ミクシィに転職・就職する人向けに戦略や売上高を分析!

「ミクシィはモンストのゲーム会社!大手だし興味ある!」
「ミクシィに入社したい!」

と考えていませんか?ミクシィは現在は「モンスターストライク」というメガヒットのスマホゲームで有名ですが、年齢が30~40代の方にとっては、ゲーム会社というより、「mixi」として誰もが知るソーシャルネットワーキングサービスで有名でした。

ミクシィは、ゲームや予約アプリ、メディアとあらゆる事業を行っていますが、その軸には「コミュニケーションのノウハウ」があり、ゲームやインターネットアプリ上でのコミュニケーションを活発化させることで、新しいビジネスモデルを生みだす会社であると言えます。

なぜなら、モンスターストライクも、リアルの友達とプレイすることで、コミュニケーションを活発化させた事がヒットにつながったことや、「家族アルバムアプリ みてね」は、遠くに住む祖父母など、家族間のコミュニケーションを活発化させることがヒットに要因になるなど、バラバラのサービスを展開しているようで、全て、コミュニケーションを軸としたサービスを展開しているのがミクシィなのです。

本日はインターファクトリーでシニアアドバイザーを担当する筆者が株式会社ミクシィについて詳しく解説いたします。

ミクシィの売上高は2015年度で一気にあがった!要因はモンスト!

まずは、ミクシィの売上高を見てみましょう。下記のグラフは株式会社ミクシィの決算資料から独自に作成したものです。(決算期:3月)

◆売上高および営業利益推移

ミクシィ売上高推移

グラフ引用データ:株式会社ミクシィ 決算説明会資料

このグラフを見ると、2015年度に売上高と利益が大幅に、増えていることがわかります。これは「モンスターストライク」がメガヒットしたためです。会社の規模を変えてしまうくらいの売上を2015年に叩き出すことになりました。

これまでは、ミクシィのメインの事業はソーシャルネットワーキングサービスの「mixi」でしたが、2007年以降、TwitterやFacebookの世界的流行により、ほとんどのユーザーがそちらに乗り換えしまい、2010年にはユーザー数1,000万人を超えたサービスでしたが、現在はすっかり下火になってしまいました。

それでは、現在のミクシィはどのような事業を行っている会社なのか、詳しく解説してまいります。

事業① デジタルエンタメ(モンスターストライク)

デジタルエンタメ事業とは、モンスターストライクを中心としたゲーム事業です。それでは、まずモンスターストライクのユーザー数推移を、ミクシィの決算資料から見てみましょう。

◆モンスターストライク利用者数推移(ミクシィ社決算資料より)

モンスターストライク利用者数推移

日本国内だけでなく、台湾、香港、マカオ、そして中国版を提供し、2022年11月には5,900万人を突破しており、これは、ガンホーから出た「パズドラ」のシリーズダウンロード数(ユーザー数ではありません)の5,900万ダウンロード(2022年4月時点)に肩を並べ、それまでパズドラの一人勝ちでしたが、モンスターストライクがその牙城に食い込み、今では追い抜こうとしております。

まさにメガヒットです。2013年のリリースから10年が経ちますが、ユーザー数は未だに増えており、現在のミクシィの売上は、モンスターストライクに支えられていると言っても過言ではありません。

ミクシィも、モンスターストライクをこのままゲーム事業だけで展開するのはではなく、モンストを日本を代表するIP(著作物)にすべく、スマホゲーム以外にも

◆モンストのゲーム以外での展開

・カードゲーム
・マガジン
・グッズ
・イベント
・映画
・アニメ
・動画

などの多面的展開を行っており、ユーザー数の裾野を確実に広げております。そして、モンスターストライクで得たノウハウを元に新しいIPの創出を行い、デジタルエンタメ事業をさらに拡大し、収益を安定させていく狙いがあるのです。

モンスターストライクはなぜヒットしたか?
① モンスターを引っ張って弾くだけのシンプルなインターフェース
② 友達と協力するプレイをすることができ、最大4人まで参加できる!
③ 課金に依存しない仕組みで例えば、弱いモンスターも場面によっては有効であったり、友人の強力がないとクリアできないクエストがある

事業② ライフスタイル(家族アルバムアプリ「みてね」、minimo 等)

知らない方も多いかもしれませんが、写真共有アプリと言えば、GoogleフォトやiCloudが有名ですが、実はミクシィも、2015年より、家族アルバムアプリの「みてね」をリリースしており、2022年8月時点で、利用者数は1,500万人を突破しております。

