、Yahooウォレット(決済)があるため、この補完関係により、Amazonや楽天に対抗することができる目論見です。

特にECサイトのデメリットとは「商品がすぐ届かない」点ですが、この点をYahooショッピングにおいて、アスクルの持つ物流網や倉庫などのインフラやノウハウを使うことができれば、ECを利用するユーザーの利便性が高まり、今後、日用品がECサイトで購入する時代に突入した時に、大きな武器となることは間違いありません。

①メディア事業

アスクルの売上への貢献以外においても、Yahoo社は堅調に売上を伸ばしています。その一つがメディア事業です。つまり皆さんが良くスマホやPCで見る「Yahoo Japan」のことです。では、ポータルサイトの「Yahoo」はどれくらいアクセスされているのでしょうか?

◆Daily UB(デイリーユニークブラウザー数)

上記の表はDaily UB(以下 DUB)を用いており、一日あたり、参照されているブラウザー(アプリや、GoogleChorme、Sfari、Edgeなど)の数ですが、ピンとこない人、ユーザー数(厳密には異なりますが、ここではそこまで気にしなくて良いでしょう)と思ってください。

1日あたり9053万DUBあり、そのうちの6000万DUBが、スマートフォン経由です。このグラフを見る限り、PCでYahooを見る人は減り続けていますが、スマートフォンからのアクセスは増え続けています。

これは今までスマートフォンを使ってなかった60代以上のシニア層も、少しずつガラケーからスマートフォンに移行している影響ではないかと筆者は予想します。その根拠については下記の記事をご覧ください。

参考記事:60代シニアのスマホ所有率が5割超に、初めてガラケーと逆転、70代も3割超 -NTTドコモ

もう一つの理由は、ここでの数字がDUBであり、ユーザー数ではないので、スマホの2台持ちが普及したことも影響すると思います。格安SIMの普及により、中古でスマホを買う人が増えており、そういった方が、スマホの両方にYahooのアプリをインストールしているため、DUBが伸びている一因になっているのではないでしょうか?

参考記事:中古スマホ 盛況 2台持ち・格安SIM普及で 

そして、スマホでYahoo.Japanを見るためには、ブラウザーで見る方法と、Yahooアプリをインストールして見る方法の二つがあります。そのYahooアプリはアプリ累計ダウンロードランキングで、GoogleやLINEを押さえて、2年連続の1位を獲得しております。

 

やはり1位なのは、流行や世代に左右されず、若い人もシニアの方も、ニュースから、天気予報、電車乗換案内など幅広いサービスを用意しており、スマホに絶対入れておきたいアプリであることから、1位を獲得しているのでしょう。

そしてYahooが収益源としているのは、広告です。これだけのユーザーが閲覧すれば、広告効果が高いのは間違いありません。Yahooの広告は大きく分けて下記の二つです。

(1)ディスプレイ広告(広告にボカシを入れています)

(2)検索連動型広告(広告にボカシを入れています)

 

これらの広告は皆さんもよく見かけると思います。この広告がYahooの1番の収益源なのです。皆さんは無料でYahooのアプリやサイトを利用していますが、言い換えるとYahooは、そのサイトやアプリで表示している広告で収益を得ているのです。

◆広告関連売上収益

 

Yahooの広告収入の伸びが、Yahoo社全体の売上増加とつながっています。

検索連動型広告は横ばいですが、ディスプレイ広告が伸び続けています。これはYahooのディスプレイ広告が、よりセグメント別に配信されたり、動画広告で、今までよりクリックされやすくなったりということもありますが、スマートフォンユーザーがシニア層を中心に増えつづけていることが、大きな要因ではないかと思います。

ちなみに、検索連動型広告よりディスプレイ広告の方が伸びているのは、Yahooだけではなく、世界的な流れで、アメリカでも2016年に、ディスプレイ広告が検索連動型広告を抜きました。

参考記事:US Digital Display Ad Spending to Surpass Search Ad Spending in 2016

PCに比べて、スマートフォンの場合、便利なアプリがあるため、検索されづらいというのもありますが、日常的に使うスマートフォンにより、インターネット人口およびインターネット使用時間が格段に伸びており、そのためディスプレイ広告が伸びているのだと筆者は考えます。

それでは次にコマース事業を解説します。

②コマース事業

Yahooのコマース事業とは主に「Yahooショッピング」と「Yahooオークション」です。

まず、Yahooショッピングの取り扱い高が、2017年度は6,276億円でした。

◆ショッピング事業取り扱い高

 

しかも、対前年比31%も伸びております。しかし、ショッピングモールのライバルの楽天市場の取り扱い高は3.4兆円で、5倍以上差があります。またライバルの楽天も取り扱い高を伸ばしていることから、Yahooショッピングにはさらなる成長がかかせません。

参考記事:楽天の国内EC流通総額は約3.4兆円で、伸び率は13.6%【2017年度の実績まとめ】

Yahooショッピングの最大の特徴は、事業者がYahooショッピングに無料で出店できる点です。2013年に初期費用・月額固定費、ロイヤリティーなどを無料としたため、出店する店が一気に増えました。ただし、完全に無料というわけではなく、

・Tポイント原資
・アフィリエイト報酬原資
・決済手数料

これらの負担が必要です。それでも楽天やAmazonと比べると、出店にかかる手数料や固定費を、だいぶ少なく抑えることができますし、楽天やAmazonと平行して、Yahooショッピングを行うのも良いでしょう。

また、「Yahooオークション」も取扱高を増やしており、9,000億円を突破しました。

◆オークション関連取扱高

メルカリには押され気味の印象がありますが、メルカリの取り扱い高は2480億円で、まだYahooオークションの方が、規模が3倍以上あると言えます。

参考記事:メルカリの流通総額は2480億円(17/6)、今期は「ZOZO」超え3000億円突破の見込み

Yahooオークションは、老舗のインターネットサービスである点と、中年男性ユーザーはメルカリよりも、Yahooオークションを好んでいることから、今後も優位を続くと思われます。Yahooオークションも、メルカリの出現後、Yahooプレミアム会員でないと、出品できなかった点を、会員じゃなくても出品できるように改善するなど、しており、若いユーザー層の多いメルカリと共存していく形になると筆者は考えます。

Yahooのまとめ

Yahooは、メディア事業から、広告事業、コマース事業と幅広い事業を抱えており、そしてそのすべてが、ポータルサイトでもあり、有力検索エンジンの「Yahoo.Japan」と連携できるのが最大の強みです。この連携により、どんな事業でも大きな流入(アクセス数)を各事業に送ることができます。

ただし、各事業において、楽天やメルカリなど、競合の攻勢も激しいため、インターネット事業に身を置く、筆者としては今後の展望が楽しみです。

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