Threads(スレッズ)は、Metaが提供するテキストを中心としたSNSです。2023年7月のサービス開始以降、利用者は増加を続けており、2026年6月には、Threadsの月間アクティブアカウント数が世界で5億を突破しました。日本でも利用時間が前年比130%以上増加しています。
Threadsは現在も利用規模を拡大しているSNSの一つとして、企業のマーケティングにおいても無視できない存在になりつつあります。
Threadsの大きな特徴の一つが、ユーザー同士の「会話」が重視されていることです。そのため、企業から情報を一方的に発信するだけでなく、ユーザーへの返信やコミュニケーションを通じて顧客との接点を増やしたい企業にとって、マーケティングに活用する価値のあるSNSと言えます。
実際に、Threadsをユーザーとのコミュニケーションや商品に関する情報発信、自社ECへの誘導、キャンペーンなどに活用している企業もあります。
この記事では、Threadsをマーケティングに活用している企業5社の事例を中心に、Threadsマーケティングに向いている企業の条件や活用法について詳しく解説します。
Threadsをマーケティングに活用している5つの企業事例
Threadsは、商品やサービスの情報発信だけでなく、ユーザーとのコミュニケーションや自社サイトへの誘導、キャンペーンなど、さまざまなマーケティング施策に活用できます。
まずは、Threadsを活用してマーケティングに取り組んでいる5社の事例を紹介します。
事例① 株式会社リンレイ:コメント返信を通じてユーザーとの接点を生み出す
業務用・家庭用の清掃製品などを展開する株式会社リンレイは、Threadsをユーザーとのコミュニケーションに活用しています。
◆「リンレイ」の公式アカウント
過去には、リンレイのお風呂掃除用クリーナーの使い方に困っているユーザーの投稿に公式アカウントから返信したところ、そのやり取りがThreads上で大きな話題になりました。
この事例はMetaからも注目され、2026年6月には、Threadsで注目を集めるクリエイターや企業アカウントの担当者を紹介する公式番組「Threadsのあの人」にリンレイの担当者が出演しています。
番組では、話題となった返信が生まれた経緯や、企業の公式アカウントとして発信する際に大切にしていることなどが紹介されています。
企業がThreadsを活用する際は、自社から情報を発信するだけでなく、自社商品について投稿しているユーザーを見つけ、必要に応じて返信することも顧客接点を作る方法の一つです。
事例② 有限会社安井ファーム:専門情報と担当者の個性を生かして発信
石川県白山市でブロッコリーなどの農産物を生産・販売する有限会社安井ファームは、Threadsをブロッコリーや会社に関する情報発信に活用しています。
◆「安井ファーム」の公式アカウント
同社では、広報担当者が「ブロッコリーの人」として、ブロッコリーに関する情報や会社の出来事などを個性的な文体で発信しています。公式サイトでは、SNSによる情報発信をブロッコリーの消費拡大に向けた取り組みの一つとして位置付けています。
2025年12月には公式サイトでThreadsが同社の主力SNSになったことを発表しており、Threadsを一時的な情報発信先として利用するのではなく、継続的な顧客接点の一つとして活用していることが分かります。
自社の商品や事業について専門的な知識を持つ企業は、その知識をユーザーに役立つ情報として発信することで、Threadsの投稿内容を充実させることができます。また、担当者自身の言葉で発信することも、企業や商品を身近に感じてもらうための有効な方法です。
事例③ 岩谷マテリアル株式会社:商品の活用方法やレシピを発信
岩谷マテリアル株式会社は、袋状のラップ「アイラップ」の公式Threadsアカウントを運用しています。
◆「アイラップ」の公式アカウント
同社のアカウントでは、画像や動画などを活用しながら、アイラップを使ったレシピや商品の活用方法などを発信しています。アイラップは冷凍・冷蔵保存のほか、電子レンジや熱湯での温めにも利用できるため、商品の機能を具体的な使用シーンとあわせて伝えやすい点が特徴です。