参考記事:「みてね」はなぜ1000万人に使われるのか 世界に広がる「家族アルバム」

このアプリの特徴は、家族などの知っている人との間での写真共有に特化しており、例えば、夫婦が子供の写真を離れて暮らす祖父母とカンタンに共有することができ、それを通じてコミュニケーションを活発にするアプリで、まさに元祖SNSを運営していた、ミクシィらしいサービスと言えるでしょう。

このアプリが普及した背景には、スマートフォンの普及が、上記の記事にもあるようにシニア世代にも広がったことがあります。

無料でも、楽しめるアプリですが、DVD作成サービスなどが有料になっており、DVDなどはシニア層は形に残したいニーズが強いため、非常に良いマネタリズムポイントだと思います。

現在は「家族アルバム みてね」は7言語150か国に展開中であり、世界中にアプリ利用者を増やすべくサービスを展開中です。

また、同社のライフスタイル事業における成長株コンテンツとして「美容サロン予約アプリ minimo(ミニモ)」があります。

minimoは、美容師やネイリスト、アイデザイナー、エステティシャンといった美容サロンのスタッフ個人を直接予約できるアプリとして、2014年1月のリリース以降順調にユーザーを増やし、2021年12月には累計500万ダウンロードを突破しました。

minimoがリリース以来実績を伸ばし続けたのは、店舗ではなく「個人の技術」を直接予約できるというサービスが、ユーザーのニーズに見事にマッチしたということだけではなく、リリース以降、Instagramと予約機能を連携したり動画投稿機能を実装するなど、サービスの拡充を行なってきた結果と言えます。

2023年3月決算においても、前期比で増収増益と引き続き好調に推移しております。

参考:サロンスタッフ直接予約アプリ「minimo」 累計500万ダウンロードを突破!(株式会社ミクシィ プレスリリース)

事業③ スポーツ事業

現在、ミクシィが最も力をいれている事業セグメントです。ゲーム事業を超える柱としております。

参考記事:なぜミクシィが「競輪」なのか?木村弘毅社長に聞く

具体的には以下の事業に資本投下、あるいは子会社化により事業を展開しております。

① TIPSTAR、チャリロトなどの公営競技ビジネス
② FC東京や、千葉ジェッツふなばしなどのクラブチーム

競輪車券のインターネット投票サービスを2019年2月に買収しました。ソシャゲで培ったアプリのノウハウを活かして、アプリであらたなサービスを作って、投票者同士がコミュニケーションを取る仕組みを作るなど、サービスの利用者増を狙っています。

ミクシィが、JリーグのFC東京や、千葉ジェッツふなばしと提携しております。このような事業においても、家族同士や友だち同士でスポーツ中継を見ながら、スポーツを通じて、新しいコミュニケーションを作りだすサービスを生み出していく狙いがあります。

SNSのmixiの今後は?

2023年の最新の決算資料には、SNSのmixiについては、全く言及されておらず、今後は最低限の運営にとどめ、ユーザー数を増やしたり、新たな施策をそこで生み出すことは考えにくいでしょう。

mixi衰退の理由は、スマートフォンの普及によりSNSに対し、どちらかと言うと「即時性」や「気軽」なコミュニケーションが求められるようになりましたが、mixiのコミュニケーションは、同じ趣味をもつ者が、ゆっくりとコミュニケーションを取る場であったことで、多くのユーザーニーズに合わなくなってきたことが原因だと考えます。

そしてTwitter、Facebook、LINEといった強力なライバルの出現に、シェアを完全に奪われたことです。(この主張は下記のブログを参考にしました。良い記事なのであわせてご覧ください)

参考記事:mixiが衰退した理由

今ではアクティブユーザーが少なく、ほとんどミクシィ社の売上に貢献してはいませんが、それでも、「mixi」で培った、コミュニケーションのノウハウは、他の事業に引き継がれているのです。

ミクシィの強みはコミュニケーションのノウハウ!

一見、ミクシィはSNSからゲーム、さらには新しい事業など、場当たり的に事業を行っていると感じている方もいるかもしれませんが、ミクシィは「コミュニケーションを生み出す」という軸でサービスを提供しております。

例えば、モンストでも「友達同士で楽しめる!」という要素が、友達が友達を巻き込むという連鎖を呼んで、ヒットにつなげたことや「家族アルバムアプリ みてね」においても、遠く離れた祖父母とのコミュニケーションサービスという新しいサービスを誕生させました。

ミクシィは今後も、強みであるコミュニケーションノウハウを軸としたサービスを展開していき、現在はモンスターストライクに収益を依存した形になっていますが、多事業化により、より収益を安定させていくことを目指しております。

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