「専門学校を卒業したら、ゲーム業界に行きたい!」
「自分のプログラミングスキルをゲーム業界で活かしたい!」
デザイナーや、開発スキルを持っている方は、将来そのスキルをゲーム業界で活かしてみたいと考えてはいませんか?
国内のゲーム業界の市場は右肩上がりに拡大しており、市場規模は2年連続で2兆円を超えております。その牽引役となっているのは、スマホゲームです。スマートフォンの普及とともに利用者が一気に増え、業界としては収益も安定しております。
家庭用ハードの面でも、Nintendo Switchが世界中で好調な売れ行きを示しており、半導体不足から品薄が続いたPlayStation 5も、2023年現在ではようやく安定供給の目処がついたこともあり、今後もさらに市場規模は拡大すると見られております。
しかし、ゲーム業界各社の売上はヒット作に依存しやすい傾向があります。そして仕事は、ゲームが好きというだけではつとまらず、モノを作ること、成果を残すことにこだわりがある方に向いている業界でしょう。
本日は、インターファクトリーで、シニアアドバイザーを担当している筆者が、ゲーム業界について解説いたします。
日本のゲーム業界の市場規模は2年連続で2兆台!
まずは、下記のグラフを見てください。ゲーム誌「ファミ通」を発行している株式会社G’zブレインから販売されている「ファミ通ゲーム白書2022」から引用したグラフです。
◆2021年までの国内ゲーム市場規模の推移
引用元:ゲーム業界データ年鑑『ファミ通ゲーム白書 2022』発刊 国内外のゲーム市場を最新データで分析(PR TIMES)
このグラフを見ると、コロナ禍の影響がよく表れていることがわかります。まず全体を見ると、コロナ禍に突入した2020年で、ゲーム需要が増え市場規模が大きく伸びました。
2019年までは、青色の「オンラインプラットフォーム(スマホアプリ等)」の割合はどんどん増えてきましたが、2020年以降は一旦の落ち着きを見せております。
一方で、緑色の「家庭用ソフト」は、2020年に大きな伸長を見せましたが、これはコロナ禍の巣ごもり需要によるものでしょう。
現在のゲーム市場はスマホアプリが中心となり、ピンク色の「家庭用ハード」の割合が下がってきましたが、2017年に家庭用ハードが盛り返した理由は「Nintendo Switch」の販売によるものです。発売初年度の2017年に世界で1,505万台売れており、2023年現在、シリーズの通算販売台数が1億2,562万台とされております。
2020年11月に「PlayStation5」が発売されましたが、品薄で手に入らず購入を諦める人も現れ、2023年初頭に安定供給が開始されたとは言え、いまだ一般に普及しているとは言い難い状況です。このため、グラフにはあまり変化は見られませんでした。2020年〜2021年で家庭用ハードのグラフが微増しているのは、これもNitendo Switchの需要によるものでしょう。
参考記事:Nintendo Switch、任天堂歴代ハード売上台数2位に躍進、「PS5」ソニー決算説明会で質問続出 品薄どころか需要減の意外な可能性
では、国内のゲームアプリ(スマホ)市場規模の推移を見てみましょう。
1兆円を超えた、スマホアプリのゲーム市場
下記も同じく、株式会社G’zブレインから販売されている「ファミ通ゲーム白書2022」から引用したグラフになります。
引用元:ゲーム業界データ年鑑『ファミ通ゲーム白書 2022』発刊 国内外のゲーム市場を最新データで分析(PR TIMES)
ゲーム市場が成長している一番の要因は、スマートフォンの普及によるものであり、スマホの普及前にはゲームをやらなかった、社会人や主婦層も手軽にゲームを楽しめるようになったため、ゲーム人口が爆発的に増えました。
下記は、2021年のプラットフォーム別ユーザー人口の内訳ですが、ゲーム総人口5,535万人中、アプリゲームユーザーは圧倒的に多い4,231万人となっております。
◆プラットフォーム別のユーザー人口内訳(2021年)
ただし、スマホアプリへの過度の課金が社会的問題にもなっております。もともと問題視されてましたが、コロナ禍が拍車をかけた形になりました。
参考記事:“子供のゲーム課金”トラブルの相談件数が1年で約1.5倍に 国民生活センターが注意喚起 原因は巣ごもり?(ITmedia NEWS)
こういった影響は他産業にも現れており、特にパチンコをやる人が激減しており、パチンコからスマホアプリの課金へとユーザーが流れているからです。
このように、スマホアプリ市場は、右肩上がりの市場ではありますが、課題もある業界なのです。
【ベスト34社】ゲーム業界 売上高ランキング
最新の売上高ランキングが、下記のサイトにありましたので、データを引用して、解説してまいります。
データ引用元:ゲーム業界 売上高ランキング(業界動向サーチ)
◆売上高ランキングのベスト34(2021年-2022年)
順位 | 企業 | 売上 |
---|---|---|
1 | ソニーグループ | 2兆6,743億 |
2 | 任天堂 | 1兆6,953億 |
3 | バンダイナムコHD | 3,735億 |
4 | スクウェア・エニックスHD | 3,652億 |
5 | ネクソン | 2,744億 |
6 | サイバーエージェント | 2,623億 |
7 | セガサミーHD | 2,359億 |
8 | コナミHD | 2,143億 |
9 | ガンホー・オンライン・エンターテイメント | 1,046億 |
10 | ミクシィ | 912億 |
11 | カプコン | 875億 |
12 | グリー | 749億 |
13 | ディー・エヌ・エー | 746億 |
14 | コーエーテクモHD | 687億 |