企業がThreadsを運用する際は、商品そのものを紹介するだけでなく、ユーザーが実際に使う場面を想定した情報を発信することで、商品の用途や利便性を具体的に伝えられます。
特に、使い方に幅がある商品では、レシピや活用方法を継続的な投稿テーマとして展開しやすくなります。
事例④ 株式会社クラシコム:リンク付き投稿から自社サイトへ誘導
株式会社クラシコムは、ECサイト「北欧、暮らしの道具店」の公式Threadsアカウントを運用しています。
◆「北欧、暮らしの道具店」の公式アカウント
「北欧、暮らしの道具店」は、商品の販売だけでなく、暮らしに関するWeb記事や動画、ポッドキャストなど、さまざまなコンテンツを制作しています。
公式アカウントでは、新しく公開した記事やYouTube動画、新商品などを紹介し、投稿内に詳細ページへのリンクを添えています。
Threadsは、投稿文中に外部サイトへのリンクを設置できるため、投稿を見て興味を持ったユーザーを、そのままECサイトの商品ページや記事などへ誘導できます。
同社のように、自社ECやオウンドメディアに多くのコンテンツを持つ企業にとっては、Threadsを外部サイトへの集客経路の一つとして活用できます。
事例⑤ 株式会社キャロットカンパニー:Threadsを活用した参加型キャンペーンでUGCを促す
バッグブランド「anello®」を展開する株式会社キャロットカンパニーは、Threadsをユーザー参加型キャンペーンに活用しています。
◆「anello®」の公式アカウント
2026年6月には、anello®の「TOYシリーズ」を対象とした「何TOY作れる?トートバッグが当たるキャンペーン」を実施しました。
X、Instagram、Threadsの公式アカウントをフォローしたうえで、「#何TOYにもなる」を付け、ユーザー自身が考えたTOYシリーズの使い方を投稿すると応募できる仕組みです。
参考:株式会社キャロットカンパニー「【anello】何TOY作れる?トートバッグが当たるキャンペーンを開催!」
このキャンペーンでは、企業側が商品の特徴を一方的に紹介するのではなく、ユーザー自身に商品の使い方を考えて投稿してもらうことで、商品に関するUGCを生み出しています。
Threadsをはじめ、XやInstagramなどのSNSでは、企業から情報を発信するだけでなく、ハッシュタグやユーザー投稿を活用したキャンペーンにも利用できます。
商品との相性が良ければ、ユーザー自身のアイデアや体験を投稿してもらうことで、商品の新たな使い方や魅力を広げる施策にもつなげられます。
Threadsマーケティングに向いている企業の4つの条件
Threadsの利用者属性や投稿への反応、機能などを踏まえると、特に以下のような条件に当てはまる企業がThreadsの活用に向いています。
◆Threadsマーケティングに向いている企業の4つの条件
② ユーザー自身が商品や体験について語りやすい商材を扱う企業
③ SNS担当者がユーザーとの会話に継続的に参加できる企業
④ ECサイトやオウンドメディアなど、Threads外に誘導したいコンテンツを持つ企業
それぞれの条件について、一つずつ詳しく解説します。
条件① 10〜30代を主要顧客とし、新たなSNS接点を増やしたいBtoC企業
10〜30代を主要な顧客層とするBtoC企業は、既存のSNSに加えて新たな顧客接点を作る手段としてThreadsを活用できます。
NTTドコモ モバイル社会研究所の「2025年一般向けモバイル動向調査」によると、Threadsの年代別利用率は以下の通りです。
◆年代別のSNS利用率
20代:18.3%
30代:13.3%
40代:10.5%
50代:7.1%
60代:2.6%
70代:1.1%
出典:NTTドコモ モバイル社会研究所「モバイル社会白書2025年版 第2章 モバイルコミュニケーション」
このように、若い年代ほど利用率が高い傾向が見られます。
ただし、これは10〜30代へのアプローチ手段としてThreadsがXやInstagramより優れているという意味ではありません。同じ調査では、10代のX利用率は75.8%、Instagramは74.0%、20代ではXが74.0%、Instagramが69.8%となっており、Threadsの利用率を大きく上回っています。