15 | コロプラ | 371億 |
16 | デジタルハーツHD | 291億 |
17 | アカツキ | 262億 |
18 | マーベラス | 257億 |
19 | Klab | 238億 |
20 | アエリア | 215億 |
21 | gumi | 189億 |
22 | Aiming | 120億 |
23 | マイネット | 105億 |
24 | サイバーステップ | 74億 |
25 | カヤック | 62億 |
26 | トーセ | 59億 |
27 | 日本一ソフトウェア | 57億 |
28 | モブキャストHD | 45億 |
29 | ユークス | 36億 |
30 | エディア | 24億 |
31 | 日本ファルコム | 24億 |
32 | バンク・オブ・イノベーション | 21億 |
33 | ガーラ | 6.0億 |
34 | エクストリーム | 4.9億 |
1位のソニーは、「PlayStation5」の売上が予想外の不振ながらも、オンラインでのソフト販売や、有料会員の増加で売上を確実に伸ばしております。ソニーグループの中でも、ゲーム産業は稼ぎ頭であり、PlayStationは今やソニーを代表する商品です。2023年に入って、PlayStation5の安定供給の開始が発表されたことで、今は及び腰になっているサードパーティーのソフトメーカーも続々と開発に乗り出すはずなので、今後の伸びに期待が寄せられます。
2位は任天堂です。昨今では家庭用ゲーム機の「Nintendo Switch」の大ヒットに注目があつまりますが、2015年にディ・エヌ・エーと業務提携を行い、任天堂のIP(任天堂の人気キャラクターなどの著作物intellectual propertyの略)を利用したスマホアプリの参入や、2016年に大ヒットした「Pokemon GO」など、スマホアプリへの進出もしております。
スマホアプリにおいては「マリオ」や「ポケモン」などのIPを利用して、参入を果たす一方で、Nintendo Switchでは、新しい体験をユーザーに提供し、家庭用ゲーム市場も盛り上げるなど、ゲーム市場において盤石ではありますが、今後は連続してヒット作品を出すことが求められます。
7位のガンホー・オンライン・エンターテイメントは、あのメガヒット「パズドラ」を産んだ会社です。パズドラはリリース後、営業利益が前年比で75倍になり、会社の規模感が一気に変わりました。ここまで短い期間で成長をとげれるのも、ゲーム業界ならではです。
そして、ゲーム業界では、業界再編が繰り広げられており、有名なところではスクエアエニックスや、バンダイナムコが経営統合を行っており、お互いのIPを利用した経営戦略や、あるいは競合同士が販売時期をかぶらないようにするなど、戦略は様々です。
ゲーム業界の平均年収は610万円くらい?
ゲーム業界の平均年収は400〜600万円と幅がありますが、決して低くはありません。とくに大手のゲームメーカーで、ゲームクリエイターのキャリアを積めば、1,000万円以上も可能です。
しかし、その一方でゲームクリエイターは、労働時間が長く激務であることで有名です。そのためフレックスタイムや、裁量労働制が適用されていることが多いのです。
ゲーム業界の将来性や課題
ゲーム市場の中心は、今後もスマホアプリであることは間違いありません。そして、スマホアプリ市場も安定期に突入しており、収益が安定している業界といえます。一方で各社の収益は、ヒット作品に左右される面が強く、また「この会社はヒット作を出すノウハウがある」という会社はなかなかありません。
特に昨今は、海外のゲーム会社から完全新規のヒット作が生まれる傾向にあり、国内のヒット作は過去のIPに依存しているような印象を受けます。
パズドラ、モンスト以降、「ガチャ」で課金するモデルでヒットが出ておらず、現在のダウンロードランキング上位には、海外のゲーム会社が並んでおります。日本のユーザーも、ガチャで課金するゲームに飽きてきているのかもしれません。ヒットを出すには、過去の成功にとらわれず、全く新しいゲームが必要なのかもしれません。
ゲーム業界でキャリアを積むなら、やはりヒット作に携わることが、キャリアアップの上でも非常に重要になってきますが、大手だからといって、自分の担当がヒット作を生む出す保証はありません。こればかりは、社内でも有力なゲームプロジェクトに携われるように、社内で動いていく主体性や社内コネクションを作るコミュニケーションスキルが必要になります。
他業種からのゲーム業界への転職は可能か?
ゲーム業界ではなくても、プログラマーなどの開発経験があれば、人手不足の業界でもあり、転職は可能です。しかし、ゲーム業界では30代後半の求人は皆無に等しく、ゲーム業界への転職を考えているなら、20代でチャレンジした方がよいでしょう。
まとめ!こんな方がゲーム業界に向いている!
まず、ゲームが好きなこと!と思われるかもしれませんが、気をつけなくてはいけない点があります。仕事はゲームを作ることであり、ゲームで遊ぶことではありません。
ゲームは、仕事の成果を残すことができる業界です。ものづくりが好きな人には大変向いているでしょう。
そして、非常に厳しい業界でもあります。企画・デザインや開発の面だけを見ると、華やかな印象ですが、地道で根気が必要な作業も多い現場です。リリース前はひたすらデバッグ作業に没頭し、特に昨今はオンラインでリリース後の修正も当たり前になってきているので、休まる時間もないでしょう。
休日出勤も当たり前のようにあり、正月やゴールデンウイークなども仕事をする可能性があり、そういったものを犠牲にしてでも、モノづくりに没頭できる方が、ゲーム業界には向いているでしょう。その覚悟がなければ、他の業界を検討した方が良いでしょう。