そのため、若年層へのSNSマーケティングをThreadsだけで行うのではなく、XやInstagramなどをすでに活用している企業が、10〜30代との接点をさらに増やすための追加チャネルとして利用するのが適しています。
条件② ユーザーが商品や体験について語りやすい商材を扱う企業
MetaがThreads上の投稿を分析したところ、返信が特に多かったクリエイターは、映画・テレビ、写真、書籍、ファッション、フィットネス、スポーツ、音楽、飲食、美容、テクノロジー、旅行などについて投稿していました。
引用:Meta「Find Your Community With New Threads Educational Insights」
また、Threadsには特定の興味・関心を持つユーザー同士が集まって会話できる「コミュニティ」機能があり、日本でも2026年6月から提供されています。日本では「ねこのいる暮らし」「育児」「カフェ」のほか、国内アーティストや野球チームなど、実際に利用者の間で広く使われているトピックをもとにコミュニティが設けられています。
◆コミュニティ機能
出典(画像):Meta「Threadsの月間アクティブアカウント数が5億を突破、日本でもコミュニティ機能を導入」
このようにThreadsでは、趣味や日常生活に関する共通の興味・関心を起点とした会話が行われています。
そのため、食品、ファッション、コスメ、旅行、スポーツ、エンタメなど、ユーザーが自分の好みや使用体験について語りやすい商材を扱う企業は、商品を一方的に紹介するだけでなく、ユーザー同士の会話にもつながるテーマを作りやすいと考えられます。
条件③ SNS担当者がユーザーとの会話に継続的に参加できる企業
投稿するだけでなく、ユーザーへの返信や会話にも継続的に参加できる企業は、Threadsの特徴を生かしやすいです。
Threadsは「会話で伸びるSNS」とされており、実際にMetaによれば、Threadsでは返信が閲覧数の約半分を占めており、ユーザー同士の会話を生み出す投稿は、おすすめに表示されやすい傾向があるとされています。
引用:Meta「Find Your Community With New Threads Educational Insights」
そのため、投稿を定期的に配信するだけではなく、自社の投稿に寄せられたコメントに対応したり、自社の商品やサービスに関連するユーザーの投稿を見つけて会話に参加したりできる運用体制が重要になります。
例えば、SNS担当者が日常的にThreadsを確認できることに加え、一定の範囲で担当者自身が返信内容を判断できる企業であれば、ユーザーとの会話が生まれたタイミングを逃しにくくなります。
一方で、返信のたびに社内確認に時間がかかるなど、リアルタイムに近いコミュニケーションが難しい企業では、Threadsの特徴を十分に生かせない可能性があります。
また、本記事事例で紹介した株式会社リンレイのように、ユーザーの商品に関する投稿を見つけて企業側から返信する方法もあります。
条件④ ECサイトやオウンドメディアなどThreads外に誘導したいコンテンツを持つ企業
ECサイトやオウンドメディアなど、SNSの外にユーザーを誘導したいコンテンツを持つ企業も、Threadsをマーケティングに活用しやすいでしょう。
Threadsでは、投稿文中に外部サイトへのリンクを設置できます。また、プロフィールには最大5つのリンクを設定できるため、自社ECの商品ページやオウンドメディアの記事、キャンペーンページなどへの導線を作ることができます。
◆投稿文中の外部リンク(赤枠)
さらに、Threadsのインサイトでは、投稿やプロフィールに設置したリンクが何回訪問されたかを確認できます。(インサイトについては後述します)
株式会社クラシコムの「北欧、暮らしの道具店」のように、ECサイトだけでなく記事や動画など複数の自社コンテンツを持つ企業であれば、Threadsで興味を持ったユーザーを関連するコンテンツへ誘導するなど、外部サイトへの集客経路として活用できます。
特に、ECサイトの商品ページや読みもの、キャンペーンページなど、Threadsで商品やテーマに興味を持ったユーザーが次に閲覧できるコンテンツを複数持つ企業は、Threads内での情報発信をその後の行動につなげやすいでしょう。
Threadsのインサイトを活用して投稿の効果を確認する
Threadsには、投稿の効果を確認できる「インサイト」機能があります。
◆Threadsのインサイト画面
上の画像は英語表示のThreadsです。日本語表示でも同様の機能を利用できます。インサイトでは、主に以下のようなデータを確認できます。
◆Threadsのインサイトで確認できる主なデータ
・いいね、返信、引用、リポストなどの反応
・フォロワー数の増加
・年齢層、性別、主要な都市・国などのフォロワー属性
・期間を指定した閲覧数や反応の推移
さらに、2025年5月にはリンクに関する分析機能が追加され、投稿内やプロフィールに設置したリンクが何回訪問されたかも確認できるようになりました。
ThreadsからECサイトやオウンドメディアなどへユーザーを誘導している場合は、どの投稿が外部サイトへのアクセスにつながったのかを把握するために活用できます。
投稿数やフォロワー数だけを見るのではなく、どのような投稿が閲覧や返信、リンクの訪問につながっているかを継続的に確認し、その結果を次の投稿内容に反映することが重要です。
出典:Meta「New Threads Features for a More Personalized Experience That You Control」
Threads広告は既存のMeta広告から小さく試す
Threadsでは、広告を活用したマーケティングも可能です。広告主はMetaの広告マネージャを通じて、既存のMeta広告キャンペーンをThreadsにも配信できます。つまり、すでにFacebookやInstagramでMeta広告を運用している場合、既存のキャンペーンや広告クリエイティブをThreadsにも拡張して展開できます。
また、Threadsは2026年6月に月間アクティブアカウント数が5億を突破しており、日本でも利用時間が前年比130%以上増加しています。Threadsの利用拡大に伴い、広告の配信先として検討する価値も高まっていると考えられます。
ただし、最初からThreads専用のキャンペーンに大きな予算をかけるのではなく、すでにFacebookやInstagramでMeta広告を運用している企業であれば、下記のようにまずはThreadsを追加の配信面として利用し、他の配信面と成果を比較する方法が現実的です。
◆Threads広告を活用する流れ
② Threadsでの広告成果をほかの配信面と比較する
③ 成果が確認できた場合は、Threadsに合わせて訴求内容やクリエイティブを改善する
特に、10〜30代を主要顧客とする企業や、Threads上で会話が生まれやすい商品・サービスを扱う企業は、広告についてもThreadsとの相性を検証する価値があります。
Threads広告を単独の施策として考えるのではなく、まずは既存のMeta広告の配信先を広げる手段として試し、実際の成果を確認しながら投資を判断することが重要です。
まとめ
Threadsは、企業から一方的に情報を発信するだけでなく、返信や投稿への反応を通じてユーザーとの会話を生み出しやすいSNSです。
そのため、顧客との接点を増やしたい企業や、ユーザーとの継続的なコミュニケーションを重視する企業は、本記事で紹介した企業事例も参考にしながら、積極的に活用を検討すると良いでしょう。
一方で、Threadsを開設して投稿を続けるだけで、必ずマーケティング成果につながるわけではありません。自社の顧客層や商材との相性を見極め、Threadsでどのようなユーザーと接点を持ち、ECサイトへの集客や購入などにどうつなげるのかを設計することが重要です。
また、Threadsだけでなく、InstagramやX、広告、CRMなども含め、それぞれの施策の役割を整理する必要もあります。
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